9.11当時多発テロを受けて、ブッシュが先ず攻撃したのがアフガニスタンである。タリバン政権をテロの首謀者ビン・ラディンを匿っている、あるいは支援する政権として、ブッシュは攻撃したのがアフガニスタンである。その後何の関係もなかった、イラクを攻撃し中東をさらに混迷する戦乱の地域にしてしまった。
ブッシュの負の遺産を引き継いだ、オバマは何とかイラクから手を引き、今またアフガニスタンから撤退をスケジュールに組んでいる。そのアフガニスタンのアメリカ傀儡政権のカリルザイが、パキスタンと手を結びアメリカに反目し始めている。
パキスタンはタリバンの仲介役としてカルザイに接近している。7月26日にISAF(国際治安支援部)軍の誤爆で、民間人が52人も死亡した。パキスタン外務省はNATOに撤退を望むとコメントしている。オバマは悪口を言われた、現地の最高指揮者マクリスタル司令官を解任した。
アフガニスタン戦はこれまでアメリカが係わってきた最も長い戦争になっている。アメリカ軍は7月に66人も死者を出している。これまでの9年間で最大の死者である。ロシアに当てつけで出兵しているとされているポーランドも撤退を表明した。ドイツも同様に撤退の方針である。オランダ軍は8月1日に撤退を開始する。世界的な厭戦ムードの中にある。
オバマが交渉を望んでいた良心的なタリバンは、こうした動きを見て彼らが撤退するのをひたすら待つだけで、呼びかけに応じようとしない。米国防総省が作成したアフガニスタン戦争に関する文書を、「ウィキリークス」が25日、公表した。アメリカの失敗を克明に述べていると、イギリスの、ガーディアン紙が報じている。
アメリカ政府は情報漏えいが兵士の士気や作戦に影響すると発表し、事実上内容の正確性を認めている。アフガニスタンでは、アメリカはもとより欧米軍に対する不信感が強くなり、勢いを増したタリバンが結局復活することになる。ブッシュの目論見も、オバマの一見穏健と思われる増派、撤退もことごとく失敗して、アフガニスタンには混迷が残るだけになってしまう。
欧米はアフガニスタンで何をしたのか、英国やオランダが行ったようなイラク同様に検証するべきである。そして、インド洋上で給油するとテロが減ると言った日本も、アフガニスタンで給油がどんな成果を治めたのか検証するべきなのである。