そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

いつもと違う夏

2009-07-31 | 二酸化炭素

山口県と北九州周辺を集中豪雨が襲った。連日の大量の雨である。一週間で年間降雨量の4分の1が降ったそうである。山間の町や傾斜地の山が崩れた。関東では竜巻が起きている。全国的に長雨が続いている。根室台地も異常気象は例外でない。7月には3度ほどストーブに火を点けた。

地球温暖化が大きく取り上げられている。二酸化炭素が多分最も比重の高い、温室温暖化ガスであると思われる。反対者も少なくない。二酸化炭素は重いので、温暖化とは関係ないと主張される。しかし事実温暖化は進んでいるようである。

しかし、温暖化とい言葉が先行しているが、人間社会のもたらした排出ガスや森林伐採などの、複合的作用によって起きるのは異常気象である。異常気象の最も目立つのが温暖化であろう。

当地の作物は牧草であるが、長年観察してきて温暖化ははっきり感じている。一年を通じて均等に、暖かくなってはいない。確かに冬は暖かくなって、以前のように氷点下30度などにはならないし、樹木の凍裂も起きない。しかし夏は、それほど暖かくはなっていない。

当地で最も暖かくなった季節は、秋である。秋になって牛たちが伸びなくなった牧草地でぼんやりすることも少ない。10月以降になっても草が成長するのである。特に家畜用トウモロコシは、10月10日までに刈らなければならないのであったが、昨年などは10月30日になって渋々刈り始めた農家もいたほどである。

今年の気候も異常である。雨が多いのである。一度に降る量が極めて多い。根室台地の川は褐色になって、川幅を広げ速度も異常に早い。川辺の木々をなぎ倒して流れる川を見ていると、何か恐ろしいものを感じる。異常気象は農作物の成長と収穫を阻害する。草は成長するだけでは駄目で、収穫時の気候が品質を左右する。こんな長雨ではそれも十分できない。

家畜用トウモロコシは例年のような収穫量は期待できないようである。地球温暖化は、食糧問題を引き起こす。温暖化で、北海道でミカンができるようになるとする報告もあるが、これほど異常な気象になればそれもかなわぬことであろう。温暖化と解釈するのではなく、異常気象であることを実感する今年に夏である。

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急接近する米中

2009-07-30 | アメリカ

090727 米中戦略・経済対話が2日間にわたって、ワシントンで開かれた。米中の高官が一堂に会する会議はかつてなかった。来年中には、中国は日本を追い抜いて世界第二位の経済大国になる。そうした背景で今回の会議は、G2と呼ばれたりしている。

中国が所有する2兆ドルの外貨資産のほとんどが、アメリカ国債である。今回のアメリカ発の金融危機を、少なからずも世界で最も経済成長をする中国が支えたのも事実である。外資依存の中国経済は外需で成り立っている。それを最も支えるのが消費大国アメリカである。猫が死ぬようなペットフードでも、安ければアメリカは輸入するのである。壊れるおもちゃでも、安くなるのであれば中国で作らせる。

要するに、世界最大の図抜けた経済大国アメリカと、世界人口の4分の1を占める世界最大の人間を抱える中国が、お互いの利害関係で一致点を探り合い、確認したのが今回の会議である。

確認事項も、極めて総花的で多岐にわたる。中国は内需拡大を志向し、アメリカは貯蓄増加などによる経済の健全な発展を確認した。驚いたことに、京都議定書から離脱した、最も二酸化炭素を排出する米中が、環境問題・温暖化対策への協調を打ち出したことである。それに、お互090728 いが貿易の拡大と、保護主義への反対を打ち出した。両国とも蔭では、自国産業の保護にはせっせと力を入れている国である。

その他、核兵器の拡散防止に向け、北朝鮮とイランの核開発への反対と、中東情勢の安定化などでも合意し、特に北朝鮮に対しては6者協議の重要性を確認した。

会談は終始好意的であった。経済成長が鈍りながらも世界で最も成長する、大国中国への依存度を高めるアメリカが、双方で利用価値を見出したのだと言える。

それにしても、民主党は人権問題には極めて神経質な政党であったはずである。前回のクリントン長官の訪中でも、チベット問題は封印されていた。今回もウイグル問題が渦中にあるにもかかわらず、人権問題の対話を年度内でやるとの一言で終わっている。政権を取ると態度が軟化するのは、日本も同じかもしれない。世界は今後この2大国の動向が大きく働くことになる。

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財源の根拠が薄い方が良い

2009-07-29 | 政治と金

民主党のマニフェストが発表された。年金論争のところなどの細かいところは私の力量では、判断できないが全体的に合格点をやっても良いと思われる。政府与党は、一斉に財源問題を01ついている。明らかになっていないと一斉に攻撃している。

半世紀に亘ってこの国の政権を担ってきた自民党にそのような発言をする資格などあるはずなが。とりわけ一般財源として、表で扱われてきた予算額はこのところ80兆円そこそこである。が、実際の国の予算はおおむね200兆円ほどあるのである。

一般予算にしても、農業予算を例にすると半額に近い額が、基盤整備事業なのである。基盤整備とは、簡単にいえば道路や川を治すことである。誰も通らない道路が舗装され、川が三面工法でコンクリートで固められる。日本の田舎をこんなコンクリート漬けにしたのは、多くは農業予算である。

農民の懐は潤わない。基盤整備産業は、土木関係者が潤うシステムである。それでも地方にお金が落ちるからと、田舎の人は文句を言わないが、結果的に農業の活力が削がれることになってしまう。地域産業が土木事業依存形態、あるいは与党懇願体制になるからである。

こうして日本の予算は、特定の政党と都合良くふるまう官僚によって、牛耳られてきたのである。民主党の財源案を支持したいのは、政策遂行をまず持ち出しそして財源確保のために、事業の詳細を見直すことになると思われるからである。政策ありきでそのために、あるものから予算をねん出することになる。我々の家計も同様である。まず財源確保から始まるより、財源根拠がない方がある意味積極性が保たれる。

自民党が15兆円もの大型ばらまきをやった後である。このばらまきとは、消費振興であるため消費動向の先食いであり、景気の後退がほどなく訪れる。財政再建は、国債発行の乱発と税収減で、窮地に陥る。民主党政権は、このことで下野した自民党の攻撃を受けることになるだろう。立つ鳥が後を濁らせた、自民党の尻拭いである。それでも、当分は民主党に期待して、官僚抑えの腕前を見たいものである。

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地域医療の崩壊は医師の偏在にある

2009-07-28 | 政治と金

地域医療が崩壊しつつある。地方の中小都市以下の地域では、公立病院から次々と医師が撤退している。せっかくの施設なのに放棄されたり、病床を減らされる現実にある。医師が足りない?

そんなことはない。小泉改革で、医師の数は少しは減少したが、絶対的に不足しているわけではない。医師は都会に、「偏在」しているだけなのである。過酷な受験戦争を勝ち抜いてきた人たちは、当然の権利のように高額報酬と安楽な仕事を望むのである。55

その結果、医師は都会の総合病院などに集中するのである。責任の所在が分散できるし、設備も多分申し分ない。仲間が多く新しい技術を交換できる。その他にも、都会では多くの利便性が得られる。当然のように医師は都会の集中する。

あるいは、美容整形のように保険適用外になってでも、高額の収入が得られるエセ医療の金儲け主義に走る医師も増えている。医師としての資質が問われるような人物は、簡便な精神科に行くとも言われている。

我々のような僻地には、医学部から好意的に医師が派遣される。そのほとんどが若い医師で、地方で経験を積み、やがて都会に戻るのである。田舎の人たちは良い実験材料のようなものである。ほとんどが独身か単身赴任で、5年もいない。定住する医師はほとんどいない。

同様に産業動物(牛、馬、豚など)の獣医師が不足している。毎年900名ほどの新しい獣医師が誕生する。産業動物希望者は、100名ほどである。行政に行くのが100名足らず。残りは全員小動物である。産業動物は田舎である。牛も馬も大きく危険が伴うし、汚いし、昼夜の別がなくきついし、時間がかかり過酷である。来診する家畜はいないし儲からない。3Kどころではない。医師と同じ問題を、産業動物の現場は抱えている。

医師も獣医師も甘えの構造なのではないか。職業としての意識よりも、楽で身利入りの良い仕事と場所を求める。医師や獣医師の職業観だけに頼るのではなく、行政的なサポートが必要なのである。

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麻生にもっと遊説させろ

2009-07-27 | 政治と金

麻生首相が、横浜市内の会議に呼ばれ「高齢者は趣味がなく、働くしか能がない。この連中を使えばいい」などと発言した。働ける元気な高齢者が多いから働かせたら良いと以前から発言していたが、それに働くことしかできないだの、今から趣味もないから働けと言おうとしたのだろPhoto_2 う。

この男の良くやる表現方法である。ちょっとひねってから喋る。ひねりが下手でセンスがない。おまけの教養もなく、知識の底が浅いから失敗する。ぶら下がりの記者の質問には必ず一度は否定する。おれは違うんだと言いたいのだろうが(確かに違うが)、自らの立場が一般社会とは隔絶していることの自覚がない。だから逸脱する発言、失言を繰り返す。

昨日は日曜日で、マスコミに目立つようにと山口の集中豪雨の被災地行こうと思ったが、悪天候で行けなかった。解散後初の日曜日は、各政党の党首は日本中を駆け巡っている。自民党の総裁である麻生にはお声がかからない。被災地にも行けず、マスコミにも取り上げられてもらえない。

せっかくの自民党総裁である。日本各地の選挙区に行っていっぱい喋ってもらってはどうだろう。いっそのこと、民主党さんが呼びつけて、民主党の反対演説してもらってはいかがであろうか。何回か演説するうちに、失言をしてくれるだろう。あるいは、自民党さんに総裁は遊説することを義務付けてもらってはどうだろう。

公明党ですら麻生や自民党幹部離れをやっている。都議選では重点地区にもかかわらず、自民党幹部が呼ばれなかったようである。

こうしたおよびのかからないことを反映してか、麻生は各経済団体を訪問を繰り返している。関係者によると馬鹿丁寧な挨拶をして言ったそうである。各団体も今更支援を約束できる状況にはない。つれない返事にすごすご帰る麻生の姿を放映していた。とにかく麻生にもっと遊説してもらって、いっぱいぼろを出させることである。

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三宅一生の呼び掛け

2009-07-25 | 政治と金

世界的なデザイナーの、三宅一生氏がニューヨークタイムズに投稿をした。自らの原爆体験を告白しながら、11月に日本を訪問するオバマに広島に行くように呼びかけたのである。

http://www.nytimes.com/2009/07/14/opinion/14miyake.html?_r=2

「A Flash Memory」(閃光の記憶)と題するこの記事で、三宅氏は7歳の時に被爆し、母はその後3年でなくなった。自らが被爆者であることを公表し、被爆デザイナーとレッテルをはられるのが嫌だったのであまり多くを語ることはしなかった。

日本は、朝鮮中国に甚大な被害を与えた。無差別空爆を始めて行ったが、この国の人たちの心を思うと、被爆体験はどうしても公表できなかった。広島で被爆した朝鮮人は2万人ほどPhotoいるがその人たちの慰霊を行っていない。このことが彼を今まで黙らせてきたのである。

それをひも解かせたのが、4月のプラハでのオバマ大統領の、核廃絶演説である。大統領は核軍縮ではなく、核廃絶を訴えたのである。そこでオバマ 大統領は日本に行ったら是非、広島を訪れて欲しいと提案している。

本来これは、政治の世界のことである。日本の政治はこうしたことに全く疎いのである。政治情勢の変化についてゆく力がない。民主党の鳩山代表に至っては、非核三原則を見直すとまで言及している。社民党が非核三原則の法制化を公約に盛り込むことを提案している。民主党は何を躊躇しているのだ。

自民党が頼りにしてきた、アメリカ大統領が核廃絶を訴えている。自民や民主の一部が核廃絶に気が乗らないのは、旧来のアメリカ追従政策の実体は、財界主導、軍事的依存が目的だったことを語っているのである。唯一の被爆国であり、平和憲法を持つ日本が、非核三原則、核廃絶を国是としないで、世界の他のどの国ができると言うのだ。

村上春樹氏がイスラエルで、ガザ地区の攻撃を批判したが、今回の三宅氏も自らの考えを述べている。翻って政治の世界を見ると、正論を堂々と述べる論客が影をひそめてしまった。淋しい限りである。

それにしても、これは7月12日のことである。日本のマスコミは大きく取り上げることがなかった。情けない話である。もうすぐ64回目の原爆の日がやってくる。

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ぶれる民主党

2009-07-24 | 集団的自衛権

衆参の議決で、テロ特措法に反対した民主党が、これを見直すことにし、マニフェストに盛り込まないとのことである。これまで何のために反対したのであろう。民主党が政権交代が現実味を帯びてきたら、方針転換したようである。

正確には、政権奪取後に検討するとしているが、これまで検討してきたことは何だったのだろう。前原元代表のようなかなり右寄りの親米派の巻き返しがあったのであろうが、改憲派の鳩山由紀夫が代表になったことも背景にある。アフガニスタンに力を注ぐオバマとの軋轢を回避したとの見方もある。

しかしこれでは、麻生にぶれているなどとは言えない。民主党がぶれている。インド洋上でアメリカ艦船に限って給油する日本のテロ対策が、いかに的外れで効果がないかは、これまでの経緯を見ればわかることである。

アフガニスタンやパキスタンの人々には、いぶかしい目で見られるようになったと、現地の日本人が実感しているところである。

外交については、このほかにも民主党は明らかにしていないことがたくさんある。結党の歴史も浅く、所詮烏合の衆であるから当然の成り行きではあるが、強力に張った論陣が何だったのだろうと思われる。

仮に民主党が政権を取ったとしても、烏合の衆を傷つけないために放置してきたことを、突き回されるにきまっている。政権与党にとって一貫性を持たせることが最も大切である。民主党に政権与党としての資質があるのだろうか。

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アメリカ産牛肉から危険部位見つかる

2009-07-23 | ゲノム編集

またアメリカ産輸入牛肉に危険部位が除去されていないのが発見された。今月7日にアメリカ通商部代表カークが、「日本の牛肉輸入制限を大いに懸念している」と、日本政府にクレームをつけたばかりである。

アメリカでBSE発生を受けて輸入禁止になっていたのを、輸入再開したのが小泉純一郎であり、担当大臣が酔っ払い会見で有名になった中川昭一である。それを先導した外務大臣は、今回Photoバカタロー解散した麻生太郎である。

輸入再開されてから、実に12例目の違反事例である。特定部位に関しては、2例目である。日本の基準をアメリカが守れるわない。アメリカの屠場は、安価な労働と不衛生な環境と獣医師による目視観察だけである。安価な牛肉を食べたいアメリカ人は、手間のかかる高価な衛生検査基準など求めていない。これがアメリカの基準である。

現在アメリカからは20カ月以下に限り、特定部位の除去を条件に牛肉を輸入している。アメリカはこれが気にいらないのであるが、自国の基準を日本に押し付けてきているのである。今回は、カンザス州産の牛であるが、背骨が除去されていない牛肉が2箱も見つかったのである。アメリカの畜産現場で日本の要求に応えるには、応分の経費がかかる。

輸入するということは、輸出国の基準で判断されるべきではなく、輸入先の基準に合わせるべきなのである。大国アメリカは従順な従属国日本には、極めて横柄な態度で何でも要求する。食料を海外に依存するリスクを真剣に考えてもらいたいものである。これはほんの一例である。

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公約に特許はないのか

2009-07-22 | 政治と金

昨夜自民党の細田幹事長が、今度の選挙はどんな選挙と問われて、景気対策と雇用の確保、地方の活性化、年金などの安心社会とか言っていた。これは全部自民党がやったことである。年金問題は、安部ボンが「騒いで国民の不安を煽るな}と予算委員会で発言したし、地方の疲弊は小泉改革の結果である。

細田幹事長が掲げたことと、それに続く発言は少し前に民主党などが指摘したことである。公約のパクリである。実は自民党はこれまで、党内でこれをやってきたのである。派閥と言うエセ政党を持つことで、お互いが競い合ってきたのである。党内で政権をタライ回すことで、国民は何か新しい動きができたと思って、次に期待したのである。疑似政権交代である。

これに政治資金の問題で反発した離党したのが、武村と鳩山由紀夫のさきがけである。次に、派閥抗争に敗北して飛び出したのが、小沢一郎一派の新生党である。鳩山と小沢の二人は、田中派に属していた。

今回の今度の総選挙の自民党の公約(いつからかマニフェストなどと言ってる)が出てこないが、民主党などのパクリとなる内容が少なからずある。選挙公約には特許がない。細田の発言のように、自分たち自身を否定する公約も平然とおこなったり、他党の公約を取り入れるのは、これまでの古い体質を引きずっているだけである。自民と民主の関係は、党内の党(派閥)が、党外の別党になった側面が強い。

こうして公約が次々出てくるだろうが、そんなことに惑わされてはならない。前回の郵政選挙では、郵政の民営化に賛成した人も、結局は小泉の弱者切り捨てやイラク派兵に賛成したことになってしまう。その郵政の民営化でも、賛成した人たちの思惑とかなり違った形になったり、矛盾が生じてきている。

パクリ合った公約が乱立する。公約を見比べると、おれの方が先に言ったなどとなじり合うのがせいぜいである。公約を見比べる必要がない。これまでの経緯と実績と誠実さを比較するしかないの。政界再編や世界情勢の変化など、これから起きることへの対応は盛り込まれないからである。

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やっと解散・総選挙

2009-07-21 | 政治と金

090721 やっと解散・総選挙が決まった。思えば昨年、選挙の顔をとして7割もの自民党員の支持を得て、すぐさま選挙に打って出る勢いだった、麻生太郎が初めて行った決断である。決断と言っても、党人事も手をつけてもらえず、党内のあちこちからつつきまわされての、解散である。

麻生下ろしを封じたのは、論理や政治力でもなければ人物評価によるものではなかった。民主党の不信任案を良いように利用し、時間的な制約を巧みに選挙公示スケジュールの取り込んだためである。麻生は党内で信任されたのではなく、下ろす手順を封じただけである。

それにしても、小泉一派の武部や中川などと手を組んだ加藤紘一は政治的にまったく異なる、麻生おろしの思惑だけでの集まりでは、何もできなかった。行動は似ても中身が異なる。同床異夢であるが、いずれ破たんすると思っていたが、あまりにもあっけなかった。党の締め付けに、両院総会を開かしてもらえず、早々と活動すら停止した。

自民党を割って出る根性がないのであるが、それには制度上の問題が大きく係わっている。小選挙区制と政党助成金である。これを巧みに取り込んだのが小泉純一郎である。党の方針の沿わないものは、公認しない。逆に刺客を送った。刺客は落選しても、比例区で救われる仕組みにしたのである。党の締め付けに、せいぜい文句を言って議員懇談会で溜飲を下げる。

あれほど麻生おろしの急先鋒だった中川秀直などは、麻生の手を握ったくらいである。あんな適当な麻生の「反省」で、これを言ってもらいたかったと白旗宣言である。議員に活力がなくなった。これも時代の流れか。

国会議員にとって、政治信条が最も大切なものであった時代は終焉したのであろう。やっと権力を獲得しても、ポーンと平気で投げ出すご時世である。自民党は、政権を維持することで生き延びてきた政党である。それが、前の二人と今度の麻生ですっかり淡泊になってしまったのである。自民党政治の終焉である。

今回の解散は、麻生の祖父に因んで「バカタロー解散」と呼ぶことにしたい。

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今一度トムラウシ遭難を考える

2009-07-20 | 政治と金

トムラウシ山周辺で8人死亡したツアーを企画した会社が、業務上過失致死の疑いで捜査が入った。会社側は予期しなかった天候になったと、記者会見で弁明している。報道から、こん回のツアーの内容なども分かってきた。結論から言うと、私が予想していた通りの内容であった。

旭岳温泉、白雲避難小屋、ひさご沼避難小屋そして東大雪荘と4泊の計画である。初日の白雲200907178044161n までは相当天候が悪くても、楽勝のコースである。初日であることを考えると、だれもが体力があるだろうし、旭岳以外に大きな登坂はない。2日目の白雲からひさごまでは、多分3万歩を超えるコースある。10時間以上は歩くことになる。私自身ここの長丁場で体力の消耗は激しかった。今回は天候も良くなかった。

ひさご沼に泊ることには、相当疲労が蓄積していたであろう。ひさごからトムラウシまでは、結構な登りになるため、山頂をパスするグループも少なくない。今回はこのコースの事故であるが、初日からここまで、風をさえぎるものが何もない。トムラウシに来て初めて、沼に出会うことになる。沼の水が飛ぶほどの風だったと、生還者は証言している。

ここで動けなくなったのであるが、先に進むには相当困難な状況であったはずである。事実8人が亡くなられたのであるが、この時点でひさご沼まで引き返すべきであった。引き返す時は、今来た道を辿るのである。道を間違える不安もない。心理的にも相当安心感が生じる。要は判断である。ツアーリーダーが最初に女性とここにデポ(停滞)したため、若いガイドが後の状況を判断できなかったのであろう。リーダーが最初に隊を離れたのも問題である。

とにかく引き返す勇気を持つべきであった。それを拒んだのが、会社側の儲け主義のスケジュールである。4泊5日も日にちがあるなら、休息日を最低一日は用意するべきであった。ガイドは、何としてもその日のうちに下山して東大雪荘に行きたかったのであろう。このコースは、エスケープルートがない。つまり、問題が生じたときには引き返すか、デポ以外に方法がない。それを可能にするのが。休息日の設定である。

本州方面各地からの寄せ集めの登山であるため、事前の打ち合わせなどできるはずなどなく、お互いの結束力がない。最後はばらばらになって下山している。

深田久弥の百名山が有名になり、久弥の指定した山は毎年今ごろは大賑わいである。通常のツアーでも2.3山は踏破する。日帰り登山が多いが毎日登る計画である。相当きつい。今回の事故も、北海道の山を知らない人たちが引き起こした事故である。登山の実績を方本州方面で重ねても意味がないと思うのである。山を商売のネタにするならそれなりの経験を踏まえなけれがならない。

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大雪山系の遭難に思う

2009-07-17 | 政治と金

大雪山系で10もの登山者が死亡した。夏山としてはかつてない悲惨な事故になった。私はこのコースは何度も通ったところである。トムラウシの遭難パーティーも美瑛岳の方も、縦走コースである。エスケイプルートがない。何かあると、留まるしかない。この両パーティーはこの判断をやPhoto らなかった。

北海道の山には、ほとんど山小屋がない。唯一点在しながらあるのは、大雪山系だけである。この二つの事故のところにはちゃんと山小屋がある。我々ならきっと停滞したであろうが、彼らにはその余裕がなかったのであろう。。

私はいずれこのような事故が必ず起きると思っていた。このような事故とは、本州から来られる 方たちで、スケジュールが細かく決められているツアー登山である。登山に融通が利かないばかりか、余裕も感じられない。登山者の装備が高価ではあるが軽すぎる。寄せ集めの団体であるから、ツアーに結束力がない。

今回は加えて、高年齢者が多い。口は達者でも持続力はないのである。休んでいたり、山小屋の中ではとにかく陽気でかしましい。毎年驚くような山を踏破している。それをお互いに自慢する。私のように、北海道しか知らない登山者には羨ましい限りである。

とにかく彼らを見ていると、忙しいことこの上ない。北海道の山に登ったという実績を創るた200907178044161nめの山登りである。花や風景を見ることがない。特に表大雪などは、地質的にも貴重な構造になっている。絶滅が危惧される花や、固有種などを観察してほしいのであるが、そんなことより今日のスケジュールの消化に忙しいのである。

ツアー会社の料金が目が飛び出るほど高い。参加者たちは帰宅後に自慢話をしなければならない。まるで北海道登山のアリバイ工作をやりに来ているようである。日帰りツアーなどでは、50人以上の団体を幾度も見ている。これらに飲み込まれるとたまったものでない。傍迷惑も良いところである。

ひさご沼には立派な避難小屋がある。今回は天候の回復を待つ判断をすべきであったし、何人か倒れた時でも引き返す勇気を持たせるべきであった。

これでまたこのあたりの入山の規制が厳しくなるであろう。我々には迷惑である。もっと本当に山を楽しみ、親しめるようにて欲しいものである。

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また起きたチェチェンを巡る暗殺

2009-07-17 | 政治と金

000ロシアの人権団体「メモリアル」の重要メンバーである、ナタリャ・エステロミロ女史が殺害された。チェチェンに隣接するナザレンと言う森の中で彼女の死体が見つかった。頭部と胸に2発の 弾痕があったとされている。誘拐されて数時間の地のことである。メモリアルは、先日アメリカのオバ090716 マ大統領がロシア訪問の時に、訪問している人権団体である。

ナタリャの暗殺ですぐに思い浮かべるのが、アンナ・ポリトフスカヤの暗殺事件Chechen0907016である。ナタリャは、アンナの殺害以降彼女に代わり、精力的にチェチェンの弾圧を告発していた。メモリアルのメンバーは、彼女の死はロシアの恥だと発言し ている。

アンナ・ポリツフスカヤが2006年10月に、プーチンの誕生日に何者かによって自宅のエレベータ内で銃により殺害された。ナタリャ・エステロミロは翌年に設けられた、アンナ・ポリツフスカヤ賞の最初の受賞者であった。

世界各地でテロ行為を口実に、武力で民族の独立運動が抑え込まれている。チェチェンは、ロシアが石油を輸出するのに重要な地域である。中国の新疆ウイグル地区も同様に、地下資源が経済発展する漢族の国家にとって極めて重要な地域である。武力による制圧は、一時の静寂を確保できるだけである。むしろ、独立を望む民族にとっては地下にエネルギーを溜め、極めて危険なことになる。

090716001ロシアに従属するチェチェン共和国のカディロフ大統領は、独立運動には極めて強い姿勢で臨んでいる。家族を巻き込んだ弾圧を続けている。ナタリャはカディロフ大統領から脅迫を受けて いると、メンバーの友人であるターチャ・ナカサティナに告白している。

大国の利益のために抗した民族意識は、いつの時代も弾圧の対象になる。政治的、思想的な自由をはく奪し、言論の弾圧を行うロシアや中国は、いつまでこうしたことを続けるのであろうか。

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昨日今日は何の日?

2009-07-16 | 政治と金

昨日、今日つまり7月14日と15日は北海道が空襲を受けた日です。この空襲はあの戦争がいかに馬鹿げたことであったか、極めて象徴的な出来事なのです。北海道に空襲があったことさえ知らない人たちがたくさんいます。

北海道が空襲にあったのは、昭和20年(1945年)7月14、15日です。すなわち終戦を迎える僅か、一月前なのです。あるいは、ドイツのポツダムですでに日本の全面降伏への会議が始まった時期です。日本はいたずらに、敗戦の現実を先延ばしにしていた時期なのです。

国民から見ると、全く無用の犠牲者を出した空襲ともいえます。敗戦が決定的になっていながらも、沖縄戦では20万人もの犠牲者を出し、さらには広島、長崎の原爆投下に至るのです。その間にも大阪なども大きな空襲があったりしました。敗戦の現実を全く認めようとしなかった、陸軍の犯罪的行為であり、アメリカに原爆投下Photoの口実を与えることにもなっています。

北海道空襲で、民間の調査では1985名死亡となっています。負傷者970名、被害戸数6680戸、罹災人口3万3千名となっています。北海道新聞社から、菊池慶一さんたちの努力の本「語りつぐ 北海道空襲」が出版されています。北海道各地でそれぞれの地元でも多くの調査がされていますが、これは全体をまとめた本です。

僅か2日だけの空襲でありながらも、多大の犠牲者を出しています。人口からすると、根室が最も大きな被害を受けています。道北を除くほとんどに地域が空襲の対象になっています。北海道空襲が他の地域と異なるのは、艦載機だけによる攻撃だったことです。一部室蘭の艦砲射撃がありましたが、ほとんどがグラマンによる低空からの空襲で、人々に恐怖心を与えました。当然のことながら、全くの無抵抗国民への空襲被害だったのです。

戦後の混乱期と、広範囲に及ぶためあるいは地方であるために、北海道空襲はあまり取り上げられることがありませんでした。語り継ぐ人たちも少なくなりましたが、北海道空襲は決して忘れてはならない、戦争の傷跡なのです。

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今だけを論議しても仕方ない、核と米

2009-07-15 | 

現代は回転が速いためか、あるいは人々が忘れやすくなってせっかちになったのか、これまでの経緯を無視して今だけを議論する傾向が強い。そのいい例が、日本の減反政策と、欧米の核戦略である。

イランの核開発は、就任早々のIAEA事務局長も北朝鮮とともに最大の懸念を表明している。しかし、イランやイラクに核開発を促したのは、欧米によるソ連封じ込めの意図の産物であった。

とりわけ、フランスは積極的に平和利用を口実に、核技術の輸出、開発指導を行ってきた。暴力的な為政者にとって、核兵器ほど魅力的な兵器はない。フランスが支援していたパーレビー国王が失脚し、イスラム革命が起きるとこの関係は全く断たれてしまった。イランが平和利用を口実に核技術を開発するのは、彼らに促した国々の歴史がある。

イラクも同じである。ここはNATOに距離を置くフランスが、フセインの要請で原子炉を造り始めていた。バクダットの郊外のこの地域はオシラクと名付けられていた。イスラエルは、ある日突如としてここを空爆して破壊してしまった。国際法を無視したこの空軍の作戦は、オシラクオプションと呼ばれている。本ブログでも紹介したことがある。

そのイスラエルは、アメリカの後ろ盾で核弾頭を所有していることは、暗黙の了解である。イスラエル自身も、所有をにおわす発言の中にいる方が有利だと判断し、いまだ所有に事実を認めていない。

対立するインドとパキスタンが核を所有している以上、周辺国家は気が気ではない。彼らに核所有を促した大国の思惑が現在にいたっているのである。核は使用するより所有する方が政治的な意味合いが大きい。今更イランに核開発を止めさせるには、核所有する国家が自らの核兵器を廃棄する以外にない。オバマの核廃絶への具体的な成果を期待したい。

勤勉な日本の農民がら労働意欲を奪ったのが、減反政策である。今これを撤廃すると、価格の暴騰が起き農民は更に窮地に追い込まれる。だから減反(生産調整)できないという、農林族に農水大臣は白旗を上げてしまった。農産物(食料)に対する、国家としての明確な方針がなく、その時々の米の価格だけに固執してきた結果である。

人は忘れやすいのか、目先のことばかりをあげへつらう傾向にある。今度の選挙も、そうした軽薄な短期的視点ではなく、あるいは一時の人気取りに惑わされることのない、視点を基準にしていただきたいものである、

コメント (2)
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