そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

新興国の忘れ物

2013-01-31 | BRICS

中国の大気汚染が深刻である。とりわけ北京の町は、スモッグ状態となって先が見えないほどである。直径が2.5マイ01クロメートル02の、PM2.5以下の物質が、1立方メートル当たり、200~300マイクログラムの、危険域に達していて、人体に影響が出始めている。珍しく中国はこの事実を隠さない。最も隠しようもないが、車と工場の排出物によるものと思われる。

経済活動の最優先の結果と言える。国民不在の発展の結果である。日本も類似の経過を見ているが、現在の途上国のこうした安全の置去りは深刻である。とりわけBRICSと言われ国家でより一層深刻である。

ブラジルでは、地方の30万ほどの町のナイトクラブで、ショーの花火かPhotoら火災が発生した。非常口もなければ消火装置もなく、お客は231人も死亡した。負傷者は82人とされるが、この数字も何度も訂正されている。次回オリンピック開催は大丈夫だろうか?安全対策を怠った結果である。

ロシアでは、事故が最悪であった。数人死亡の事故が頻Photo_2発している。広い国なので、航空機への依存度が高いが、ここ数年で毎年平均で、135人死亡している。昨年は80人であったが、十分な対策がない地方空港での事故が絶え間ない。

インドの交通事故は、世界最悪である。この9年間で車の数は、3.4倍にもなっている。08年には1日当りで、396人も死亡している。今や世界の交通事故の10%はインドで発生している計算になる。インフラの整備も含めた、安全対策をやってこなかった結果と言える。Photo_3
南アフリカでは、今年の正月に首都近郊で火災が発生して、およそ800戸の住宅が燃えた。4000人が住居を失った。航空機事故も少なくない。

これらの事故は、BRICS諸国が経済発展に伴い、人命軽視ともいえる、安全対策やインフラの整備がなおざりにしてきた結果である。これらの国は、先進国が少なからず体02_2験していることであり、丁寧に学ぶべきである。とりわけ、中国の大気汚染は、近隣諸国を巻き込み多大な損害をかける可能性もある。中国の真摯な対応を期待するところである。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伝さんの道路

2013-01-30 | 安倍晋三

平坦な根室台地は、市街地が12キロごとに散在し、農家は今では隣まで平均2キロ間隔である。道路の整備は大変な作業であり、、欠かせないものでもある。

ある時、自民党の代議士さんが、2キロほどの道路改修を提案してきた。20年ほど前のことである。そこには、まだまだ使える橋もあった。地域住民の署名が集められて、数年後に道路は完成した。

小さな橋を見下ろすようにできた道路は、農道であり農業予算によって改修されたことになる。

この2キロほどの間には、その時50代の伝(でん)さん夫婦の酪農家が牛を飼っているだけだった。後継者はいなかった。

牛の診療に行って、道路の話をすると伝さんは「もう、とてもありがたいことです」と、感激のあまり涙をこぼさんばかりである。伝さんが自民党に投票するのは、当然のことである。

農業予算の半額は、こうした「基盤整備」と呼ばれる、土木事業に充てられている。道路が良くなって、伝さんの農業生産効率は上がったのであろうか? 極めて疑問である。

この道路は、多分数億円かかっている。伝さんだけが恩恵を被る農業支援事業としては、極めて不合理である。

同じ地区で、農家にフィリッピンからお嫁さんが来ることになっていた。ところが、彼女は不法就労をやっていたとかで入国できなかった。結婚の日取りまで決まっていたのに、お役所は頑として動かず、4年間は日本に入国できないとのことであった。その時、件の代議士が外務省かどこかに掛け合って、彼女は結婚式に間にあった。

地域の人たちはもれなく、自民党を支持する。地域の農業協同組合も、土建業者もこぞって、自民党を支持することになる。

今では牛もいなくなって、伝さんは奥さんと老後を、牛のいなくなった牛舎の横の住宅で過ごしている。立派な道路は近隣の農家が通り抜けに使われている。

日本の多くの田舎で使われる農業予算は、こうした土木事業によって支援されている。あるいは支援しているつもりになっている。川が汚れる環境問題が発生すると、農業を見直すことはなく、新たな糞尿土木工事が導入される。

農業の本来の形とは、ほど遠い地域振興と呼ばれる土木事業が、自民党の公共事業の大盤振る舞いでまた帰ってくる。

そりゃおかしいゼ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党帰りで農政はどうなるか?

2013-01-29 | 政治と金

民主党が出した政策で最も評判のよかったのが、農家への戸別所得補償制度である。お金まみれに苦しんでいる農家ばかりを、自民党農政は支援した。農業生産は、大きければいいというものではない。

規模拡大すると、経営も生産スタイルも工業的発想の生産形態になり、農薬や化学肥料や機械に頼らなければならなくなる。有機農業などには全く向いていない。

民主党は小沢一郎の提案を、元農水官僚の篠原孝が中心になって、金額は減らされながら作った制度である。変動する価格に応じて支援するため、規模の大小は関係なかった。むしろ健全な経営でも、総量が小さなために苦しんでいた農家が救われた。

再度の政権交代で自民とは、この制度をなくす方針のようである。「意欲のある農家」を支援するとのことのようである。意欲のある農家の評価は、規模拡大である。規模拡大すれば、お金が盛んに出回り、設備投資が増え、生産量が増え、GDPが高くなる。

しかし、問題のある食べ物が生産されることになったり、環境が汚染されたり、農家や消費者の健康が問題になったりする。

今回農水大臣になった林芳正は、TPP推進論者である。総裁選を戦った相手に、自説を曲げるかどうかの困難を安倍はぶつけたことになる。早速、林はアメリカ産牛肉の輸入を開放した。

農水予算はわずかに増額されているが、全体に公共投資で膨らんだ来年度予算のなかで、減らされた感が強い。

安倍政権は、食糧に対する見解をどこにも述べていない。食糧の自給については何の関心もないようである。気候変動や人口増加、何よりも経済大国になった中国が世界に食を求め始め、世界の食糧事情が大きく変化している。

新自由主義者の議員たちは、食糧を単に商品としての認識しかなく、付加価値を付けることにしか興味がない。農業の現場は、転換する農政に気をもんでいる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オバマへの手土産になる牛肉開放

2013-01-28 | ゲノム編集

安倍首相が意気軒昂に所信声明を行った。お腹が痛くならなければいいが、本来抱いていた憲法改正や国防軍移行などは封印して、経済対策のみを述べている。

就任後初めにアメリカに行くと言ったが、体よくオバマに断られ、2月の訪米するようである。その手土産の一つに、アメリカ産牛肉の輸入規制の撤廃がある。

昨年4月にアメリカの、BSEの実態について書いたが、ほんどBSEは発生していないとの、マスコミ報道である。僅か4.4%の検査しかしていないアメリカで、BSEの発生が確認されないのは当然である。

http://blog.goo.ne.jp/okai1179/d/20120427

アメリカ牛肉に代わって市場に出回ったのが、オーストラリア産牛肉でPhoto_2ある。オージービーフと呼び名もつけ、なかなか上手い商売をやっている。後発のオーストラリアは、日本向けの霜降り肉なども対応し、商売熱心である。

オージービーフは、アメリカ牛肉に比べてダントツに草への依存度が高く、健康的である。更には日本に向けて、飼養管理歴が判る、トレイサビイティーもしっかり対応している。

日本を属国扱いするアメリカは、制度の撤廃を政治的に行わせることしただけである。20か月だの30か月だのと言っても、証明する根拠もなく、BSE検査などの対応がまったくないのである。

アメリカ牛肉の優位性は、価格だけである。それと政治的圧力である。TPPは全くそうしたことが、あらゆる場面で間断なく起きることが、牛肉を見ていると解る。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

EU遺伝子組み換え作物を凍結

2013-01-27 | 政治と金

欧州委員会(European Commission)は、遺伝子組み換え(GM)作物の承認を2014年末まで凍結することを決定した。EU参加国のうGm_no_cropsち、オーストリア、ブルガリア、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、ルクセンブルク、ポーランドの8カ国は、それぞれの国で、GM作物の栽培を制限か禁止する制度を作っている。
この14年間でEUが栽培を承認した人用のGM作物は、ドイツのBASFが開発したGMジャガイモ「アムフローラ (Amflora)」と 、モンサントが開発したGMトウモロコシ「MON810」の2種類だけである。因みに、家畜用には50種ほどが承認されている。

アムフローラは商業的に失敗し、MON810の承認更新は2007年以来停滞し、今回の凍結で承認が更新されることがなくなった。

その一方で、発がん性が指摘されているGMトウモロコシの情報を、欧州食品安全機関(EFSA)が公開した。このGMトウモロコシは、モン
サント
製の「NK603」系統で、フランスのカーン大学のジルエリック・セラリーが昨年、マウス実験で発がん性との関連が示されたと発表しPhoto_3たものである。

遺伝子組み換え穀物・食品の使用や認可を審査をするEFSAでは11月、セラリーニ氏の研究は「しかるべき科学的水準を満たしていない」として、危険性評価を見直すべき理由はないとの判断を下した。

2007年にはモンサントが、GM作物のトウモロコシの輸入を禁止した時に、EUへの報復をアメリカ政府にモンサントが要請していたと、ウィキリークスがリリースした外電を公表している。

日本は、GM作物については市民レベルの抵抗はあるものの、基本的にはアメリカの言いなりである。TPPという無関税システムは、はさらにそれを加速させることになる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

学校に体罰を加える橋下

2013-01-26 | 政治と金

大阪の桜ノ宮高校のバスケット部の指導者が、キャプテンを殴り翌日彼は自殺した。親はこの指導者を訴えている。指導者の加える暴力は、体罰と言われる。

体罰とは上下関係がはっきりしている上が与える、暴力である。私は体育系ではないしそうしたクラブなどに入ったことがない。ほとんど体罰は受けたこともないが、体育会系の体罰の暴力の源流は、旧日本軍の中に見ることが出来る。

旧日本軍兵士の体験を何度も聞いたことがるが、反論できない部下を殴る蹴るしごくPhoto。体罰の原型はここあると思われる。思うようにならなかったのは、指導力のなかった自らの責任のはずである。こうした暴力の根底には、服従の強制がある。

桜ノ宮高校の事件は、前日の指導者は40発も殴っているようである。これは控えめに見ても、指導のレベルとは思えない。私怨すら感じられる暴力のレベルである。

ここに興味深い調査結果がある。元巨人の桑田真澄氏が早稲田大学大学院時代に調査した結果がある。東京6大学の野球部員へのアンケートである。中学時代で指導者から体罰を受けたのが24%、高校では46%であった。同じく先輩からは中学時代は36%、高校では51%にも上っていた。

約半数の半数の選手が、体罰を受けているのである。更に驚いたのは、体罰が必要であったと思っている人が、85%にも上っていることである。大学の野球部に進学した選手の、ほとんどが体罰を容認していることである。

今回の事件で、橋下市長が来年度の体育系の入学を認めなかった。生徒あるいは受験生にはなんの瑕疵もない。教師の総入れ替えも強制している。予算と人事を握る立場からの圧力である。

橋下はこれまでも、いろいろな場面で「わからん奴は、ぶっ叩けばいいのです」といった類の発言を、何度も繰り返している。橋下は市長の裁量権の範囲とはいえ、全く暴力的に今回の事件に対応している。「お前が言うか!」というのが率直な感想である。

この男も6大学のラガーマンである。体罰を腹の底では認めていたものと思われる。

日教組憎しの延長上の感情を、橋下は教育者や教育現場や教育制度に向けている。この点は安倍と全く合致するところである。

予算は執行しない、人事は認めないという強権的な対応は、教育の場で取るような対策ではない。こうした”ちゃぶ台返し”の論理は、一時しのぎに過ぎない。体罰が咎められるのは、私情を加えて上位の立場の者が。相手の言い分を聞かない行為だからである。単なる服従の強要である。

とすると、今回の橋下の判断こそ”体罰”と同質の対応と言える。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

庶民を切り捨て企業を優遇する安倍政権

2013-01-25 | 政治と金

消費増税はすでにスケジュールに入っている。そして庶民が最も注目していたのが、軽減税率の導入である。逆進性の強い消費税の緩和策である。生活必需品の税率をを抑えて、低所得者に配慮する制度Photoである。
これを自民党が、面倒だと先送りにした。再来年の10%にするときに検討するそうである。これで、食品の最低でも8%の消費税がきまった。低所得者、庶民を無視した対応である。

その一方で、企業への様々な減税対策や投資などのバックアップは、乱発気味である。税制大綱は自民党の政権基盤に配慮した内容になっているといえる。来春の大増税の前の、参議院選挙対策とも思える2720億円減税である。

その一方で、自動車の重量税が、道路族の圧力で特定財源として復活した。自動車取得税は消費税10%になるときに、引き換えに廃止になる。エコカーは結果的に増税になる。

こうした部分減税・期限付き減税は、消費税があげられる直前に、駆け込み消費・消費の前倒し現象が起きて、見せかけの「景気の好転」が起きる。

結果的に、3党合意の景気条項がクリアーされて、問題なく消費増税が進むことになる。増税後は、景気が後退し思ったような、税収の増加は起きない。

結局は、公共投資のツケとして、次世代には更なる負債が積み重ねられることになり、財政規律の悪化が救いがたい状況になる。

先物食いの、見せかけの公共投資と企業優先による景気上昇で、国民の給与は上がらず庶民不在の税制大綱と言える。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

制裁を見直す時期ではないか

2013-01-24 | 朝鮮半島

北朝鮮が国連の制裁決議を受けて、3回目の高いレベルの核実験をPhoto_5
すると発表した。12月に行った、長距離弾道弾の実験とみなしての、制裁決議である。

海外留学の経験ある、若いお世継ぎなので、世界の情勢を把握しているので、北朝鮮も変わると思っては見たが、何も変わっていない。

国民のことを考えることのない社会体制が、どうして続いているのかを考えなければならない。この国には、”主体Photo_3(チュチュ)思想”というものがある。おじい様の金日成が考え出した、自主独立の思想である。

国民は自らの政権を非難すことがなく、海外の悪者(アメリカと日本それに韓国など)のせいにする。言葉だけは立派で、断固や殲滅などという言葉を常に用いるのは、外敵への意識を鼓舞させるためである。

今回は、ミサイル発射のお慶びもあって、アメリカを名指しで攻撃すると発言している。アメリカにロケット攻撃をすると、発言している。2981327488
日本は新たな経済制裁をするとしているが、もうやることなどない状況である。今回の国連決議には、中国も加わっている。これまで、2006年と2009年はいずれも、国連安保理の非難を受けてその直後に、核実験をやっている。

北朝鮮の本音はアメリカ本土への攻撃などではなく、経済支援や食糧支援が欲しいのである。北朝鮮の国民は、食糧と情報に飢えている。政府は、情報はともかくとして、食糧を与えたいのが本音であろう。

この国を経済制裁しても何も変化は起きない。制裁をすると、国民がさらに飢える。経済援助をすると、指導者が潤う、というジレンマからいつまでたっても脱却できない。

一度は拉致を足掛かりに、日本にアメリカとの関係の修復を打診したのである。彼らは、世界を知らない無知な閉塞状況にある。彼らに情報と食糧を与えることで、新たな展開が開ける可能性がある。制裁は主体思想が彼らを頑なにさせるだけで、何の解決にもならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

よくもこんなにたくさんの会議ばかり立ち上げて

2013-01-23 | 政治と金

今日、23日に政府は産業競争力会議が、召集された。いったい安倍政権はいくつの会議を立ち上げたのだろうか?Photoこの会議は、経済再生本部の下に置かれているようである。

アベノミックスの、金融緩和と財政出動と成長戦略の、3本の矢の最後の部分になる。10人の民間から選ばれた委員によって構成されている。議長の安倍首相が「今、求められているのは政策実現のスピード感、実行力である。官民一体となって強い日本を取り戻したい」と述べ、議論を締めくくった。

厳しい競争の世界で、勝ち組のものばかり集め、しかもほとんどがそのトップの人物ばかりである。庶民感覚などどこにもなく、規制緩和ばかりの大合唱である。

アベノミックスの中でも、2%の成長を日銀にも目標にさせ、ほぼ際限なく国債を買い続ける見せかけの成長戦力は、ほとんどが大企業が恩恵を受けるばかりとなるだろう。

①企業が業績を伸ばせば、②従業員の給料が上がって、③消費が進み、④税収が増加する、のが絵に描いたものである。

このうち多分、①はなんとなく成し遂げられることにはなるだろう。短期的には。しかし、②以下の期待は時間的に、相当先になることになり、結局は庶民は、アベノミックスの恩恵には浴さないことになる。国民の生活が第一と言った政党もあったが、全く逆の動きになる。

とりわけ、この産業競争力会議は総論に明け暮れて、全く矛盾する内容の提言を個別に行う可能性がある。要するにまとまりがつかない、狭視的な企業家たちは政策に具体的な提言をすることがないであろう。

①の産業の成長が、一時でも確認されると、政策の成功を自慢するだろうが、国民にはその見返りがない。その自慢話は、消費税の増税へのゴーサインとなり、見せかけの成長は停止し、大きな財政赤字が数年すると確認されることになるであろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

精彩を欠くオバマ演説

2013-01-22 | 政治と金

4年まえにオバマが、黒人として初めての大統領になり、戦争大統領ブッシュの交代とあって、就任演説を深夜聞いていた。150万の国民を前に、オバマの演説に活気があった。

Obama_2nd_teams何かが変化(チェンジ・Chenge)すると思われ、我々はできる(Yes we can)との訴えは、何かを変えてくれると、我々に印象付けるに充分であった。

4年経った2期目のオバマの演説は、極めて精彩を欠く内容で、いわば実務的なものであったと言える。聴衆も4年前の3分の1程度であった。

アメリカの団結を呼びかけ、中間層の充実こそアメリカに必要だと、就任演説にしObama_dancingては、ねじれ国会対応のための議会に向けた内容で、拡張の低いものであった。

世界各国も、アルジェリアの人質事件を優先して報道し、オバマの2期目の就任演説は、すっかりかすんでしまった。主要閣僚を息のかかった人材を揃えるなど、全閣僚の入れ替えなどの対策が小手先のことに思えてならない。

外交問題には、イランの核開発、程なく代わるイスラエルとの関係、テロ対策、中国との関係、中東からの撤退、東南アジアへの連携など課題は多く、1期目の残滓のように思えるものばかりである。

国内では財政問題に銃規制など、どれをとっても高い支持が得られるものではない。言葉だけで就任できた前期とは異なり、オバマは真の意味でチェンジするべきである。

2期目になれば再選もなく、思い切った政策も打てるであろう。相対的に、アメリカの地位は落ちている。力の政策ばかりを打ち出すのではなく、核廃絶や銃規制など歴史に残ることもできるはずである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

再稼働へ動き出した規制員会

2013-01-21 | 原発と再生可能エネルギー

原子力規制委員会は21日、原発の新安全基準を検討する有識者らによる会合を開いて、福島第1原発事故のような過酷事故を防ぐ対策を盛り込んだ基準骨子案を示した。Photo_2
政権交代を受けて、原子力委員会が原発再稼働へと大きく舵を切ったことになる。規制員会は、原子力発電所の施設の安全だけに限る、過酷事故に対してハードルを少し高くしただけである。

航空機事故やテロにも対応し、免震機能を持ち事故時に緊急対策本部の設置なども新設したとしている。7月には骨子をまとめて基準を施行することになっている。

原発を遊休施設にすると、電力会社の経営の悪化が現実のものになる。周辺の自治体は金がもらえなくなる。その他、財界の圧力などに念頭に置いたものである。

原発の危険性は、施設に限られたものではない。その他、従業員や周辺住民にがんの発生率の高いことや、平均寿命の低下や次世代の影響や脈管系の病気の増大などは考慮の対象になっていない。

それよりないよりも、放射性廃棄物の評価はどうするのだろう。プルトニュウムの生産の評価と、いまだに再利用を唱えている、原発関係者の怖ろしい現実は、規制委員会には検討対象にもなっていない。

また昨日には、発送電事業分離も事実上棚上げにされた。これでは電力会社が自らを守るために、地方に起きる発電事業が規制された形になってしまう。ヨーロッパでは、分離が当たり前になっていて、小発電も自由に参入できる仕組みになっている。

今回の、原子力規制員会の新安全基準は、再稼働へのセレモニーに過ぎない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テロは減ったか?

2013-01-20 | 政治と金

アフガニスタンに侵攻し、イラクに攻め入ってアメリカのブッシュ大統領は、戦果が上がるたびに「テロの危険が減った」と、常套句のように言っていた。

テロとの戦いを宣言した以上、こう言わざるを得なかったのであろう。Photo
ところが、ブッシュの戦争を非難し脱核兵器で、ノーベル平和賞を受賞したオバマも同じことを言った。

オサマ・ビンラディンの暗殺が成功した時にも、オバマは「テロの危険が減った」と述べた。はたして世界は、彼らが誇って言うようになったであろうか?

答えははっきりしている。「否」である。

アメリカで、9.11の同時多発テロが起きて以来、世界各国のテロ対策は格段に厳しくなった。テロリストへの対応も、より厳しくなった。然し、こうした対策の多くは、暴力に対して暴力的に抑え込むことであった。

テロ事件が起きるたびに、テロに対して新たな対策が示されるだけである。新たな予算が組まれて、より強固な管理体制ができるだけである。これはどこの国でも同じである。こうした対策にもかかわらず、9.11以降のテロ発生は、その前の100倍ほどにもなっている。

今回アルジェリアで、またしても悲惨なテロ事件が起きた。アルジェリアは、テロに対し極めて暴力的に対応した。砂漠の真ん中で、自国の奥に封じた格好で、やりたい放題だった。

テロの温床は何か? なぜ自らの危険を冒してまでテロに走るのか? 家庭や家族を捨ててまでテロに走るのか? 彼らの怒りは何に向けられているのか? そうしたことを考慮した対策はほとんどない。

テロの動機づけは、イスラム教のジハード(聖戦)によって多くは説明されている。急に彼らはジハードを思い立ったのであろうか? ジハードをする動機付けを検証するべきなのである。

そうした意味でも、地道でも民間の募金によって、地元の人たちを雇用し、中古の重機を持ち込んで運河などを作って、灌漑し農地を広げている、ペシャワール会のような活動こそ求められるのではないか。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テロ行為とし解釈していては何の解決にもならない

2013-01-18 | 政治と金

3日前に書いた「マリのアフガン化」の不安が、そのまま当たった感じがする。フランスのマリ共Photo和国(旧フランス領スーダン)の武力介入が、このような形で起きてしまった。人命を人質にした、卑劣な事件である。
アルジェリア最大のガス田で、選択的に外国人が拘束された。アルジェリア政府とフランスは空爆によって、拘束者9名ほどと人質36名ほどを殺害したようである。何の芸もない。拘束者と同じレベルの、暴力による解決である。

Algeriagas2_2454259fメディアは、イスラム原理主義者とか、国際テロ組織アルカイダの名前を出して事件を解説している。今回、隣国のマリの北辺への、フランスの空爆の中止を、拘束者たちは主張していた。

アルジェリアは、ロシアのプーチン同様にテロ行為に対しては、暴力的に対応してきている。これまでそれが功を奏してきた経緯がある。今回の事件で、日本政府がいくら”人道的な解決”や”人名第一”を叫んでも、アルジェリア政府とフランスは、黙して反応しなかった。

フランスもアルジェリアも暴力的解決しか念頭になかったのである。Photo_2欧米の意にそぐわない、あるいは利益にならない場合には「テロ行為」とか「イスラム原理主義者」と表現される。意に沿う場合は、民族独立運動であり、民主化と呼ばれるのである。

昨年4月にマリで、クーデターが失敗した。マリの大部分を占めるトゥアレグ人たちとそれを支援する、アザワド開放国民運動による事件である。リビアのカダフィの傭兵たちであった反乱軍の優勢は、フランス軍によって、制圧された。リビアでも、EUの介入で政権が打倒された。

そもそも、この辺りの国家を作ったのもフランスであるし、Photo_3国境を設けたのも、植民地支配し利益を得ていたたフランスである。彼らには国境の概念もなく、国家としての形も持っていなかった。

これまで中東で起きていた同様の事件は、これから中国をはじめとする先進国がアフリカの資源を獲得を争うようになった今世紀、更に頻発するであろう。イラクやアフガニスタンを教訓化できない、欧米諸国である。

彼らの暴力行為は強く非難されるべきであるが、欧米が利権で線を引いた国家の単位で今回の事件を理解するべきではない。彼らの自立と民族性を尊重することが第一である。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地方は廃れ国は栄える

2013-01-16 | マスコミ報道

左の写真は、乳牛を繋いでおくスタンチョンと言われる道具を支える、留め金である。今にも切れそうであるが、45年も経っている。同じ地域の、町工場で作られたものであPhotoる。玄さんと呼ばれた腕の良い、いつもニコニコした爺様が作った留め金である。

玄さんは注文されると、金具にヤキを入れて叩きながら、一つ一つ丁寧に作っていた。この農家も、45年ほど前に牛舎を建てた時に作ってもらった。40個ほどあるが、最近3つほどが切れてしまった。しかし、写真ような状態からでも意外と持つのである。

今ではこの製品は、街の大きな工場で作られる。玄さんの物より安価である。ネクタイをした若いセールスマンが、いつでも大量に届けてくれる。呑気に作ってくれる、玄さんのようなことはない。しかし、柔らかい製品は、10年持つだろうか?

この農家には、玄さんの作った道具がたくさんある。錆びたりはしているが、壊れることはほとんどない。牛を牧草地に繋ぐ金具がある。昨年必要になって探したが見つからず、農協で買ってきた。3日目で曲がってしまった。使えなくはないが、厄介である。よく探すと、錆びてはいたが玄さんの作ったのが見つかった。何の不自由もなく使えた。40年前のものである。

沢山作って沢山使ってもらう。この方がGDPが格段に高くなる。経済行為として評価されることになるのである。日本の構図がここに凝縮されている。

地域の町工場は廃れてしまい、都会の工場は繁栄することになる。腕の良い職人がいなくなり、愛着がわく道具がだんだんなくなってくる。

経済発展とは、効率生産とお金が早く回ることである。玄さんの道具は壊れないために、お金が回らない。玄さんは沢山作ることもできないため、安価には作れない。産業を経済行為としてしか評価することがないため、地方は廃れて国は栄えることになるのである。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マリのアフガン化

2013-01-15 | マスコミ報道

中央アフリカの、旧フランス植民地のマリ共和国が北部民族の独立運動などから、現在内戦状態にある。これに後方支援にとどまっていたフランスが、ついに本格的な軍事介入に踏み切った。01
トゥアレグ人は、リビアのカダフィの傭兵として強力な軍事兵器を持っていた。実践もこなしていた。
リビアの崩壊で余力の出た彼らは、アル・カイダの介入にもあって、マリ政府は国土の3分の2まで勢力を拡大した。
旧宗主国のフランスは、政府の要請を受けて11日に空軍による反撃を行った。北部地域の背後には、広大な砂漠と支援国家が控え02ている。彼らの追放は容易なことではない。戦闘能力としても、政府軍を上回っている。

トゥアレグ人たちはイスラム原理主義者の支援をけるようになり、政府側のフランスの後方支援にドイツ、イギリスさらにアメリカが後方支援に加わった。さらに、周辺のガーナ、ベナン、ナイジェリアアルジェリアもマリ政府の支援を表明している。

彼らは一様に「テロとの戦い」としての、マリ政府の支援を表明していPhoto
る。これは基本的には民族問題である。多民族国家の宿命と言える。

これはどこかで見た構図である。アフガニスタンの欧米の介入そっくりである。アメリカは、アフガニスタンで、多数の民間人を誤爆した無人偵察機の提供も、するようである。

欧米の懲りない面々が、また資源の争奪を求めアフリカで泥沼化する内戦に手を貸している。ある国家が自国に不都合な動きをしているとして、軍事介入することで、被害を被るのは一般国民である。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港