これまで小沢は何度も既成の所属政党を飛出し、新たな党や分派をつくってきた。自由党を抱えて民主党に合流したのが、ほぼ唯一の例外と言える。
そしてこの時以外は、小沢は自らが主導権を握る行動に出ながら党首には、新生党では羽田孜、新進党では海部俊樹を担
いでいる。党の顔には別の人間を置き、自らは黒子となっている。
今回小沢は民主党を飛び出すことになるが、顔に置く人物が見当たらない。自らが党首になるものと思われる。
今回の小沢の主張は正しいし、官僚に対する存在感もこの男を置いて勝る人物はいない。しかし、この男は政局がらみの動きばかりであって、政治的な主張は微妙のその時々で変えている。
行き詰るとすごむ態度や、対立者への強硬な態度が剛腕と呼ばれ、印象が良くない。嫌われ者である。
中途半端な時期の新党結成では、政党助成金が手に入らない。分党なら貰えるが、民主党は分党扱いにするわけがない。
選挙へのパフォーマンスと揶揄されるが、一年生議員が多く小選挙区制の現在、選挙戦は極めて不利な戦いになること請け合いである。加えて、刑事被告人の立場にあり、民主党はガードとなってくれた、証人喚問も受けなければならなくなるであろう。
新党結成の時には近親憎悪の感情に陥ることが多い。したがって出た党よりも、対立政党と連携を組むことが多くなる。しかし、今回は対立政党と本家の民主党が組んでしまっている。
小沢に同調する議員は、新党参加と変わらない人数がいると言われている。彼らが党を出ないのは、こうした選挙事情に不安を抱くからである。
前原が選挙を考えた行動と批判したが、選挙のことを考えているのは、小沢グループの中でも党内に残る議員たちである。
国民感情もよくない。小沢の主張に理解は持っても、新党結成には疑問を持つ人たちが多いとアンケートは答えている。
小沢新党は大義がなく、物理的にも存在感を無くす人数に限ることになる。これまで最も短い小沢新党になる可能性が高い。小沢はこうしたことに気が付いているのであろうか、分党への動きがこれまでになく緩慢である。これが最後の小沢一郎の新党となる。
フォトアルバムに<知床のハシボソミズナギドリ>アップしました。