海の放射能汚染はどのようになっているのだろう。放射能を足で追い続けている、NHKのETVであるが「海のホットスポットを追う」を見て、愕然とした。
東京電力は、3月末から低レベルの汚染水を海洋に流すと、周辺関係機関にに通告した。了解を得たのではなく、流すとした通告である。
これを了解したのは、原子力安全保安院である。保安院の発表は「海に流すと、放射能は薄まる。魚介類が取り込むには相当の時間がかかり、更に薄まる」と発表し、東京電力の海洋投棄を容認したのである。
海洋投棄に直ちに、ロシアと韓国が異議を唱えた。周辺国家に何の了解もない、海洋投棄は誰の目にも異常なことである。
低レベルと言われても、量が多ければ何の意味もない。3月末から4月いっぱい投棄された放射能は推定で、セシュウム137で3.6ペタベクレル、ヨウ素131では11ペタベクレル、合計で15ペタベクレルである。よく分からないが、1京5千兆ベクレルだそうである。
原子力保安院が容認した大量の放射能は、彼らの言うように薄まったのであろうか? 番組は魚介類の放射能を調査している。
海水濃度は薄まっているかもしれないが、アラメで海水の10倍、更にウニで5倍になっている。実に50倍の生体汚染が生きているのである。保安院の推測に基づく、非科学的な願望は見事に否定された。
東電と原子力安全保安院とは、こうしたもたれ合いの関係でこれまで成り立ってきたのである。東電はないをやっても、『科学的』に裏づけしてもらうことで、何でもやり放題であったのである。
更に、直接の海洋投棄以上に深刻なのが、川からの汚染である。山林は除染などされていない。川水は、更に水洗いなどで”除染”された水も、海に流し込むことで、海底堆積などの汚染が広がっているようなのである。
陸に比べて分かりづらい構図にはなるが、海の汚染も相当深刻である。漁業関係者は、数十年にわたって創業ができない可能性もある。