どうやら普天間基地の移転問題が、鳩山内閣の命運を決める大きな問題に次第に膨らみつつあるようである。左の表は読売で出したものであるが、一般の人にとっては解りやすいので拝借した。(クリックすると大きくなる)
何しろ、移転先を巡って実に多くの話が持ち上がり、ここでも11か所が取り上げられている。簡単な話ではあるが、何処の誰も受け入れに賛意を表してくれるところがない。万が一にも移転された場合でも、価格を吊り上げることが可能なように反対声明をしておくのであろうが、本心から反対のものももちろんある。
鳩山首相は、「ベターになるかもしれないと」発言した平野官房長官に対して、「ベストの案を模索する」とくぎを刺した。しかし、最早ベストはもちろんベターの案も存在しない。誰かにとって必ずバッドになるのは間違いないからである。簡単な話、誰もが喜ぶ案など既に存在しないからである。どんな案でもワーストな地域や人たちが必ず出る。
厄介なのは、アメリカが日本の安全保障をお題目にしながらも、日本に多額の負担を強いているからである。沖縄に基地が必要かどうかは、今やアメリカにとっては軍事的にはさほどの問題ではなく、沖縄に駐留することが経費軽減になるからである。そもそも、沖縄の海兵隊は日本の防衛に役立つことなどなく、ベトナム以来の侵略戦争への前線基地としての意味合いが大きいのである。自民党が駐留の根拠にしているのも、日米安保条約である。
沖縄返還に、核を巡る密約があったことが今ごろになってはっきりした。日米安保条約に関しても、同様の密約があったこともバレテしまった。沖縄県議会が、「県内移設反対」を決議した。そうしたことを考えると、普天間基地は国外に持って行くしか選択肢がない。
東西冷戦の遺物が決めた基地である。冷戦は崩壊したし、政権交代も起きた。安全保障の問題を論じるのに、格好のタイミングである。普天間基地の移設の場所だけに限定するのではなく、日本にとって米軍は何のために存在するのか本質的なことを検討するべきである。鳩山由紀夫が海外移転を決断できるかで、自らの内閣の命運が決定することになる。