欧米のメディアには、政治や経済について、大変辛辣(シニカル)あるいはユーモラスなコメントや諷刺画を売り物としているものがいくつかある。読者は一見して楽しめばすむだけのことだが、時にはいささかやり過ぎと感じる場合もないわけではない。
日本の最近の政治は、誰が見ても惨憺たるものだ。海外のメディアの方が、えこひいきなく客観的に見ていると思える部分も多い。最新のThe Economist(5th-11th 2010)は日本を取り上げ、「指導者のいない日本」Leaderless Japan と題する論説を掲載している。論説自体はいつものごとく興味深いのだが、少し驚いたのは雑誌の表紙だ。国旗の「日の丸」から赤い丸(日の丸)の部分が脱落して落下している辛辣な絵を掲載している。
ひと頃だったら、ここまでやるかと思ったかもしれないが、最近の政治の惨状をみるかぎり、そうした思いを通り越して深刻に考えさせられる。日本の首相は任期制?という冗談を聞いたこともある。この雑誌、しばらく前には「頭痛を分散する」*と題して、白地に大小の赤丸が散った国旗?を憂鬱な表情で眺める人々を戯画化して描いてみせた。野党に下った自民党から離党した人たちの小政党の乱立ぶりを取り上げ、諷刺している。
国中あの大騒ぎのあげく政権交代しても、結局9ヶ月、259日しか保たなかった。その間、この国が目指す再生、活性化の道は、ほとんど国民に示されることなく終わった。政治家も国民の身の丈に相応しているといえば、それまでだが、今度だけは白旗を描かれないようがんばってほしい。
* 'Splitting headaches' The Economist April 10th 2010
'Leaderless Japan' The Economist June 5th-11th 2010