時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

アイルランドのような田舎?

2008年07月16日 | グローバル化の断面

  アイルランドが、EUのリスボン条約に「ノー(否)」を突きつけて、「小国の反乱」として大きな話題となっている。チェコ、ポーランドなどの中規模国も同調するかもしれないと、フランス、ドイツなど大国首脳は苦い顔らしい。2005年のオランダのEU憲法条約否決が頭をよぎるのだろう。

  アイルランドと聞くとすぐに思い浮かぶ詩がある。
丸山薫
「汽車に乗って」という詩だ。

汽車に乗って     
あいるらんどのような田舎へ行こう     
ひとびとが祭りの日傘をくるくるまわし     
日が照りながら雨のふる     
あいるらんどのような田舎へゆこう (後略)

  この詩をどこで読んだかは定かではない。小学校の教科書かもしれない。しかし、不思議と全文、脳細胞に残っていた。「日が照りながら雨のふる・・・」という一節が大変印象的で、これは日本でいう「狐の嫁入り」という現象だということまで覚えていた。多分、先生の説明だったのだろう。しかし、なぜ、こうした現象が起きるのかまでは知らない。どこかの地方の言い伝えだったのかもしれないと思い、辞書を引いてみると、いくつか違った説明が出ている。

    これも子供の頃、日本人以上の日本語の達人といわれ、エッセイが国語教科書にも載っていたCandou神父のお話をうかがった折、バスクにも同じ現象がありますよといわれて、不思議に思ったこともあった。なにがきっかけでこの話になったかはまったく覚えていないのだが、多分その時、晴天なのに雨が降ったのだろう。Candou神父は、
フランスとスペインの国境にまたがるバスクから来られたのだった。バスク人と日本人は似ているところが多いというお話もあったような気がする。いつか調べてみようと思いながら、果たすことなく今日に至っている。

  ニューヨーク滞在の折に、今では日本でもかなり知られるようになったアイルランド系の人々の祭日、
セント・パトリックス・デー(3月17日)のパレードがあり、フィフス・アヴェニューを緑色の衣装や飾り物が覆い尽くす光景を見たことも、移民で形成された多民族国家アメリカへの興味を誘った。こんなことが重なって、アイルランドについて、少しずつ知識も増え、イギリス滞在の折に短期間ながら訪れるまでになった。気づいてみたら、かつて一時期、仕事でよく泊まったパリのホテルまでCELTICになっていた。



  アイルランドは移民史の上では、長年にわたりアメリカなどへの移民送り出し国として知られてきた。日本では人気はいまひとつだったが、フランク・マコートの
『アンジェラの灰』がその厳しかった移民事情を興味深く伝えている。それが、いまや受け入れ国になり、先端技術の導入などもあって大変活性化し、世界の注目の的になっている。ブログでも話題にしたことがあるが、 「アイルランド・モデル」の可能性まで語られている。一見地味だが、堅実で、国民性の際だっている国だ。この小国の反乱、どんなことになるのか、見守ってゆきたい。

     
ケルト語[族]の意味。ケルト Celtic 民族は、今日ではアイルランド、スコットランド、ウエールズ、ブルターニュなどに散在。あの中村俊輔が所属するスコットランドのサッカーティームもCELTIC
だ。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
K神父 (arz2bee)
2008-07-16 18:05:09
K神父にお会いになったことがあるのでしょうか?K神父の本は母が好きで、子供の頃に釣られて読見ました。素晴らしい日本語の滋味溢れる話が多かったような記憶があります。以来バスクはいつかは訪ねてみたい国になっています。
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子供の聞きかじり (桑原靖夫)
2008-07-16 22:55:01
arz2beeさん

背景は分かりませんが、私の両親を訪ねてこられたK神父にお会いしました。同席を許された私は、大人の話を聞きかじるくらいになっていたようです(年齢が分かりますね)。ベレー帽を被っておられたと記憶しています。

素晴らしいブログ拝見しました。時々お邪魔させていただきます。
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Unknown (Missa)
2008-07-16 23:10:15
こんにちは

ずっと夢みていたアイルランドは想像以上に活気にあふれ、非常におもしろいところでした。料理もおいしかったです。

田舎の風景はブルターニュによく似ていると感じましたが。
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ブルターニュの風が吹く (桑原靖夫)
2008-07-17 15:00:15
Missa さん

アイルランドの旅を楽しまれてよかったですね。ブログで拝見していました。ケルトの世界は奥深いですね。

ブルターニュとアイルランドの田舎の風景が似ているのも、どこかでつながっているのかな。
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K神父 (arz2bee)
2008-07-17 20:39:14
K神父にお会いになったことがあると聞き、非常に不思議な感動を覚えました。確か顎髭を蓄えておられた写真を記憶します。度重なる引っ越しで神父の著書もなくし、母は四半世紀前に亡くなっておりますので、12,3歳時の記憶だけですが、良いブログにを見つけました。 
 お返事ありがとうございました。
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子供の聞き間違い (桑原靖夫)
2008-07-18 10:04:46
arz2bee さん

大変お恥ずかしい間違いをしました。お名前からすればSauveur Candauですから、C神父とするか、フルネームを記載するべきだったのでしょう。家でもカンドウ神父様と家族が呼んでいたので、バスク語に疎い私は、うっかり日本語の発音につられた表記をしてしまいました。それでもカンドウ神父とお気づきになり、暖かいコメントをくださったarz2bee さんには大変感謝申し上げます。カンドウ神父さまもごめんなさい。カンベンしてください。
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カンドウ神父 (Missa)
2008-08-07 17:32:34
こんにちは

こちらに書かれていたカンドウ神父のことです。私の敬愛するフランス文学者、田辺保先生の著書「フランスこころの旅」のあとがきにバスクでカンドウ神父のおさななじみと会った話がありました。様々な人々に愛を説いたすばらしい方だったのですね。

この本は絶版になっていてやっと手に入れたのですが、今年鬼籍に入られた田辺先生がカンドウ神父と重なって感じられました。先生とお会いしていなければ、私の人生も違っていたのではと思います。直接関係のない話で申し訳ありません。
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アイルランドのような田舎へ (桑原靖夫)
2008-08-07 19:15:51
Missaさん

世界は本当に狭いですね。カンドウ神父がお生まれになったバスクは私も行ったことはありませんが、大変興味深い地域ですね。神父は大変エッセイがお得意だったようで、私が覚えているもののひとつに、神父と人力車引きとの会話を題材にしたものがあります。田辺先生のご著書は、私も読んだことがあります。
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