さて、ニータ氏と共に次に向かったのは、三菱のお店。久々に復活したブランドネームの、新型RVRに試乗するためである。試乗させていただいたのは、「カワセミブルーメタリック」というカラーを纏う、「G 4WD」(CVT:税込車両本体価格244万9650円)だった。
最近のトレンドとなった「マルチインフォメーションディスプレイ」がビルトインされた自発光式メーターは、なかなかイイ感じ。その一方で、3連ダイヤル式の空調コントロールは使いやすそうではあるが、そのスイッチのプラスティックの質感は、安物の家電のような趣で、ややいただけないモノであった。
走り出すと、昔のSUVのような曖昧さは無く、シャキッとしたフィールで好感が持てる。セールス氏曰く、プラットフォームは同社の「アウトランダー」と共通だそうで、言ってみればその前後オーバーハングを削って出来上がったのが、このRVRなのだとのこと。
フロントフェンダーはなんと樹脂素材で出来ており、その採用で軽量化と接触復元性とを両立したという。経年変化で鉄板部分との色味に違いが出てくるようなことは無いのだろうかと心配になるが、昔のフランス車では無いから、おそらく大丈夫なのだろう。
このクルマは燃費でも頑張っている。1.8Lエンジンは私のレガシィ2.0iとほぼ同じ139psを発揮し、4WD仕様でも10・15モード燃費は15.0km/L!雪国のユーザーにとっては、なかなか魅力的なスペックである。
総じて、RVRは、なかなかいいクルマだった。
が、私としては、ギャラン・フォルティス等と共通したイメージのフロントマスクが好みではない。なんだか、「エサをねだる池の鯉」を連想してしまうのだ。それは、私だけなのかもしれないが・・・
さらに言えば、このクルマは、初代RVRの再来と言うよりは、かつての「エアトレック」に近いイメージだと思う。’91年登場の初代RVRは、そのクルマを所有することで、なにかライフスタイルと言うか、新しい生活を予感させるものを持っていたが、この新型は、そういうものの提案性に欠けているような気がしてならない。惜しい。
さて、試乗会からの帰り道。久々にニータ氏所有の「初代フリーランダー」を運転させてもらった。ベージュの本革を基調としたインテリアが、そこはかとなくブリティッシュ・テイストを感じさせる。そして緻密で、文字体もなにかお洒落なメーターパネル。黄色い警告灯が2つ灯っているが、ニータ氏曰く、それもブリティッシュテイストの演出のひとつなので、何の矛盾もないとのことであった。
トルキーな2.5LのV6エンジン。しなやかさに満ちた足回り。上質なフィールのステアリング。ただ一点を除いて、このクルマには全く死角はない。そう、リッター6kmに届かない燃費を除けば・・・