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葛飾むかし話,現地を訪ねる、 第4話

2016年08月22日 | 文学  民話&伝説&昔ばなし

             矢切りの怪談=物語  

                                  

                

  むかし、ある男が、矢切りの当たりの江戸川で、毎晩投げ網で魚をとっては、街に売りに行き、暮らしていました。

ある晩、いつものように、川に舟を浮かべて、網を投げ続けていましたが、どういうわけか、この日に限って、雑魚一匹も掛りません。

そうこうしっているうちに、日はとっぷりと暮れてしまい、気が付いた時は一寸先も見えないほど暗くなっていました。

              

そのうえなまぐさい風がふきはじめ、きゅうにぞくぞくと寒気がして来て、着物も水に浸かったようにずっしりと重くなりました。何とも言えない不気味な気配に包まれました。

そして人のうめき声に交じって、泣き叫ぶような声が聞こえてきました。

男は恐ろしさに、全身に冷汗が走り、体中の力が奪われて、舟の上にへたり込んでしまいました。

  しばらくして男は気を取り直し、無我夢中で岸にたどり着き、這うようにして我が家にたどり着くなり、そこで気を失ってしまいました

おかみさんは、物音に驚いて、起きだしてみると、真っ青な顔で、目のうつろな顔色で、息のたえだえの夫を見つけました。

慌てて抱き起こし、酒を飲ませて火をたいて身体を温めてやると、夫もやっと気が付きました。

そしてふるえる手で、

「ここ・・・・・・・・、ここ・・・・・・・・・・。」

と胸のあたりを指さしました。

  おかみさんが覗いてみると、大きな蛇が、胸にぐるぐると巻き付いているでは有りませんか。かま首をもたげて、いまにも飛びかかろうとしているのでした。

            

おどろいたおかみさんは、急いで奉書紙に”おはぐろ”をたっぷりしみこませて、蛇の首をしっかりとつかまえて引っ張ると、蛇はばらばらと四方に飛び散ってしまいました。

←江戸川

   戦国時代、矢切りのあたりは、里見氏の家臣でや、お姫様、それにお付きの人達が、敵の目を逃れて、逃げてきた所だったのです。

道に迷い、一夜を泣き明かし、朝になるのを待って、固くに手をつないで、江戸川に次々と飛び込んで死んでいったのです。

この人達の怨念が、蛇となって矢切りの川を荒らすものに取りつき、この場所を守ろうとしたのではないでしょうか・・・・・・・・・・。

 

         ←里見公園の泣き石
 この石には古戦場にまつわる悲しい伝説があります。
 石棺の中の人である里見広次さんは、1564年の合戦で戦死しました。この時、十二、三歳になる広次の娘が亡き父を慕ってこの地にやってきましたが、合戦場の悲惨な有り様にショックを受けて、この石にもたれて泣き続けるうちに死んでしまったというんです

http://blog.goo.ne.jp/tsyouji5243_001/e/88e4b2a3faceb0ef6af0cdc15130c3fd

                                物語  終り

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注1、”おはぐろ”とは、むかし結婚すると女の人が歯にぬったもの。

注2、地名については、戦国時代に起きた国府台合戦里見方が矢が切れ負けたことから「やきれ」→「やきり」→「やぎり」となった説があるほか、矢の飛び交うことことを嫌い、矢を切る。(矢はもういらない)という説もある。

おことわり
 物語の現場は、よくわかりません。
縄文人は、荒川の源流から都へ、筏で?下った来た者です。
しかし、ここ柴又周辺に住み続けて50年、足を運んで伝説や物語を画像でつなぎ合わせてみました。昔ばなしが、現実の風景とがマッチするように心がけました。

 

コメント (16)
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