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(181)若水を汲む  その1

2006年01月11日 | 文学  コラム・エッセイ

15日が来ると正月も終わる〔松の内〕
本箱を整理していたら,前に書いた〔正月』文集が出てきた。
その一部を2回に分けて掲載します。

・・・・・・・・・・・・・・△・・・・・・・・・・・・・・

 

      『若水を汲む』               
                                   〔1995 正月記す〕

              山井戸に若水汲みて空碧し       (縄文人〕

昨今、若水について見たり聞いたりすることはなくなった。
その言葉すら消え失せた。
若水という言葉の響きに懐かしさを感じるとともに、子供の頃のことが蘇ってきた。
正月の若水汲みがかすかに脳裏をよぎる。
秩父の生家は、勝手口の近いところに“つるべ井戸”があった。井戸から汲み上げ、
天秤棒と桶で肩に担いでお勝手口に運んでカメに貯水した。
なぜか、元日はこの井戸水を使わなかった。
およそ300m離れた諏訪神社の井戸水〔湧き水〕を使った。

山裾に続く雑木林の一角にヒッソリと忘れ去られたように諏訪井戸があった。
春は周辺にフキ、セリ、ゼンマイなどが芽吹き、新緑で一杯に覆われた。
秋になると落ち葉が吹き溜まり井戸の周りや中にも落ちた。
枝葉は、水底に沈み清泉な深水を通して透いて見えた。
冬は水面に浮いた葉とともに凍結してステンドグラス状に模様を呈した。
山塊から湧き出す清水は1年中枯渇することはなかった。
耕地〔※〕の人たちは、若水汲みの井戸として尊び、正月3ケ日毎朝汲みに出かけた。

元日になると誰か飾ったか、輪飾りがかかけられ正月気分を誘った。
澄み切った朝の静寂の中、初鶏がなく刻になると、耕地の人たちは、
手桶とひしゃくを持って若水の井戸に急いだ。
『おめでとう御座います』と行き交う人々に挨拶をした。
耕地は向三軒両隣、家族と同じように強い深い絆で結ばれていたから、
『今年1年よろしくお願いします』という意味合いも含まれていたのだろう。

※〔耕地〕=町村制の小字〔コアザ〕に当たるもの。山郷のあちこちに集落が点在する。
これを耕地と呼び集落の名を冠して〇〇耕地と言う。

                                       明日に続く


写真は本文と関係ありません〔資料提供〕

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日のメモ

今朝は3,5度、日中の温度は10度に上がり冬季の平均気温という。
今日は、鏡開き。
正月の餅を神棚から下ろしお汁粉などに入れて食べる日。鏡餅は木槌などで割り食べるとよい。包丁は禁物といわれる。
我が家では、しばらく天日で干して油で揚げていただく。

 

 

                                    

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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
せっちんさん ()
2006-01-12 08:09:10
およそ10年前気ままにまとめた文集が出てきました。

そのソロ正月気分も終わり、そんなことから掲載しました。



blog『継続は力』頑張ります。



1句奥の倉庫に保管します。
返信する
お気楽サン (縄文人)
2006-01-12 08:05:19
はじめまして

宜しくお願いします。



お気楽サンより歴史が新しいので多くのことを学ばしてもらおうかと思います。



埼玉から出てきて東京生活40余年になります。車寅二郎さんの故郷・柴又に住んでいます。

遊びに行きます宜しく。



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Unknown (せっちん)
2006-01-12 07:09:03
縄文人さん おはようございます。

昨日はありがとうございました。

人との出会いは

ず~~っと後になっても記憶の中に。



連れ合いの実家には山からの湧き水が今も枯れることなく流れています。

山の中腹にある家ですので安心して昔は飲めたようですが、

今では煮炊き・冷やしに使うだけになっているとか。

○ 裏やぶの 青さを吸いし湧き水の 鯉の姿を映してる

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縄文人さん....こんばんは. (気楽*道楽*娯楽より.)
2006-01-11 20:51:47
縄文人さん....初めまして お気楽といいます.

以後は お気楽で 結構ですョ.



お気楽は 山口県の下関に 住んでいます.

今後共 宜しくお願いします.



そぅそぅ お-ちゃんとは 孫娘が 小泉首相と

手をつなぎ 地球温暖化の 新聞に掲載された

とこから ブログのやり取りが始まりましたょ.

又 遊びに 来ます.
返信する
Unknown (真締 正直さん)
2006-01-11 18:37:29
正直さんのところは今でも毎年なされるのですか。

それは感心いたしました。

昨日もTVで核家族、コンビニの24時間営業、デパートの正月1日からの営業で食生活が変化してきた。

おせち料理などは夫婦2人ではコンビニで買ったほうがいい、又お正月料理はお店が休みになるため保存のために・・・と言っていましたが1日から開くのではそんな心配はいらなくなりました。

時代の変化に着いていけなくなりました。



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おーちゃんへ」 ()
2006-01-11 18:29:34
昔こんな風習があったところは山の中ぐらいしかありません。

もう、TVの普及、食生活の変化、農業の衰退で農村文化も変化し東京オリンピックを境にしてガラガラト崩れ去りました。



それがいいか悪いかは致し方なく時代の流れ?です。
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とくさんへ ()
2006-01-11 18:24:51
諏訪神社はあちこちにありますね。

その総本山はどこかわかりませんが、長野の諏訪湖にある諏訪大社は有名ですね。



5月がお祭り、春季大祭ですか?

たのしみですね



わざわざ山楽会の訂正有難う。
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名水 ()
2006-01-11 18:16:00
9月5,9月9日名水欄拝見しました。

『水清き魚を住まず』

山から流れ出た所には魚は居ないようですがカワニラは居るのではないですか。



名水で コーヒー呑むと美味しいといいますが縄文人はもっぱら、力水を愛好しますので



蛍に飼育は、わかりますが『水』をblogでどのように発展させる意気込みがあったんでしょ

うか?

とくさんと、おっしゃいましたね



とくさんは、いろいろなことに造詣が深いので  蛍の、発展を祈ります。

返信する
文章の訂正 (とくさん)
2006-01-11 17:52:49
今日は歯医者さんの予約日で、急いでいたものですから文章を良く確認せず、投稿してしまいました。



結成したのでは無く参加したもので、私はいたってのん気です。
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鏡開き (真締 正直)
2006-01-11 15:01:15
今日 11日は鏡開き。

正月のお雑煮から、七草粥 鏡開き 小豆粥 等々一月は食べる行事が目白押しですね。

でも良く調べると、総て合理的で先人の知恵が一杯詰まっています。

我が家でも、其の知惠を頂く為、毎年欠かさず行っています。
返信する
子供時代を (横浜のおーちゃん)
2006-01-11 11:34:15
いい環境のところで過ごされたんですね。

自然に感謝し、近隣の人たちとの生活を大事にする・・・いま失なわれっつつあるのが危惧されます。
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諏訪神社 (とくさん)
2006-01-11 10:56:46
我が家の近くにも諏訪神社があり、私の住んでいる場所は氏子の範囲圏で5月のお祭りには寄付集めにやって来ます。



諏訪神社は全国に有るようで、近くの神社の正月は初詣の人で列をなしてます。
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おいしい水の条件 (自然を尋ねる人)
2006-01-11 09:37:49
近くにきれいな水があると言うことは最高の贅沢では無いでしょうか。

昨年の9月ごろホタルか水かどちらを優先で学ぼうかと言う時期がありました。結局ホタルにしたのですが9月5日と9月9日のブログは水について述べています。宜しければ見てやってください。(PR)

人間昔取った杵づかは忘れないといいますがなるほど!さすが!
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