私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

スオミの話をしよう

2024-09-22 18:56:34 | 映画鑑賞

詩人の妻であるスオミが行方不明になり、詩人の家に集まる事になるスオミの元夫たち。

スオミがそれぞれの夫の前で見せていた顔は全く違っている事が分かってくるものの、4人の元夫と現在の夫の「自分の妻だったスオミはこんな女性だった報告会」は収束せず。

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5人の夫のキャラクター設定が混乱する事はないが、予想外の爆発はなく、全員なんだかわかりやすい勘違いをしているなと思う。スオミに会う事なく捜査を手伝う瀬戸康史演じる刑事が一番元気でエネルギッシュだった。他の5人は、何だか訳の分からないスオミにそれぞれ英気を吸い取られてしまったのでは・・・・と思ったりする。

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三谷幸喜作品故、『これが舞台だったら、最後までスオミが姿を現す事なく、結局スオミって一体何者?』と思って観客が劇場を後にしたかもしれない。と想像したりするが、映画では長澤まさみが八面六臂の活躍で5パターンのスオミを見る事が出来る。夫たちの各種勘違いにクスっと笑いは出るが、しかし大爆笑とまでは行かないのだ。(大爆笑でなくてもいいのかもしれないが、私はもう少し笑いたかった)

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結局最後の『ヘルシンキ ヘルシンキ ヘルシンキ ヘルシンキ ヘルシンキー』に全部持っていかれた感あり。

 

〈大ヒット〉ヘルシンキ編 映画『スオミの話をしよう』15秒映像


ソウルの春

2024-09-15 20:01:01 | 映画鑑賞

1979年の韓国。朴正煕大統領の暗殺後の民主化ムードの中、生前の朴正煕大統領の元での中堅メンバー達が中心となって結成されたハナ会と、この機会に新しい体制を目指す勢力との対立が目立つようになる。

1979年12月12日の夜「機は熟した」とハナ会を率いて行動を起こす後の大統領である全斗煥と、彼とハナ会の行動を止めようとする軍人の、たった一晩の戦いを描いた映画。

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10月26日の大統領暗殺後、2か月も経たないうちにクーデターを仕掛ける全斗煥の後ろ盾になったのは、軍内部の秘密結社でもあるハナ会。電話を全て傍受し首都ソウルを守ろうとする軍の動きを把握し、各師団に所属するハナ会メンバーの存在を最大限に利用する。権力を手に入れようと欲望むき出しの集団の前に正攻法で挑もうとする軍人のイ・テシンは結局力尽きるのだ。

歴史的な記録や資料を基に創作も交えて描かれる9時間の攻防。結末が分かっていても、圧倒的な緊張感と分刻みの駆け引きで142分を一瞬たりともダレることなく見せる。

政治的な欲望を隠す事もせず「負ければ反乱、勝てば革命」と気を吐き、驚く程ビジュアルも似せて後の全斗煥を演じるファン・ジョンミンと、軍人として行うべき事は国防のみと、ブレることなくソウルを守り切ろうとする軍人のイ・テシンを演じるチョン・ウソン。

この二人を筆頭に軍人を演じる俳優達の力技の演技の数々。そのリアルさに息を飲む。

そしてこの9時間の出来事が、民主化要求を求めた市民たちを虐殺した翌年5月の光州事件に繋がっていくのかと思うと、軍人が政治的権力を持つ事に固執する事の怖さを感じずにはいられなかった。ただ、この後そんな風に権力を握った彼らもいずれは負け犬のように表舞台から降りる事になるのだ。権力に固執する恐ろしさをエンタメとして昇華して見せる映画の熱さの裏にある現実をも感じる。

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韓国版のポスターは、ファン・ジョンミンが全斗煥の見た目に寄せている事が更によくわかるようになっている。

これだけの登場人物で描かれる12月12日の夜の出来事。


ランサム 非公式作戦

2024-09-08 19:21:08 | 映画鑑賞

キリスト教勢力とPLOを主力としたアラブ人との対決に揺れるレバノンで、行方不明になった韓国人外交官。その後、1年程音信不通だった彼からの連絡と思われる電話を受けた若い外交官。

仲間を救う事は勿論、自分の将来の出世の為に身代金の一部を手にして一人現地に向かう彼。しかし、内戦で混乱するレバノンでは、拉致の解放交渉は、大きな金が動くという事で食指を動かす輩が沢山いるのだ。間に入る交渉人だけでなく、臨時収入になるからと介入してくる現地の役人、そして純粋に金を奪うためだけに襲ってくる武装勢力。

金が交渉の全てであるはずなのに、韓国国内で安全企画部を出し抜いて外交部だけで事を運ぼうとした事から、本国からの金が入金されず支援なしの状況で救出に向かう事になる外交官。そんな頼れるものはなんでも掴みたい外交官の前に現れたのは、不法入国したレバノンでタクシー運転手をしている韓国人男性。韓国政府からの見返りをちらつかせて、彼と一緒に救出に向かう外交官だが、国からの公式の支援がない中で救出がスムーズにいくわけがない。

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外交官を演じるハ・ジョンウとタクシー運転手を演じるチュ・ジフン。利害関係が完全に一致しているとは思えない二人が、内戦に揺れる海外で、支援がない中で金を持って人質交渉を行うのだ。タクシー運転手は外交官の金を持ち逃げする事を計画するも、仲間割れはすなわち死に直結する。

ありえない状況の中、協力していくしかない道中が数々のアクションで描かれる。お互いを信じあわなければならないその二人の気持ちの変化を、二人がきっちり見せてくれる

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ソウルオリンピックの開催を前にした韓国の状況が描かれる実話をもとにしたフィクション。実際の事件については今も開示されていない情報があるとの事で、その情報が開示されるまでまだ20年近く待つ必要があるとの事。

 


クロス・ミッション 

2024-09-02 22:02:01 | 映画鑑賞

刑事として働く妻の八面六臂の活動を陰で支える夫。妻の同僚たちからは、愛情をこめて「弟の嫁さん」と呼ばれる彼だが、その姿は仮の姿。元特種要員だった過去を妻にさえも秘密にして日々過ごしていたのだ。

しかし、過去と完全に縁が切れないのが元特殊要員の辛い所だ。以前の仲間からのSOSに応じた事で話は一気に動き出す。

怪しい動きが目立つ夫の浮気を疑う妻と、その勘違いを後押しする職場の刑事たちのちょっと間違った勘。また夫が巻き込まれる事件に刑事の妻も巻き込まれ、妻と夫は共同戦線を張り、びっくりするような巨悪に立ち向かっていくのだ。

Mr.&Mrs. スミス、奥様は、取り扱い注意等、夫婦で素性を隠す映画は様々あるが、この映画はその中でもソフトな面に特化した映画。夫妻の間に割って入るような役柄のチョン・ヘジンの見せる別の顔が、映画の後半をグイグイ引っ張る。

いくらでも深刻に出来る内容だが、明るくカラッとした雰囲気に仕上がっているので、夏の暑い時期、ノンビリ見るのにピッタリの映画だ。

 

ネットフリックスで鑑賞。

 


ガス燈

2024-08-31 20:35:05 | 映画鑑賞

叔母を殺人事件で亡くした女性が、留学中のイタリアで出会った作曲家の男性と結婚。叔母と暮らしたロンドンに戻って新婚生活を送るものの、ちょっとしたもの忘れや所有物の紛失を夫から指摘される。「君は疲れているんだ」「君がちゃんとしないから僕が守ってあげる」繰り返されるそんな言葉の数々に、次第に少しずつ何が正しいのか、判断に悩むようになる女性。

妻を庇うようにも思える行動の数々は薄っすらと高圧的で、彼女の存在を受け入れるようにも思えながらも、彼女の行動と判断を最終的には全て否定しているのだ。

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加害者が誤った情報の数々で被害者を操り、判断力を奪う行動をガスライティングと呼ぶのはこの映画が由来。

ソフトなモラハラで真綿で首を締めるかのように少しずつ女性の判断力を奪っていく様子が怖い。ただ、これをやられている被害者も当初はそれが心理的コントロールとは気づかず、様子が変だと思った時には、周りも被害者がおかしいのだと思うような状況になってしまっているのだ。

映画では、加害者の魂胆に気づいた刑事の活躍があるが、実社会でこれが行われた場合、特に職場でこれが行われた場合は、隠れたパワハラになるんだろうが、被害者が加害者に飲み込まれてしまっているケースが多くて、周囲の者が気づく事はまれだろう。たとえ気づいた者がいたとしても、その人が積極的に被害者に関わろうとしなければ、周囲も加害者の作った雰囲気に飲み込まれてしまっており、修復は難しい状況のはずだ。ガスライティングという言葉に引っ張られながら、シャルル・ボワイエ演じる作曲家の行動の一つ一つに恐ろしさを感じながら映画を観る。

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近所のスーパーで、食料品の横に並んでいる格安名作DVDの棚の中にこの映画を見つけて購入。

 


ラストマイル

2024-08-24 20:08:52 | 映画鑑賞

巨大ショッピングサイトの物流センターから発送された荷物が爆発する事件が起こる。爆発物は梱包された荷物の中に、いつどこでどうやって紛れ込んだのか。ブラックフライデーというショッピング業界における稼ぎ時を狙った事件。目的も分からず、爆発物がどれだけあるのかも分からない。ただ、配送を止めて原因究明を行う選択肢はないのだ。品物を発送しなければ売り上げは立たず、荷物を配達しなければ運送会社も配達を請け負っている委託業者も売り上げを立てる事が出来ないのだ。ショッピングサイトの物流の流れには、川上から川下まで多くの企業と多くの人が複雑に絡み合う。

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映画は物流倉庫を舞台にし、それに「アンナチュラル」と「MIU404]のエッセンスを注入した「犯人は一体だれなのか?」というエンタメ映画なのだが、私は物流業界の流れとパワーバランスがとにかく気になってしまって仕方なかった。

効率と言う名の元の過酷な「やりがい搾取」と、疲弊した人を「能力不足」と切り捨てるパワーバランスの冷たさ。

トラック事業者はドライバーの確保が出来ず輸送が出来ない可能性、荷主は配送業者から輸送を断られる可能性、消費者は当日や翌日のスムーズな配達サービスが受けられない可能性・・・

トラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制などが適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足する事が問題となっている物流の2024年問題の事が気になってしまい、火野正平と宇野祥平が演じる委託の配送業者や、大手ショッピングサイトから配送業務を請け負っている羊急便の局長阿部サダヲにもっとスポットが当たって欲しいと思いながら鑑賞。

勿論、巨大ショッピングサイトの物流センターという大きな怪物の存在も忘れたわけではない。マネージャー役を演じる岡田将生の佇まいからその効率主義のあれこれを色々考える。

 


フォールガイ 

2024-08-18 19:29:10 | 映画鑑賞

ライアン・ゴズリング演じるスタントマンのコルトはハリウッドスターのトムの主演映画の仕事中に事故を起こした事で仕事から離れていたのだが、トムの映画のプロデューサーから再び声がかかった事で現場復帰。久しぶりの仕事の上に、トムの映画は監督は元彼女ということで微妙な立場に戸惑うコルトだが、本当のミッションは、姿を消したトムを探し出す事だったのだ。

とにかく明るく、映像愛、スタント愛に溢れた映画だ。映画館で、楽しく元気が貰える2時間を過ごしたい私にピッタリの映画だった。

主人公のコルトはキャリアを中断しやや鬱々としている設定なのだが、動きだしたらキレキレのアクションの数々。シドニーオペラハウスの前で繰り広げられるアクションも、劇中劇のメタルストームの恋愛話も壮大な映像でありながらも、どちらも何かクスっと笑ってしまいたくなる設定だ。

とにかく私にとっては最高のエンタメ映画。

次々と流れる音楽もテンポ良く物語とアクションを盛り上げる。キッスのI Was Made for Lovin’ You、映画監督を演じるエミリー・ブラントはカラオケで♪Take a Look at Me Now♪という歌詞が耳から離れないフィル・コリンズの歌を感情たっぷりに歌い、予告編映像ではジャーニーのAny Way You Want Itが軽快に流れる。

制作会社はユニバーサル・ピクチャーズと監督のデヴィット・リーチが設立したアクション映画に特化した製作会社87ノース・プロダクションズ。字幕監修に谷垣健治氏のクレジットがあるのも納得だ。

映画『フォールガイ』本予告<8月16日(金)全国公開!>

 

映画『フォールガイ』特別映像【Introducing The Stunt Team】<8月16日(金)全国公開!>

 

 


映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記

2024-08-11 19:39:18 | 映画鑑賞

恐竜を現代に蘇らせたテーマパークが東京に出来、しんちゃん達カスカベ防衛隊がそのディノスアイランドに招待されるという映画クレヨンしんちゃん版のジェラシックパーク編。

ただ、物語のポイントはカスカベの河原でシロが子どもの恐竜ナナと出会うというシロとナナの友情物語だ。本当なら、この言葉を交わさずとも友情を育み信頼し合う物語をぐっと掘り下げればよかったんだろうけれど、そこに恐竜を自分の成功物語の一つに加えようとした大人の企みが加わってしまったことで、爽やかな友情物語がちょっとぼやけてしまった。

大人の企みが加わる事で物語が大きく動くのは映画版クレヨンしんちゃんの定番の展開だが、今回だけはシロの心情にもうちょっと光を当てて貰ってもよかったかなと思う。

ただ、クレヨンしんちゃんは子ども向けの楽しい映画だ。それを考えれば、恐竜のナナも可愛らしく、カスカベ防衛隊の絆の強さもいつも通り。

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恐竜たちが渋谷のスクランブル交差点で暴れまわるが、SHIBUYA109はSHIBUYA1009に、もちろんスターバックスもTSUTAYAもクレヨンしんちゃん仕様に微妙にロゴが変更されている。

 

 

 


ウルフズ 公開中止

2024-08-09 21:48:54 | 映画鑑賞

ジョージ・クルーニー&ブラッド・ピット共演の映画、劇場公開中止の理由 前売券は払い戻し

バッドボーイズ RIDE OR DIEの前に、 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンの前に、そしてツイスターズの前に・・・

ウルフズ の予告編を映画館で観、公開をとても楽しみにしていた。

ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットの共演というだけでも一粒で二度美味しい映画の上に、二人の役柄が決して交わる事のない一匹狼のフィクサーという設定。個人的に非常に好みの映画だったのに、こんな風に突然の発表とは・・・・

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「コーダ あいのうた」や「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」などAppleが関係している映画は劇場公開と配信の2本立てが標準なのかなと思っていたのだが、こんなパターンもあるとは。

ニューヨークが舞台のソフィア・コッポラ脚本・監督の「オン・ザ・ロック」はApple TV+でのオリジナル配信作品を劇場短い期間の限定公開を行ったはず。

配信でいくか、劇場公開するか・・企業戦略が様々あるんだろうが、今一番がっかりしているのは ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの宣伝担当の人なのではないかと思う。

私は今のところ、Apple TV+に加入する予定はないので、この映画を観る事が出来ないのが残念だ。

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ジョージ・クルーニー×ブラッド・ピットが再共演!映画『ウルフズ Wolfs』海外版予告編

WOLFS – Official Trailer (HD)

 

 

 

 


ツイスターズ

2024-08-04 19:33:24 | 映画鑑賞

学生時代、竜巻へのあくなき探求心にかられ、友人たちと一緒に竜巻研究に余念がなかった女子学生ケイト。しかし安全を顧みず成果を求めたばかりに研究対象の竜巻に巻き込まれるのだ。

気象学のプロとして仕事をするも、学生時代の辛い思いから、実際のフィールドワークからは足を洗っていた彼女だが、民間の気象会社を経営している学生時代の友人から、出身地でもあるオクラホマで竜巻が異常発生していると聞き、再び実際の竜巻と対峙することになるのだ。

いわゆる、災害になる前の状況では、ケイトの友人のように気象のプロとして竜巻のデータを集める者もいれば、竜巻のYouTube配信を目的に竜巻に近づく竜巻チェイサーもいる。更には竜巻に近づきギリギリの緊張感の中にスリルを感じる事を目的とするテンションの高い観光客もいる。

地震、火山、台風、豪雨、水害、土砂災害。。災害は突然やって来て、それを避ける事は出来ず、危険を察知したら早めに避難する事。災害を前にしたらとにかく避難する事が一番だと思っていた。映画の中でも、勿論竜巻を避ける為にシェルターに逃げ込もうとするのだが、逃げるのではなく近づき、その湿気(水分量?)をコントロールする事で自然現象である竜巻の威力を少しでも低減させるためにあれこれ努力しようともするのだ。その姿に驚くしかない。

ただ、その竜巻が人間の想像を超え、ありえない暴風になり全てを飲み込むようになれば状況は一変する。その一瞬で災害と化すその変わり身の早さにただただ驚くばかりだ。

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最初から最後まで竜巻の渦に巻き込まれたような映像だ。とにかく竜巻のスピードと圧に気圧されて最初から最後まで目を見開き、スクリーンを二度見するような状態が続く。

そして竜巻といえばオズの魔法使いということで、竜巻に対峙する際のチーム員のコードネームが魔女、かかしだったりり・・・・自然の驚異の前でも悲壮感はなく、妙に前向き。竜巻チェイサーのタイラーを演じるグレン・パウエルのキャラクターがまさにこの映画の雰囲気にピッタリだ。

 


怪盗グルーのミニオン超変身

2024-07-28 19:39:32 | 映画鑑賞

反悪党同盟の捜査で高校時代の同級生マキシム・ル・マルを逮捕したものの、彼が脱獄した事で危険な状況に陥るグルーファミリー。

反悪党同盟の保護の元、身分を隠し別人として生活する事になるファミリーと、反悪党同盟の新しいミッションとしてスペシャルなパワーを得る事になる選ばれしメガミニオン5人衆。

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私にとっては、ストーリーは特に重要でもなく、ただただかわいらしいミニオンがちょこちょこ動いているのを見て癒される事が大事だ。今回はグルージュニアの世話係を任命されたミニオン、スペシャルパワーを注入された事で更に能力が特化されキャラクターが更に印象的になったミニオン5人衆等、集団と個別活動と二つの異なるミニオンを動きを楽しむ事が出来て、ミニオンに癒される頻度が倍増だ。メガパワー注入で手足が伸び益々見た目のバナナ感が強くなったメガティムや、爆弾を飲み込んでもびくともしない超強固な身体になったメガジェリーは岩というよりちょっと黄色が強めの大きなメロンパンと、見た目の可愛らしさは残しつつ、さらなる個性注入だ。

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ヒットした音楽が使われているのもこのシリーズの特徴。

美容院のシーンで流れるBTSは勿論、高校時代のどうでもいい思い出からグルーを逆恨みするマキシム・ル・マルの苦い思い出の歌は、カルチャークラブのカーマは気まぐれ。音楽のチョイスもとにかく王道だ。

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地元では吹き替え版の上映がメインだったので、私も吹き替え版で鑑賞。

鶴瓶師匠の声の枯れ具合が更に進み、グルーのキャラクターとかけ離れてしまっているようでなかなか厳しい感じだった。声に快活さが感じられないのが一番の難点か・・・


フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

2024-07-21 19:09:23 | 映画鑑賞

フロリダのジョン・F・ケネディ宇宙センターで進むアポロ計画だが、ソ連に遅れを取り、膨大な費用増加、国民の関心も離れていき計画は千々として進まず。ソ連との競争に敗れるわけにはいかないニクソン大統領が取った策は㏚マーケティングのプロによる「アポロ計画」のイメージアップ作戦。

白羽の矢が立ったケリーは、その滑らかな口調と相手に取り入る天賦の才、類まれなるビジネスマインドの持ち主。自分のやり方を一つも変える事なく宇宙センターに乗り込むのだから、夢と希望、そして責任感の強いNASAのスタッフと相容れるはずがない。

更にケリーには、ニクソンの意向を組んだ政府関係者から「月面着陸のフェイク映像制作」の依頼まで舞い込むのだ。国民に夢や希望を示すのではなく、覇権争いの事しか頭にないニクソンの権力志向が産んだありえないプロジェクト。ただ、弱みを握られているケリーは、結局国民に対するイメージアップ大作戦と併せて嘘つき大作戦まで任される事になるのだ。

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予告編を見た際には、火星探査船の失敗をNASAが全力で隠ぺいしようとするカプリコン1を思い出したが、この映画はNASAの協力を得て作られた映画だ。発射責任者であるコールをはじめ宇宙センターの面々は計画の成功を信じ邁進し、ケリーも自分のすべきイメージアップ大作戦の成功を目指し、そしてケリーにフェイク映像の制作の依頼をするニクソンの手先であるモーでさえも自分のミッションの成功を目指している。

誰もが前向きに自分のミッションの成功を目指しているこの映画、ソ連との覇権争いにしか興味がないニクソンの姿が直接描かれないこの映画。㏚マーケティングのプロであるケリーは「アメリカを売り込む!」と意気込む。そのセリフの通り、とにかく驚く位に前向きで明るい雰囲気に溢れている映画。

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1969年7月の月面着陸。幼稚園に通っていた私もこの事はとてもよく覚えている。幼稚園の先生から「月に人間が行きます。テレビでの放送は夜中だけれど、こんな事はめったにない事ですからご両親にお願いしてテレビを見てみましょう」と言われたせいだ。子どもらしくそれをそのまま両親に伝えると「夜は寝るものだ」とあっさり却下された。幼稚園で「私も見た」と言いたかった私は少し粘ったが、かなり怒られた事を覚えている。大人になり両親にこの時の事を改めて聞いてみると「宇宙よりも毎日の生活が大変だったんだ。」と夢とはかけ離れた現実的な答えが返って来た。

ただ、テレビを直接見ていない幼稚園生の子どもにも、この出来事はとても大きな出来事だった。

 


密輸 1970

2024-07-17 21:20:09 | 映画鑑賞
1970年代、韓国の小さな港町。

漁船に乗り込み海産物の収穫で生計を立てている海女達だが、漁場のそばに工場が出来た事により収穫量が激減する。

そこに目を付けたのは、密輸で儲けようとする輩たち。
生活用品に嗜好品、ありとあらゆる物がアメリカから日本から密輸されていた1970年代。
関税を逃れる為に、密輸船で品物を運び込んでは港そばの海底に沈めて、それを海女達に回収させ、利幅を稼ごうとする手法。

背に腹は代えられないという事で悪事に手を染める船主と海女達だが、情報は税関に漏れ、トラブルで船主は命を落とし、船主の娘は刑務所に収監されるのだ。

時代の波に巻き込まれ、その中で生き抜く姿を見せる海女達。
税務署に垂れ込みをしたと疑われる船主の娘の友人を演じるのはキム・ヘス。刑務所に収監された事で彼女を疑う船主の娘をヨム・ジョンアが演じる。

実話を元にしたストーリー。描き方ひとつで、生活苦ゆえ悪事に手を染めるしかなかったという、暗い描き方も出来たはずなのに、そんな綱渡りのような様子を描きつつもその生活力の逞しさに驚くしかない。図々しい手配師の男達。そんな彼らを相手に一歩も譲らない海女達。
その駆け引きが海の上、陸の上区別なく行われ、駆け引きの裏に海女達の人情噺がしっかりと織り込まれているのだ。

更に画面を彩るのは1970年代のサイケファッションと流行歌。海女姿とは全く真逆のファッションで、チョ・インソン演じるベトナム帰りの密輸王と渡り合うチュンジャ役のキム・ヘスが破格の貫禄を見せる。彼女の持ち味とも言える新劇的な大きなリアクションがこの役柄とピッタリなのだ。
 
[MV] 영화 《밀수》 OST _ 앵두 / 연안부두
 
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1970年代のファッションが懐かしい。パンタロンスタイル 本当に流行っていた。

バッドボーイズ RIDE OR DIE

2024-06-30 19:49:50 | 映画鑑賞

ウィル・スミスとマーティン・ローレンスが演じるマイアミ市警のマイクとマーカスのMMコンビ@バッドボーイズ。

麻薬事件、殺人事件と陰湿な事件からの派手な撃ち合い。公道で繰り広げられる追跡からの衝突と派手な交通事故。コンビで命がけの捜査に当たりながらも、家庭第一のマーカスと熱い思いから過激な行動に出がちなマイク。

第三の主人公とも言えるマイアミの明るい雰囲気に彩られて、陰湿な事件が一つも湿っぽくならずに、ただただ明るく元気になるアクション映画になっているバッドボーイズ。

1作目、2作目そして少し時間が空いての3作目、4作目と時間が経ってもそのテイストは変わらず。

バディの絆からマイアミ市警内の絆、そしてファミリーの絆。敵対する相手の執念深さが深ければ深いほど、バッドボーイズの周辺の人々の絆の強さが感じられるポジティブさは、シリーズ誕生から29年経ってもそのまま。

4作目にして、悪い奴らの張り巡らした計画の為、信じられるのはお互いしかいないとなっても悲壮感がなく、どこまでもポジティブさが満載だ。更に今回は何かを会得して人生観が変わったかのようなマーカスの行動のあれこれが、このポジティブさに更なる新しさを注入している。色々あってちょっとお悩みモードなウィル・スミス演じるマイクへの援護射撃とも思えるこの設定が妙に笑える。

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今回、見に行く前にネットフリックスで1,2,3作を見たのだが、そのテイストの一貫性は少しも変わっておらず。1作目は携帯電話も無い時代なのだが、アクションシーンの数々は今見ても少し時代を感じさせない迫力あり。

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シリーズ全般に流れるテイストは一緒だが、ストーリーは、3作目と4作目はかなり関係性が強い。これから見に行く人がいたら、出来れば3作目を見てから見に行く事をお勧めしたい。

 


ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ

2024-06-23 19:48:27 | 映画鑑賞

1970年12月のクリスマス休暇。ボストンにある全寮制の高校では教師も生徒も皆2週間の休暇を楽しむために学校を離れるのだが、再婚した母の都合で学校に残る生徒と、彼のお目付け役として残る教師そして一人息子をベトナム戦争で亡くした料理長のメアリーだけが、学校に残る事になる。

曲がった事には一言物申すというスタイルを崩す事が出来ない歴史の教師であるハナムは、今は学校の校長である元教え子にさえ煙たがれる堅物。家庭環境からかやや問題行動が多い生徒のアンガスもそんな教師のハナムとひざを突き合わせての休暇に辟易しているのだが、何も起こらない退屈な時間になるはずだった2週間の時間が、3人の関係性に微妙な変化を呼び起こす。

頑なな態度のハナムとアンガスが心の中に抱える思い。息子を亡くした哀しさを表に出す事が出来ないメアリー。それぞれ立場は違っても、フランクな言葉を交わす中で少しずつ相手を想いやる気持ちが生まれてくる様子の温かさ。

嘘を嫌っていたハナムが、若いアンガスの為に見せる教師としての矜持。「歴史とは過去を学ぶだけでなく今を説明すること」とボストンの考古学博物館でアンガスに語ったハナム。彼は若いアンガスに今だけでなく未来にも繋がるバトンを渡してくれたのだ。

温かくも少しほろ苦い2週間のクリスマス休暇。

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オープニングのロゴも映画の舞台である1970年に合わせてクラシックなものになっている。ただ1970年代が懐かしく描かれているだけではない。メアリーの息子はベトナム戦争で亡くなり、素行が問題視されるアンガスもこれ以上問題を起こしたら両親から陸軍士官学校送りと言われている。1970年代がベトナム戦争の痛みと切り離せない時代であることも忘れてはいけないのだろう。

ホールドオーバーズ は残留者という意味との事。