テヨンとサムスは、体力勝負で検察が隠している真犯人にたどり着こうと、サムスは冤罪で服役した三人から話を聞いて記事にしようとし、テヨンはとにかく真犯人の3人から話を聞こうとする。お互いが得意な方法を選択してなんとか裁判で勝てる方法を探そうとするのだ。
サムスが話を聞いた男性は、事件当時、自分の名前の読み書きさえも出来なかった。しかし服役中に同じ刑務所仲間から読み書きを教えて貰ったのだという。ただ、今でも自分の話がうまく話せない。亡くなった母の顔も思い出せない。でも真犯人の3人のうち一人の顔だけははっきり覚えているのだという。それは彼らが真犯人にさせられる過程を見て号泣したから。全部は憶えていなくとも何か印象的な事だけはしっかりと記憶しているのだ。父親の暴力に悩んだ母は息子に除草剤を買いに行かせ、それを呑んで息子の前で自殺したのだが、その意味も分からず、「除草剤の匂いは母さんの匂いだ。この家に一人で住んでいるのは、夏になると除草剤の匂いがするから。それは母さんの懐かしい匂いなんだ・・・」そんな思い出も懐かしそうに話す青年。サムスの「幸せだった時は?」という問いかけにも上手く答える事が出来ない彼が覚えているのは、母が彼の前で飲んだ除草剤の匂いだけなのだ。
サムスはこの話をネットにアップすることで、冤罪を目の前で見て号泣した青年の心を揺さぶることが出来ると確信。
当然、真犯人3人の心は揺れる。自分達が自白しているにも関わらず、目の前で警察と検察に犯人にされ、自分達の代わりに収監された3人。良心の呵責に耐え切れず、自分の罪を隠そうとした母の思いを重荷に感じた一人は自ら命を絶ってしまうのだ。凶器を隠した自分の行動が息子を苦しめたと泣く母。そして3人の前で号泣した青年の心も揺れる。幼い息子の前でどんな姿を見せればいいのか悩む彼・・・・
再審が始まり手ごたえを感じるテヨンだが、検察はそこでまた捏造した証拠を持ち出すのだ。
文字が読めなかった青年が刑務所内でハングルを覚えた事を知った検事は、真犯人の3人の供述を書き写した模造紙を罪を着せられた3人の前に持ち出し、暗唱させ、それを録音することで後追いで自白の証拠をねつ造。犯人しか知りえない詳細な殺害状況を語る録音テープを追加の証拠で持ち出すことで裁判を有利に進めようとする。
しかし、あの号泣した青年は、検事の止めるのも聞かずに、真犯人しか知りえない殺害現場の状況を語ることで冤罪だったことを証明するのだ。
勝訴を勝ち取るテヨンだが、テヨンとサムスの前には、二人が考えているよりももっと大きな闇が待ち構えているのだ。
何も知らずに体力勝負で戦おうとしているうちに、図らずもその大きな権力の邪魔をすることになってしまう二人だと考えればいいのか・・・