薬の服用を欠かす事は出来ず、車いすがなければ日常生活を送る事は難しい女子高生。
母と二人、街から少しは離れた場所に住む彼女は、母が出す課題を家でこなす毎日。そんな彼女の夢は家を出て一人大学生活を送る事だ。大学に願書も出し、郵便で発表が来るのを心待ちにする娘の様子を見ながらも、心配と寂しさを隠せない母親。
やや過剰すぎる母の愛に包まれながら、自立しようとする娘。穏やかな毎日が過ぎているはずだったのに、母から手渡された新しい薬に疑問を感じた事から、日常生活は一気に不穏な空気に包まれるのだ。
薬の正体はなんなのか。。。母が自分に必要以上に執着するのは何故なのか。母が自分に見せる優しさの正体はなんなのか。
たった一つの黒いシミがどんどんと広がり、母に対する疑念が大きくなっていく娘。
表面上は母に従い、疑惑を押し殺して生活する娘と、娘の疑念に気づきながらも、表面上は笑顔で娘の体調を心配する母。
得体のしれない母の愛に慄く娘。制約がある中、場所の広さと移動距離に関係ない緊張感が果てしなく広がるのだ。
PC画面の中でストーリーが進むsearch/サーチを撮ったアニーシュ・チャガンティの作品。
制約のある中での得体のしれない怖さを、別のスタイルで見せてくれている。