惚れっぽくて、男につくしてそして騙される肉子ちゃん。・・・・その度に娘のキクコを連れて別の街に流れていくことになる母娘。
そんな風にして流れ着いた港町で、親子二人は港に停泊する船に住み、娘のキクコは学校に通い、母の肉子ちゃんは焼肉屋で働いて生計を立てるのだ。
波乱万丈の人生を歩みながらも、口癖が「普通が一番」という母肉子ちゃんに、やや苦笑しつつ、港町での小学5年生時代を過ごす娘のキクコ。
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私は原作小説を読んでいないのだが、アニメだからこその良さを十分に感じながら映画を鑑賞。
肉子ちゃんの波乱万丈の人生は、「普通が一番」などと言う言葉で語る事が出来ない程厳しいもののはずで、肉子ちゃんの誰でも受け入れる大らかさや、娘を思う思いは伝わってきても、実写でその生きざまを見せられると、観る人はその人生のハードさにやはり後ずさりをせずにはいられないと思う。
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小説はその描写や語り口で、読み手は自由に肉子ちゃんのイメージを膨らませる事が出来る。
そしてアニメは肉子ちゃんのおおらかさを前面に押し出すこと事で、そのハードな人生の足跡を優しくオブラートに包み、肉子ちゃんの包容力の凄さだけを感じさせてくれる事が出来る。
穏やかな港町を舞台に微妙な少女時代に差し掛かる前のキクコの日常と、大らかな肉子ちゃんの日常を描くには、アニメという媒体がびったりだなと思いながら、1時間半という時間を楽しむ。
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映画を見ながら、企画・プロデュースの明石家さんまが、子供たちに自分の事を「ボス」と呼ばせているという話を思い出す。
「ボス」と「肉子ちゃん」全く違うようでありながら、何か繋がるものがあるような気がする。