イングランドの北、カンブリア州のストーンサークルで男性が次々と焼き殺されるという殺人事件が起こる。
事件の捜査に当たることになったのは、捜査中のトラブルで停職となり、穏やかな生活を送っていた元刑事。自分が事件に関係ある事を指す物証が出た事から期せずして捜査現場に戻る事になるのだ。
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やや個人プレーが過ぎる刑事が、世間常識に疎くしかし的確な情報分析で捜査に食らいついて行く女性のパートナーと一緒に、何の関連性もないと思われた被害者の関係性を洗い出し、捜査に当たる。
ワシントン・ポーという珍しい名前の主人公には、どこかマイクル・コナリーのハリー・ボッシュを思い出させるところがある。(これは訳者もあとがきで指摘している通り)
事件の謎を解くカギが次々と調子よく見つかるのが気になるものの、それをカバーするのが情報分析に長ける女性部下のティリーの存在。情報分析のプロであっても、コミュニケーション能力にやや問題があり、自分のスタイルを崩せない彼女が、ポーと一緒に仕事をしていく中で、どんどん変わっていくのだ。ミステリーでありながら、劇的な変化を遂げる彼女の成長物語としても読める位、パワーのある印象的なキャラクターだ。
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『イングランド カンブリア 景色』という単語で検索をすると、猟奇的な殺人事件の舞台とは到底思えない綺麗な景色が次々と出てくる。そんな景色を見ながらストーンサークルで行われる殺人事件の話を読み続ける。