刑事を夢見る弟を応援しながらも、黒社会で贋札造りを生業としている事を秘密にしている兄。幸せそうな兄弟の様子を幸せそうに見守りながらも、兄弟の間に秘密がある事を心配する父。
弟を思い、台湾での贋札売買の仕事を最後に足を洗おうとする兄だが、好事魔多し。兄は捕まり、父親は殺され、弟は全ての秘密を知ってしまう。家族の幸せな時間は仲間の裏切りによって一瞬で消え去り、弟は兄の裏切りを許せずに、組織の撲滅だけを目標に刑事になるのだ。兄弟の情が厚かっただけに、弟の心の傷は深い。
同じように、仲間に裏切られた兄の相棒の心の傷も深い。敵陣に一人乗り込むという勝ち目のない復讐とわかっていても、あらゆる場所に拳銃を隠し、ひるむことなく拳銃を打ち続ける。使う火薬にも銃弾にも加減などという言葉はないのだ。
兄、弟、そして相棒・・・映画はどこまでも、汗臭く、熱く、男たちの情に迫る。横っ飛びで銃をぶっ放し二丁拳銃で相手を倒すというアクションの熱さだけでなく、情の厚さをどこまでも追及するのだ。
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韓国でも公開当時に人気だったという男たちの挽歌。ドラマや映画の中で、チョウ・ユンファ演じるマークを模したキャラクターが登場してくるのを何度も目にした。ユンファが演じるマークというキャラクターは、仲間に相棒を売られ、さらには自身も組織の中で辛酸をなめる。恨みを抱え、その悔しさを晴らす為に何年も耐える。この義理人情に厚く、そして恨みを晴らすべくすべてを投げ打つ姿に、韓国人的な恨(ハン)の思いだけでなく、無常さや哀しさを見てシンパシーを感じたのだろう。
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画面いっぱいに広がる「英雄本色」というタイトルを、また映画館のスクリーンで見られるのはファンとしてとても嬉しい。