編者の後書きにもあるように、「寓話」にはとくに強い意味はない、とのことです。しかし、短編のそれぞれに、カフカらしい寓話性を持ち合わせています。カフカ短編集の第2冊目。「断食芸人」も含まれています。
ほんの短い断片のようなものからちょっと長めのものまで。1900年代の前半、25歳の時から結核で死ぬ40歳まで15年間に生み出された作品は、多く生前には日の目を見なかったものばかり。寝食を削り、文字通り命がけで書き連ねた作品は、死後に出版された。生前は、ほとんど無名の作家。人生や世界への不安、期待、挫折、憤り、葛藤・・・、そうしたカフカ的世界が一躍脚光を浴びたのは、戦後。
意味深く謎めいた言葉に紡ぎ出された作品の数々は、今も世界中の人々に愛読されています。編者の池内さんは、「野心家カフカ」と命名していますが、いずれ自分の時代がくると固く信じていた「もの書き」カフカの小品が楽しめます。
不気味でいて何となく愛嬌のある不思議な動物たちの登場、それとの関わり合う主人公や隣人の姿は興味深い。代表作「変身」にもつながるものがあります。
さらに権力(者たち)への屈折した反発、親・きょうだいへの愛と憎しみ、そうした現代的な課題・本質を見抜いた文学者としての得意ぶり(面目躍如)が読者に伝わってきます。
30にも及ぶ短編作品。いずれも今もなお存在感のあるものばかりです。
カフカの絵。本書の口絵として、7点収められています。ペン画で戯画風なものが多い。意味を問われると、ごく私的な「象形文字」だと答えた、という。
ジャンルは異なりますが、日本の宮沢賢治は、ほぼ同時代の人。1896(明治29)年 - 1933(昭和8)年。彼もまた生前は、ほとんど無名の人でした。ふとそんなことを思い出しました。
ほんの短い断片のようなものからちょっと長めのものまで。1900年代の前半、25歳の時から結核で死ぬ40歳まで15年間に生み出された作品は、多く生前には日の目を見なかったものばかり。寝食を削り、文字通り命がけで書き連ねた作品は、死後に出版された。生前は、ほとんど無名の作家。人生や世界への不安、期待、挫折、憤り、葛藤・・・、そうしたカフカ的世界が一躍脚光を浴びたのは、戦後。
意味深く謎めいた言葉に紡ぎ出された作品の数々は、今も世界中の人々に愛読されています。編者の池内さんは、「野心家カフカ」と命名していますが、いずれ自分の時代がくると固く信じていた「もの書き」カフカの小品が楽しめます。
不気味でいて何となく愛嬌のある不思議な動物たちの登場、それとの関わり合う主人公や隣人の姿は興味深い。代表作「変身」にもつながるものがあります。
さらに権力(者たち)への屈折した反発、親・きょうだいへの愛と憎しみ、そうした現代的な課題・本質を見抜いた文学者としての得意ぶり(面目躍如)が読者に伝わってきます。
30にも及ぶ短編作品。いずれも今もなお存在感のあるものばかりです。
カフカの絵。本書の口絵として、7点収められています。ペン画で戯画風なものが多い。意味を問われると、ごく私的な「象形文字」だと答えた、という。
ジャンルは異なりますが、日本の宮沢賢治は、ほぼ同時代の人。1896(明治29)年 - 1933(昭和8)年。彼もまた生前は、ほとんど無名の人でした。ふとそんなことを思い出しました。