新城市以外の方には関係ないし、おまけに分かりにくいにも関わらずしつこく取り上げているのが、住民投票、市庁舎見直しの件。
自分が関わったのはちょっとしたきっかけで今年の2月から、その経過を振り返ることは、「住民投票を求める会」が何をしてきたか、それから広がって市民自治をどのように実現しようとしているか参考になりそうなのと、何よりも自分の頭のなかを整理できるので頑張ってみることにする。(自分の視点からの経過報告だし、ちょっと長いので興味のある方はどうぞ)
スタートは、「住民投票を求める会」(以下求める会)の方々の活動時点からではなく、自分が関わったところから。
まずは、住民投票実施のための署名活動を2月に行う
県議選が行われるために署名活動期間は前半の5日と選挙後の残りの日数に分けられたが、前半の5日間で予想以上の署名数を確保(9,000筆以上)。
そこでこの署名数をバックに4月の市議会での住民投票条例の可決を試みる
4月の市議会で、求める会に参加の議員から住民投票案が出されるも、一旦は文言に少訂正すべき部分があって、再提出を試みる
この時に、他の議員から共同提案の提出を打診される。
そこで、条例案が可決されるためには多くの議員の協力も必要と認識し、共同提案を行おうとする
条例案の検討が行われたが、そこで出てきたのが今回の住民投票の一番と問題となったあの分かりにくい選択肢による住民投票案。
選択肢1 市道東新町桜淵線の路線の変更を伴わない現計画の見直し
選択肢2 市道東新町桜淵線の路線の変更を伴う現計画の見直し
共同提案を持ちかけられた議員は、このような条例案(選択肢)は署名をおこなった人びとの気持ちを反映していないし、何よりも分かりにくい、誤解を招く可能性があるために議決されることに責任は持てないと議決を棄権。結果的には新城市の議員18人のうち、この条例案で良しとしたのは議長をのぞく14名
この時の市議会には自分は部分的に傍聴にでかけた
求める会側のスタッフはおそらく傍聴できる全てにでかけたと思われる
住民投票条例が可決した後、議会報告会が市内の数カ所で3日間、行われた。議会報告会では、あのわかり難い条例案(選択肢)をもっとわかりやすいものにしたらどうか、臨時議会で変更するように依頼をした。各会場はそういった声が多かったが、その場では持ち帰り検討すると返答されたが結果的には変更のための作業はなされなかった
住民投票が行われることになったため、求める会側は選択肢2が自分たちの意志を反映していないが、選択肢1と比べてより近いということで、選択肢2の支持を得るべく市内の数カ所で選択肢2の説明会を行った。
この説明会に動員を図るために、署名活動を積極的に関わった方々は案内チラシを人海戦術でポスティング
印刷費等活動費用に不安が生じたため、自発的に資金援助するメンバーが続出
5月16日新城まちづくり集会が行われ、住民投票について条例案の説明が行われる
しかし、このまちづくり集会は選択肢1,2の説明とも行政が行い、選択肢2についてはよくわからないとの答弁もあった。また実質的に選択肢2に与えられた説明時間は圧倒的に少なく不公平なものだった
住民投票が公示され、選挙活動に入る
街頭演説、支持を得るためのチラシのポスティングを各地に分かれて、行う
5月31日住民投票が行われ、選択肢2が12,899 選択肢1が9,759
選択肢2の勝利
6月4日 市長が住民投票の結果を踏まえて見直しを記者発表
内容は東庁舎の活用、東新町桜淵線の路線の変更は行う(元に戻す)、面積は7000平米を前提とする
求める会は、住民投票の本質は道路の形状等ではなくて、実質的に検討されたのは金額面であったため、見直すということは「3階建て30億円」を市民が選択したものと理解すべきと議会に請願書、市長に要請書を提出
この時、市長側から求める会側に公開の「住民投票の結果を受けての庁舎建設の見直しのための実務協議」の参加を依頼される
求める会側は了承
6月市議会が開催され、住民投票で結論が出たはずの市道東新町桜淵線の復活は
建設委員会では一旦継続審議となる。
それではせっかくの実務協議に参加できないこともあり、本会議では委員会に差し戻しとなり再度委員会で討論、可決
そして本会議で採決するが、住民投票で求められた市道東新町桜淵線の復活に賛成しなかった議員は6名また、求める会側から提出された住民投票の総括の請願書については継続審議となった
この議会は傍聴
住民投票が終わって一段落した時点で、求める会は署名活動に積極的に関わっていただけた方、市民に向けて住民投票の活動の報告会を文化会館で行った。
6月9日 住民投票の結果を受けての庁舎見直しの実務協議がスタート
庁舎に入る職員数、今までに費やした費用等の資料を請求。職員数の過剰と思われる点や、質問する度に職員数が増えていくことに大いに疑問を持ちながらも、とりあえず協議の席ににつく。
冒頭に行政側から「3階建て30億の案については、参考、検討材料とする」との発言があった。実務協議の内容は「3階建て30億の実現性」について多くの時間が割かれた。
求める会側の案は3階建て30億だけでなく庁舎への車の入り方も提案したため、そこで後々となるまで問題となる大型車の誤進入のケースが行政側から出された。
実務協議は、行政と求める会が住民投票の結果を踏まえて協同でより良い案を検討すべき場所と考えたが、何れの回も行政側から出てきたのは求める会側の案に対する問題点ばかりで、その解決法はなにも提出されなかった
(ずっと後になって侵入口の解決法は行政側からいきなり提案されたが、実務協議の時点ではされず)
侵入口については行政側の協力を得られなかったので、求める会側は工夫して解決策を提案。行政側はそれを現実的な解決法と認識。これでひとつの問題は解決(?)
次に出てきたのが机・ロッカーの問題
行政側は机・ロッカーのスペースが足りないと指摘。そこで求める会側は図面を引き直して入るはずと答えた。すると、今度は前もって言われなかった印刷室、サーバー室、電話交換室のスペースが足りないと実務協議の最終日の最後の時点で指摘。前もって指摘されたなら入る案を提出するように工夫したと求める会側は不満を覚える。
しかし、こんな状態で実務協議は終了。
中日新聞に「市民案は不可能」と掲載される
これは不可能ということではなく、市側が不可能と判断したということ
実務協議を終えた求める会側は「不可能ではなく可能」と判断をしている
求める会側は実務協議で話されたことの市民に対する説明会を市内数カ所で行い、現実的に「不可能ではない」ことの説明にあたる
そして現実に可能なことを証明するための具体的な案の作成に取り組む
中日新聞に、地下トンネルを用いた配置案が有力との市長の談話が掲載される
9月議会が開かれる
継続審議となっていた住民投票に関する総括は否決
地下トンネル案について議会でもその危険性に対する不安が話される
大幅な無駄な面積を要することになる体育館側の侵入について、公安との交渉の方法について担当部署に問い合わせを行う
市長から4階建て6800平米、本体事業費30億円以下との案が提出される
求める会はこの案を検討、その結果30億円以下とするのは本体工事で問題となっている総工事費は45億ほどが予想されるために結果的に大幅な総事業費の削減を願った住民投票の意志を反映していないと判断し、市長に抗議と要請文を提出。
こうした活動を、自分の視点から多少の偏りも認めながらまとめているが、求める会の活動は将来の市民のことを考えた上でのことであり、住民投票を求めて、結果を得たものとしての責任を果たそうとしているものと解釈している。
それは行政(市長)の提示する案とは異なるが、決して感情的にゴネているといった低次元のものではない。
市民自治が叫ばれるが、実際のところ市民がここまで具体的なことをしなければならないのか?と思うと大いに疑問が残る。
大半の市民は余りにも多岐にわたっている法律を知らないし、その理解の仕方、活用の仕方も知らないので、たとえ行政の方から説明を受けるとしたら疑うことなく信じてしまうしかない。(しかし、それではいけないことが数回あった)
それに一般市民が得られる情報量はいくらインターネットが発達したとは言え議員さんの得る情報量とは大幅に違う。
つまりは市民の市政参加には限界がある。しかし、だからと言って放っておけない状況が残念ながら存在する。こうした時、どうすれば良いのかを考えるとすこしばかり滅入ってしまいそうだが、まずは「知ること」が大事かなと思ったりする。
「知ること」それから各自がどうすれば良いかを考える。その数が少しでも多くなれば、人にはいろんな知恵やら特技があって、なにかよい案が出てくるかもしれない。
まずは現状を知ること。少し面倒でも事の経過を知って自分なりの考え方を持つこと、そして庶民全体のレベルを上げる。なにか遠い道のりのようでもこれが一番のような気がする。(甘いかな?)