難しい本は読むのに時間がかかり、理解が進まないことが大半だが
そうした本の効率的な読み方を紹介したこの本はあっという間に読み終えてしまった
「難しい本をどう読むか」齋藤孝著
わざわざ難しい本を読むのは、知的好奇心とか達成感とか、本棚に並んだ読み終えた本を
眺める優越感を得るためとか、ボケ防止とか、いろんな理由があるが
なるほど、そうかも知れない!と共感できたのは
作者の考えている過程を体験できるのがスリリングだという点だ
知っていることを解説するのではなく、作者が悪戦苦闘している様子を知ることは
感情移入もしやすいし、わからなくてもどこか心動かされる
悪戦苦闘している状態は作者自身も整理できていない場合が多いし
彼のオリジナルな用語とか概念がでてくるので、わかりにくさは仕方がないことと
この本はあっさりと断定している
その上で効率的に読む方法を紹介しているが、それは多くの人がしがちな夏休みの読書感想文の
書き方と似ていて、あとがきとか解説書を読んでから本体に向かうのも現実的だとしている
道筋がわからぬまま読み進むのはしんどくて、交通標識に沿って進むのが効果的なのと同様に
あらかたの流れを知っているのはいい方法かもしれない
難しい本として以下の本を紹介している
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル『精神現象学』
カール・マルクス『資本論』
フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラ』
フェルディナン・ド・ソシュール『ソシュールの思想』
西田幾多郎『善の研究』
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
マルティン・ハイデガー『存在と時間』
メルロー=ポンティ『知覚の現象学』
エマニュエル・レヴィナス『全体性と無限』
ミシェル・フーコー『監獄の誕生 監視と処罰』
ジョン・ロールズ『正義論』
トマ・ピケティ『21世紀の資本』
インド哲学『原典訳 ウパニシャッド』『ウパデーシャ・サーハスリー』
殆どが読み終えられずに、途中で挫折した本ばかりだ
だが、なんとなく頭に残っているので読んだ本を紹介している章は
抵抗感なく読めて、そうそう、、と納得した気分にもなれる
でもつくづく実感したのはニーチェとは相性が良くないという事実
他の人は理解できなくても、わからないで済まされるのだが、
ニーチェだけは何かずっと違和感とかもやもやした感情がくすぶってしまう
世間的な評価が如何に高かろうが、自分と合わないものは合わない、、
と思うしかない
ハイデガーもメルロポンティも何かよくわからん、、は同じだが
読んでて内的な興奮は感じる瞬間はあるのに、ニーチェは、、
この手の難しい本は体力のある、つまりは気力の持続する若いうちに
消化不良でも読んでおいたほうがいい、、と時間が少なくなってきた自分は思う
今の若いものは、、本も読まないで、、、、
とつい嫌われそうな小言を言ってしまいそうになる