パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

変化は一気か、ゆっくりか、どちらが良いか?

2022年01月27日 09時49分52秒 | 

思いの外、読み終えるのに時間がかかってしまったのが

保守思想のリーダー的な人物、バークの「フランス革命についての省察」

ひとつひとつの段落、まとまりは短くて決して難しいことは書いていない
ブルデューやハンナ・アーレントみたいに集中して読まないとわからないことはない
だが、難しい本だ
というのは、フランス革命の背景、その後とか、イギリスの歴史を
ほとんど知らないので、彼の説明がさっぱりわからないのだ

それで途中で投げ出したくなったが、悔しいので最後のページまで
とにかくたどり着くようにした

どうやら彼に言わせると急激な変化は、好ましくないらしい
自由・平等・博愛を掲げて民衆の蜂起によるフランス革命は
一方で無計画な行動であり、その後の悲惨な処刑とか社会の不安から
結局はナポレオンの独裁的な社会を生んでしまうことを予想したし
現実にそうなっている

不意に、人はみんな自国のやり方を支持するものだなと強く思った
フランス人は革命の記念日、7月14日のパリ祭を祝う
それは民衆が自らの力で勝ち取った誇るべきものしている
ところがイギリス人はその歴史として名誉革命を経験している
それはフランス革命ほど人を殺すことはなかったし
社会の混乱もなかった
だからフランス革命を流行りの様に持ち上げるのはよそう
というのがバークの言い分だ
(イギリスのやり方のほうが優れている、と)

その言い分の微に入り細に入るところがすごい
これは政治の現場で携わったことのある人の広範な視野と知識が
これでも!と思われるほど羅列される

これだけ読むとフランス革命は良いことばかりではなかったとの思いに至る
(反対の立場からは自らの力で勝ち取った素晴らしい歴史的行動となるだろう)

そこで連想したのが先日読んだ「明治維新の研究」津田左右吉著
結局、明治維新もバークの扱うフランス革命と同じだったのかもしれないという思いで
明治維新が、あるべき姿を段階的に推し進めていったと言うよりは
一種の無計画で進められ、フランスでは王侯、日本では幕府側が悲惨な目にあう
運命を引き起こしている

自分は大学受験に世界史をとらなかったのでフランス革命の詳細は知らない
だが、心情的に民衆の蜂起は分かるが、それしか方法はなかったのか?
という疑問はバークと近い

そこで話は変わって、現代の社会を考えてみる
社会の変化は(価値観を含めて)否応なしに求めれられている
だがそれはどのスピードでなされるべきか?
急激か、それともゆでガエルの如く徐々にか

一気に変わらなければ結局は変わらないのか(焦りに似た思い)
一気に変わることの弊害は混乱を招くのか(慎重な考え)

どちらが正しいのかはわからない
でも日本人は一気に変わることを、良い悪いではなく、怖がっているように思う
それは見て見ぬふりをするにつながるとヤバいと思える

ということで、本を読んで連想したこと


コメント
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