パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

百人一首解剖図鑑(夏でも読める本)

2022年07月20日 08時46分16秒 | 

台風以後、戻り梅雨のような天気が続く
やる気の出ない雨の日は、晴耕雨読が良い
だが夏の日は集中力の必要な本を読むのは辛い
ということで、最近購入したのが「百人一首解剖図鑑」

この本が思いのほか楽しめた
高校時代に習った百人一首は残念ながら全部は覚えていない
最初のいくつかと、リズムのいいものだけ勢いで覚えているだけだ

この解剖シリーズは前に「源氏物語解剖図鑑」を手にしたが
よくまとまって参考になったので、今回も気楽に楽しめそうと求めた

和歌の意味とか文法的な要素が主体ではなく、むしろ作者の背景(地位とか人間関係)が
わかりやすく紹介されていて(すぐ忘れてしまうが)確かに生きていた人たちの
呼吸のようなものを感じることができる

歌は恋愛がらみが多いが、その気持ちは時代を超えて納得するところもある
平安時代の恋愛は、女性は部屋に籠もって顔を見せないでいる
何かのきっかけを掴んだとしても、まずは和歌を送らなければならない
これはまるで動物の求愛動作のようなものに思えてしまう
動物は本能的とか自然と備わっている体の変化で異性を引き寄せるが
人間は知恵を使ってその力量を発揮しなければならない
これなどは、知恵とか頭こそが生命力の証と見ているからのだろうか

女性も返事が必要だが、下手な人は代筆という手があるらしい
これなどは、いかにもありそうな話だ
女の家に泊まった男は朝には女の家から出なければならない

それにしても、この時代の人たちはよく泣く
袖が涙でいっぱいになるとか、枕が濡れるとか
今の感覚からすると、少しばかり女々しくて口にするのをためらいそうなことも
まるで自慢のように泣いている姿を描写する
泣くのがみっともないとなったのは、いつの時代からなのか?
と少しばかり興味が湧いてくる

歌は100あるけれど、自分が何となく覚えていそうなのはいくつあるだろう
口に出して言えそうなのは少しだけ、見ればなんとなく覚えているというのも少し
あとはさっぱりで、そんなのあったのかな、、というくらいだが
高校の授業ではないので、覚えていなくても平気だ

百人一首は、その時代の空気感とかをそれとなく感じることができる
一見実生活に役立たないような歌が、現実的に大きな力をもったという事実は
今の時代と比べると、もしかしたら昔のほうがまともな社会だったかもしれない
と思ってしまう

ということで、この解剖シリーズは楽しめそうなので
次は「日本の神様解剖図鑑」に挑戦しよう
夏はこのくらいの本が良いかも

コメント
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