かつてNHKのラジオ番組に「早起き鳥」があった
母は朝になるとこれを聞いていた
それは祖母(母方)の習慣そのもので
遺伝子はこんなところで間違いなく伝わっているのか
と不思議に思ったものだ
自分が父の遺伝子を引き継いでいると感じられるのは
朝になるとくしゃみをすることだ
子供の頃から、朝になると父がくしゃみをするのが
不思議で仕方なかった
それを今自分が同じようにしている、、
一年中何かの花粉が飛んでいるが、
父も何かのアレルギー反応を起こしていたのか
涼しいうちにウォーキングすると、鳥の声が聞こえる
鳥は早起きだな、、早くからご苦労さん、、、
そういえば昼中はそんなに鳥の声を意識することはない
不意に鳥たちは夜中はどこで眠るのだろう
台風の時などはどこに避難するのだろう
などと気にかかった
だがそれも直ぐに意識から離れて、
鳥の声が体全体に感じられ幸福感に満ちた記憶が蘇った
それはドイツのハイデルベルクでの出来事
そこにあるフルトヴェングラーのお墓に、あることを確かめに37年ぶりに訪れた(2013年)
初めてそこを訪れた時(1976年)、お墓の前で突然、ものすごく充実して
奏者が必死になっていると感じられるベートーヴェンの第五交響曲が聞こえてきた
半端ない必死さや、それが生み出すスリリングな印象
その印象は強烈だったので、それは幻聴ではなく、本当に聞こえたのだとずっと思っていた
しかし時が経つにつれ、それはやはり幻聴だったのだろう、、
と理性が考えるようになった
だが気になって仕方ないので、それならばもう一度現場にいって
確認してみようということで再訪問したわけだ
再訪問したその場所は静かだった
何も聞こえなかった
聞こえてきたのは鳥の声だけだった
でもそのかわり今度は鳥の声が、フルトヴェングラーのお墓の前で
音楽を奏でているような気がした(ゆっくり眠るようにと)
耳が慣れると鳥の鳴き声がいくつもあることに気づく
そのお墓の前にあった長椅子に座って、時を忘れるように
鳥の鳴き声を聞き続けた
「鳥は最高の音楽家だ」と言ったのは現在音楽の作曲家のメシアン
「その通りだ!」と思う
なにか難しい会話をしているのではない
ただただ勝手なことをしてるだけかもしれない
でも、その鳴き声に一旦身を委ねると時を忘れる
鳥の鳴き声を楽譜に残したメシアンは「鳥のカタログ」という
ピアノ独唱曲を残している
愛鳥週間は終わってしまったが急に聴いてみたくなって
何年かぶりに引っ張り出してみた
集中して聴くというよりは、リラックスして野原に寝そべっている感じで
勝手なおしゃべりを浴びるように聞く、、、
それがこの曲集の聞き方(自分の)
(ウトウト寝てしまったらその時はその時で、それもあり)