最近は小説を読むことは少ない
歳のせいで登場人物の名前が覚えられないのと
一晩寝るとストーリーがあやふやになってしまうためだ
それに気分的にフィクションという形式が、今はフィットしていない
だが少し前「戦場のピアニストを救ったドイツ国防軍将校」
を読んで、急に地図上のあの辺りの本を読んで見る気になった
そこで引っ張り出したのが
冒頭のニーチェの永劫回帰についての記述が興味深くて
思いの外すんなりとその世界に入っていけた
もっとも、映画を見ていたのが大きく影響していたのは違いない
短い章に分かれていて集中の持続には苦労しないで済んだのはありがたかった
物語は登場人物のトマーシュ、テレザ、サビナ、フランツが織りなすラブストーリーと
してしまうのは、読後感としては違う
それよりはヨーロッパ人の孤独というもの感じる
それはサルトルの「嘔吐」でも感じた孤独と似てる
それは体制の中の(社会の中の)個人の孤独というよりは
存在そものに対する不安だ
それは明らかに日本人のそれとは違う
(と言っても個人的な見解だが)
この人はノーベル賞を受賞したが、読んで感じる総量は他のノーベル賞作家と
同等のものを感じる
残念ながら毎年候補に挙がっている日本の村上さんは、
その総量が、、少し足りないような印象を持つ
話は変わるが、この映画でジュリエット・ビノシュを知って、それ以来ファンになった
「イギリス人の患者」の看護婦さん役も良かったが
「ショコラ」の放浪のチョコレート職人の役も良かった
悪人ぽい役では「ダメージ」の中の、息子の恋人役も、、、魅力的だった
ここ数年、読み終えた日付と読後感の評価をパソコン上に残しているが
この本の評価は「優良可」のうち一番上のもの
なんか、ドサッと重いものが残った