パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

美女のポスター

2020年05月11日 17時18分23秒 | 徒然なるままに

寝室に美女のポスターがかかっている
同居人が見たら文句を言いそうなセクシーなものではなく
ただ普通に着物を着ているだけの女性がそこにいる

美女の定義は人それぞれだが、自分はこのポスターの女性を見ると
憧れの気持ちを禁じ得ない
正確にはこの女性ではなく、この女性の映画で演じた役の女性が
最高に美しいと感じている

その映画は始めるやいなや、ぼんやりと一人の女性が浮かびあがる
セピア色で思い出のように、それが映画のその後を暗示させる、、
森田芳光監督、夏目漱石の「それから」がその映画で
その美女は三千代役の藤谷美和子だ

映画は衣擦れの音、サイダーの音、百合の花の香り、明治時代の佇まい
物静かな会話は奇妙な緊張感を醸し出している
松田優作演じる代助は思いを隠している
藤谷美和子演ずる三千代はそれを感じ取っている
口に出して言いたいことが言えない、、そのもどかしさ

この映画をテレビ番組で見るのは辛い
緊張感がCMで途切れてしまうからだ
抑えた演技が見る方の想像力を掻き立てる

藤谷美和子は、かっぱえびせんのCMで知られる存在になった
その後は知らないが、この「それから」での存在感は
ワーグナーが女性による救済とか
ゲーテの永遠に女性的なるものによる救い(?)
と言った言葉を思い出させる
この女性の有り様(一緒に道徳を外れる覚悟)は
救いという言葉しかふさわしくないような気がする

それにしても、この慎ましやかさは、、たまらない
(藤谷美和子はその才能を発揮せずに生きているのがもったいない)

そのポスターの女性は





コメント
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