地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

大井川鐵道2019夏 (4) 近鉄16002F

2020-05-28 18:00:00 | 地方民鉄 (東海道)


 しばらく電車の運行は1日1往復として線路磨きに充て、残りの列車はバス代行という極限の臨時減量ダイヤに踏み切っていた大井川鐵道は、来たる6月13日以後普通電車の運行を通常どおりに戻すとのこと。この動きは、鉄道界がこれから徐々に平常を取り戻して行くプロセスを象徴しているようにも思われ、本当に何よりです。そういえば大井川鐵道の公式ツイッターでは、長らく検査を受けていた21000系1本が目出度く美しい姿を取り戻したと伝えていました。



 一方、昨年の夏に訪れた際には、調子が悪くなって最早動かすつもりがなさそうな16002Fが大代川側線に放置されていましたが、そのうち部品を全て取られて解体されるのか、それとも奇跡の復活となるのか……。ついこの間までは (?) 近鉄でも大井川でも極めてありふれていた紺+オレンジの特急色は、本家近鉄での新塗装化と12200系の廃車進行、そして大井川での離脱により、いつの間にか貴重な存在になりつつあるように思います。それだけに、オブジェのように置かれた16002Fの存在は、これはこれで過渡期を象徴する光景と言えるかも知れません。

大井川鐵道2019夏 (3) 南海21000形

2020-04-11 21:43:00 | 地方民鉄 (東海道)


 かつて南海高野線・大運転の要として君臨していたズームカー21000系は、1958年登場ということで、御年は何と62年。一昔・二昔前でしたら、車齢60年越えの車両といえば半鋼製の釣掛式電車と相場が決まっており、木製の車内と相俟って「なるほど、車齢半世紀超えだな」と納得したものですが、昭和30年代以後のノーシルヘッダー車ですと、往々にして流麗なデザインのため、車齢を知ってもなかなかピンと来ないこともしばしばです。車内に一歩入ったり、間近に眺めて車体の凹凸を確認したりして、初めて「あ、確かに古いわ」と思うという……。そんな車両の一つが、南海→大井川21000系であると言えましょう。



 去る7月に大井川を久しぶりに訪れた際、21000系は1本が運用入りし、1本が検査中。ただでさえ本数も減っており、1往復するにも時間がかかりますので、「撮って乗る」には非常にハードルが高く、来た際には絶対に失敗できないという緊張感もありますが、それだけに、高野線時代の「急」HMに範を取った「普」HMも凜々しい南海グリーンの21000系を撮った瞬間、内心ガッツポーズであったことは言うまでもありません。
 この後、しばし新金谷と家山で撮影し、家山から千頭まで21000系に乗りましたが、車内は本当に昭和30年代そのものですね……。相当年季の入った化粧板、ゴツいつくりの転クロ座席、優雅なカバーで覆われた照明……。まさに戦後ロマンスカーの良き時代そのものでした。そんな車内から眺める雄大な大井川の眺め……短時間ではありましたが、旅の醍醐味が詰まっていました。

鎌倉街道徒歩鉄録 (2) 湘南モノレール

2020-03-08 18:24:00 | 地方民鉄 (東海道)


 東海道線の大船駅から江ノ電の江ノ島駅の北まで、三浦半島の付け根を走る湘南モノレールは、昨日で開業から半世紀となりました。凄まじい加速で急カーブや急勾配を突っ走り、トンネルにも突っ込んで行くその乗り心地は、正直なところ鉄道の一種というよりもジェットコースターそのもので、最近は湘南モノレール自身が広告でジェットコースターを称しているほどですので、慣れない人は見事に酔ったり恐怖心を抱いたりするレベルですが、そうであってこその湘南モノレール (笑)。私も年に1〜2回利用しつつ、江ノ島・鎌倉界隈観光の良きスパイスとしてますます発展することを願っております。とくに最近は、Suica・PASMOが使えるようになった点が、革命的進化であると言えましょう。



 そんな湘南モノレールは、湘南深沢駅の東、富士塚小学校前交差点にて、鎌倉街道上道とクロスします。そこで、このたび鎌倉街道上道を歩くにあたっては、思いのほかほとんど撮ったことがない湘南モノレールを是非撮ってみようと思いまして、真下の道路(かつての京急バス専用道路)にて待ち構えてみました。しかしながら……床下が宙ぶらりんな懸垂式モノレールは正直撮り慣れず、見かけの速度も結構速いこともあり、ひたすら連写を続ける中で最後部の車両の床下が画面から切れたり、上下がカツカツになるなど、本当に散々でした (^^;)。
 ちなみに、今回撮影した交差点付近から湘南深沢駅にかけては、かつての国鉄・JR大船工場と隣接しており、遠い昔においては車内から身延線の旧国がチラ見えするなどして激しくコーフンしたのを思い出します (どういうお子様だ……笑)。しかし、既に大船工場は廃止となって久しく、とはいえ再利用も進まず、巨大な草原が広がるばかりとなっています。そこで、大船工場跡地越しに、車内から富士山や丹沢方面の眺めが本当に素晴らしく、大船から乗るのであれば進行方向右に座ることを激しくお薦め致します。

大井川鐵道2019夏 (2) 近鉄16000系

2020-03-04 18:12:00 | 地方民鉄 (東海道)


 近鉄では間もなく「ひのとり」が運行開始ということで、本当に楽しみですね。とはいえ、80000系大量増備の結果、12200系の廃車が進むことになるわけで、さらに80000系の増備が一段落すれば、長らくほとんど増備が止まったままの一般車両にもテコ入れがなされるでしょうから、近鉄電車は新たな激動の時代へと入って行くことが予想されます。
 そんな中、相対的に車両の動きが緩慢な (?) 1067mmの南大阪・吉野線でも、いずれ16000系の次の特急車が現れることになるのでしょうか。その前に、現役車両は新塗装になりましたので、もうしばらく活躍を続けることになりそうですが……(南大阪線ご無沙汰 ^^;)。



 というわけで、16000系の旧塗装車を楽しもうと思えば大井川を訪れるべし、という時代となりましたが、合計3編成が導入されて元養老線の421+571 (元名古屋線特急6421系) を置き換え、釣掛党の恨みを買いつつ (^^;) 大井川の主役として君臨していたのも今は昔……。16001Fは既に廃車解体となり、16002Fは昨年夏の訪問時、不調につき休車となっていました。そういえば、16001・16002Fが大井川に来たのは1997年ということで、既に約20年の歴史を経ており、それだけ老朽化が進んで部品取り用に回ってしまったということなのでしょう。
 辛うじて現役な16003Fは、ご覧の通りのやつれ具合ながらも、走りっぷりやクーラーの効きはほどほどという感じで、トーマス景気や中国人観光客殺到(静岡空港が近くにあるため)もあって満員御礼な客を乗せて快走していました。そんな姿を眼にして、かつて421+571に向けていたのと同じ熱い視線を、16003Fに注がずにはいられないのでした。


江ノ電303編成・在りし日の勇姿

2020-03-03 00:00:00 | 地方民鉄 (東海道)


 江ノ電300形のうち、カルダン駆動化された編成として305・304編成の画像をアップしましたので、もう1本のカルダン駆動編成・303編成についても、未アップ画像を外付けHDから引っ張り出してみました。本日は3月3日でもありますので……。というか、良い感じで撮影できた画像を、何故約15年もレタッチしないまま放置していたのか、我ながら全くの疑問です (^^;)。



 それにしても、タンコロの車体を流用していながら、304編成のように台枠から広げたわけではないため、細身にして小さな窓が残るまま、張り上げ屋根化されているという、今ひとつ垢抜けないボディが懐かしいです。それに2000年代は、この界隈に繰り出す観光客も多くなく、線路の脇に道路が通っている撮影スポットでも、人かぶりがほとんど無かったのは有り難いことです。