地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

日本の夏・中央線の夏 (下) 高尾発長野行

2019-08-26 12:00:00 | 国鉄型車両


 ただでさえ週末や行楽シーズンには混み合う中央線の特急が全車指定席になって以来、一見すると211系化でロングシートに当たるかも知れず、「使えない」存在になったかに思える普通列車の利用価値がにわかに上がったような気がするのは私だけでしょうか。とりわけ、天気予報と相談しながら直前の思いつきで登山・ハイキングに出かける場合、特急の指定を早い段階で確保しておくのはリスクがあります。勿論、早くから予約しておいて当日好天に恵まれれば、スピーディーな移動と素晴らしい眺めで気分は最高ですが、逆にロクでもない天気に当たってしまった場合、恨み言を内心連ねながら歩かなければならないという最悪の事態となります。そのフラストレーションを低減するのであれば、特急に座れず時間もかかるという不利益を理解した上で、気軽に普通列車で移動するのは精神衛生上良いのも確かです。デカいザックを持参していると、実はロングシートの方が便利ですし、特急にデカいザックを持ち込むとパンピーの皆様にウザがられるという問題もあります。



 というわけで、もともと特急不在な早朝6時14分に高尾を出る松本行き鈍行を、セミクロスだろうがロングだろうが従前にも増して愛用せずにはいられないのですが (八王子6時35分発は、甲斐大和や塩山でのバス連絡が良いこともあって、下手をすると登山者で激しく混むからキライ。笑)、その他にも最近は気のせいか、豊田〜高尾から松本まで通しで走る鈍行が増えているような気がします。単に運用上の都合で、甲府や小淵沢で切らずそのまま直通させているだけかも知れませんが。
 そして極めつけは、確か去年か一昨年のダイヤ改正で復活した高尾発長野行き! 去る8月上旬に奥高尾をハイキングして下山した際にも、ちょうどたまたま長野行きがやって来まして、結構興奮しました (^^;)。しかしながら、この日は見事にロングシートの2000番台が充当されており、まぁ余程の「長距離鈍行乗り通しヲタ」でなければ、さほど乗り通す意味を見いだせないのは私だけではないでしょう。かつての、18きっぱー&登山者御用達・新宿発長野行きと比べれば、名門列車らしさは足下にも及ばないのです (新宿駅で2〜3時間以上前からアルプスの広場で待機したのも懐かしい話です)。
 むしろ、最近は青春18切符旅指南書でしばしば言及されることですが、必ず座り続けつつ退屈も回避するためには、むしろ途中の駅で駅の外に出て、コンビニなりメシ屋なりでブレイクするのが良いと思われます。例えば中央線であれば、甲府でほうとう、上諏訪・下諏訪・広丘ではハルピンラーメン、塩尻・松本では駅そばに舌鼓を打つのがオススメです。

宮城乗物縦断 (5) ED75・快速花めぐり

2019-07-07 11:30:00 | 国鉄型車両


 JRE仙台支社は、毎年春の大河原〜船岡桜、そして福島花見山のピークに合わせて、ED75と高崎所属客車による「快速花めぐり」を運行しており、概ね隔年ごとに12系と旧客が往年の東北線客レを彷彿とさせるかたちで花見客やヲタを楽しませているようです。というわけで、運行される時間帯の有名撮影地はどこも大変なことになるようですし、福島行きのJR夜行バスも車内のかなりの割合が早朝から場所取りを狙うヲタだったりするのですが (今回の街道歩きで乗って内心大爆笑)、まぁ私自身は熱烈なJRヲタ・ネタ鉄ではありませんので、そんなの何処吹く風と思いつつ春の街道を歩き、日中やや人出が減った撮影名所陸橋にて (パンピーの皆様は凄い人出 ^^;) 701・E721系や貨物の撮影に興じたのですが、午後の「快速花めぐり」仙台ゆきは、蔵王と桜に対して罐の顔がダメダメ逆光ですので、待つ意味は薄し。まぁ皆さん頑張って……と思いつつ、元の街道に戻ったのでした。



 とはいえ、一応「快速花めぐり」の船岡発車時刻は、手持ちの地図に書き込んでおりまして、自分が歩いている位置が線路に近くなり、しかも通過時刻と重なり、撮り易い場所も見つかりそうであれば、折角の機会につき撮ってやろうと思っておりました。そこで、槻木の手前、白石川のJR橋梁に着いたところで、通過まであと20分ほどとなりましたが、橋そのものはコンクリートが下回りを隠すなど撮りづらいという……。そして何人かのヲタが、橋に来たものの期待したほどの眺めではないためでしょうか、満開の桜越しにED75のサイドビューを撮ろうとしているようでしたが、これもどうも、周囲の物とのからみで、すっきりと美しい絵にはならないような気が。
 というわけで「最初から狙っているわけではないし、まいっか」と諦めまして、槻木市街の南部へと進んだのでした。改めて時計を見ると、「花めぐり」通過まであと5〜6分……。一方、地図を仔細に眺めると、どうやら線路沿いに入る横道があるらしい。そこで、これは一か八かの勝負に打って出ることにしました (笑)。槻木駅南側の、東北線と阿武急が並行する区間は撮り易いのか否か、全く知る由もありませんが、もしハズレであったとしても、歩いて僅か数分のロスにしかなりません。角度的にはド逆光ですが、それはまぁそれ。他のヲタとの場所取り争いも長時間待機も一切抜きにして、まさに一瞬芸でネタ列車を撮るという最高のチャンスかも知れません……。
 そこで駆け足で線路脇に出たところ、をを!若干架線柱とヲタ除けロープと草が鬱陶しいものの、何とかイケそうではないか! と思った間もなく、遠くからフィーーーーーッ!と甲高い汽笛一発、猛スピードでED75と12系が駆け抜けて行きました……! 
 う〜〜〜ん、これはまさに、国鉄時代の12系臨時急行というノリですな!! 個人的に、ED75は貨物や鈍行を牽引しているという印象が強かったため、この小粒な罐の何処にこんな高速走行性能があったのかと驚くばかりですが、まぁ12系を牽引する程度ならお茶の子さいさい、小粒でピリリと辛い赤唐辛子、ということなのでしょう。
 こんな感じで、期待していなかったものが運良く撮れてしまったことで、満開の桜を眺めながらの奥州街道の旅に、またとない思い出が加わったのでありました。その後は再び東北線から離れ、岩沼の手前では全線再開を待つ常磐線を跨ぎ、製紙工場への専用線の様子を観察したのち、岩沼の街の北にあるルートインに泊まったのでした。

癒やしの抹茶色・113系5700番台

2019-06-21 09:44:00 | 国鉄型車両


 奈良線の103系は滅多に来なくなり、桜井・和歌山線の105系も大往生を遂げて急速に減りつつある中、湖西線の113系がフツーに京都駅に停まっている風景はいよいよ「貴重な日常」になりつつあります。先日、京都での滞在時間僅か4時間というトホホな日帰り出張をして来たのですが、そんな中でも抹茶色113系を見つければ感涙モノで激写せずにはいられません。発車間際につき、慌ててスマホでの撮影ですが……。



 そんな湖西線の113系も、基本的にはN30・N40改造されていますが、たまに改造対象外の5700番台に当たると感涙の嵐はとどまるところを知りません。ドアボタン設置につき、戸袋窓が埋められたり幅狭になったりしていますが、113系0番台新製冷房車タイプのユニット窓を今も守り (もちろん実車は700番台として登場)、シートピッチが今の日本人の体格にとって最早ク○狭いボックスシートがそのままなのもシビれます。とにかく大急ぎで形式写真を撮っただけですが、これまで撮り鉄するにしてもほとんど編成写真でしたので、確実に迫り来る引退を前に、こんな感じで形式写真を撮り貯めることも大事だとますます痛感します……。

FV-E991系発表記念・鶴見線の103系

2019-06-04 17:12:00 | 国鉄型車両


 このたびJREは、世界初の高圧水素による燃料電池ハイブリッド車であるFV-E991系を製造し、鶴見線と南武線(武蔵中原~浜川崎)で実証試験を行う計画を発表しましたが、今日の京浜工業地帯を過去の重厚長大産業からゼロ・エミッションの最先端技術集積エリアへと脱皮させるべく行政が旗を振っていることに加え、高圧水素の供給地(昭和電工の工場)が目の前にあることから、確かに実証実験の地として相応しいと思いました。また現実問題として、205系が投入されてから約15年を迎え、そろそろ置き換えが視野に入る中、かつてほど混雑するわけではない鶴見線・南武支線に烏山線と同様の3扉車2連を投入することで、需要と供給のバランスを最適化するとともに、老朽化した架線電化設備をこの際全て取り払い、大幅なコストダウンを図ろうとしているのかも知れません。烏山線EV-E301のお試し編成が最初から営業用車両として登場したのに対し、こちらは形式名からしてあくまで試験車扱いですが、窓配置は営業車そのものであり、順調に所期の成果が得られれば、そのまま営業用車両に転用してしまうのでしょう。



 というわけで、鶴見線の新たな節目が迫りつつあるのを記念して、205系の投入が始まった2004年の秋に撮影した103系の未アップ画像をレタッチしてみました。当時はまだまだ他の路線でも103系が健在でしたので、引退迫る鶴見線103系を撮っているヲタなんてほとんどいなかったよなぁ~ということを思い出しますが、とにかくまぁ、バブル崩壊後のうらぶれた工業地帯を103系がチンタラと走る光景は、いま思えば侘び寂びの一言に尽きるよなぁ……と痛感します。その一方で、ある意味とてもジオラマ的な雰囲気の鶴見線を、最新鋭技術のカタマリのような試験車が走ることになり、やがて量産化で鶴見線の新たな風景となって行くことにワクワクしております。架線が不要ということであれば、例えば東海道貨物線から神奈臨浮島線に直通する列車を設定することも可能であり(JRFも実証試験に協賛するとのこと)、机上の空論に等しい妄想は止むところを知りません (笑)。
 いやその前に……そろそろ鶴見線・南武支線の205系は、今一度真面目に撮っておいた方が良さそうですね。そして、高圧水素の供給がしやすい場所ほど、燃料電池電車に移行して架線設備不要という流れになって行きそうですが(あるいは、EV-E301よりも容易に非電化路線の電車運行移行に資することになるでしょう)、さて、そういう路線は果たしてどこになるのやら。今後様々な予測で趣味界が盛り上がることになりそうです。

※多忙で更新頻度が相変わらず低下し、大変恐れ入ります。また、頂いたメールもなかなかレス出来ず、本当に申し訳ございません。m(_ _)m

関西ぶらり鉄2019春 (3) 桜井線105系

2019-03-30 22:43:00 | 国鉄型車両


 N40化されていない103系の現役編成は残り3編成である、と先日の記事で記した後、何か違うという感を抱いていたのですが、そうだ、そうでした。105系化された103系1000番台が、何と戸袋窓も一部編成において存置しつつ、桜井線と和歌山線で現役ありませんか! 
 しかし周知の通り、この105系にしても、227系への置換によって今秋までに完全に引退することになりました。この余りにも昭和な電車は、ある意味で奇跡的に (?) 次の元号まで生き残ることになりましたが、決して永続的なものではないわけで、去る16日のダイヤ改正で一部が離脱しています。広島・下関地区の4扉105系も既に全車廃車となったとか……。



 そこで、今は227系が増えてしまう前の最後のチャンス。僅かに (?) 使える出張ついでの時間を活かして京都から奈良に往復し、少々ながら4扉105系の最後の雄姿を激写することにしました。しかもこの日の予報は午後曇り。光線を気にせず撮り貯めるには最高……のはずでした。ところがいざ桜井線内に進んでみると、ピカーンと陽が射したかと思ったら今度は翳るという何とも目まぐるしく遺憾な天気で、面がつぶれて最高にトホホな一幕も……。
 それでも、この「クモハ105→前パン、クハ105→103系1000番台的雰囲気そのまんま」という特選編成が来た際には、ちょうど良いライティングにも恵まれ(否、2枚目の撮影時には急速に雲間から光が差し始めて猛烈に焦りました)、何とか上手く撮れて大いに満足しています♪
 桜井・和歌山線の105系、最後に纏っている和歌山ブルーもなかなか似合っていますが、やはりそもそも常磐緩行線色がベストであることは言うまでもなく、最後に一発常磐緩行色にならないものかと妄想しなくもないですが、その場合にはヲタ殺到間違いなしでしょうから、やはりこの塗装で終焉を迎えるのでしょう。これもまた車生というものでしょうか。