地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第五ヤンゴン熱鉄記 (15) 白い三陸

2018-06-21 22:34:00 | ミャンマーの鉄道


 先日の「ミーヤターの会」すなわちミャンマー鉄の宴にて繰り返し強調され、一同の深い賛同を得たのは、「東南アジア鉄において《これ最高!》と思った新ネタ情報については、半年以内に現地に行って撮るべし」の法則です。そのココロは、行き当たりばったりで詰めの甘い需要予測や、諸々の事情の (往々にして気まぐれな) 変化のため、鳴り物入りで登場したにもかかわらず、アッという間に消える列車の何と多いことか……ということです (滝汗)。その最たるものは、ヤンゴン臨港線の三陸36形 (たまにイセ) と広電であり、ベトナム標準軌のソウルメトロ (4扉車改造による観光列車ハロン・エクスプレスの噴飯物な存在感は最早レジェンド級……。復活後持続するかに思われたドンダン急行も結局半年程度で終了し、コレ目当てで一昨年ハノイに往復した私は泣きました) であると言えましょう。他にもフィリピンの24系ビコール急行、マレーシアの会津キハ8500と14系「マラヤン・タイガー」やジョホールバル界隈鈍行、タイのキハ28/58、ミャンマーのキハ181、インドネシアのHolec ACなどなど……早くて1〜3ヶ月、長くても2〜3年で車庫の置物となってしまう車両が多すぎます。あるいは、例えばミャンマーのLRBEのように、軍事政権下で車両不足を補うため長らく重宝されつつも、民主化・経済発展スタートとともに急速に存在意義を失っていった車両もあります。したがって、何度でも強調させて頂きますが、東南アジアの鉄道シーンは常に、面白いと思った瞬間が旬なのです (爆)。



 とはいえ、「これ良い!撮りたい」と思っても、極めてハードルが高い車両が存在するのも確かです。それが……VIP用車両。勿論、例えばタイ・バンコクのホアラムポーン駅の片隅で常に放置された状態になっている (?) 12・14・24系改造超豪華貸切列車であれば、入場券すら払わずに何時でも激写可能なはずです。しかし一方、ミャンマーに渡ったスシ25などは、いつもお世話になっております斎藤様がRP誌に投稿されるピィンマナ・ミンゲ情報の中で、観光列車として復活する計画もある云々という記述があるにもかかわらず、その実際の機運は全く伝わって来ませんし、幹部の巡視用として豪華な椅子が特別に整備された一部の日本中古車については、通常は旅行会社を通じた煩瑣な手続きをしなければ対面出来ません。あわよくば偶然、巡視に関連した臨時運行にでも遭遇しない限り……。
 というわけで、ミャンマーに転じた日本中古DCのうち、見事に白三陸色を施されて転換クロスシートを温存した三陸車については、いくらインセインに配置されたとは言っても通常は車窓から車庫をチラリと眺めるだけだろう……と思っておりました。ところが何と! とあるMy撮影地での昼下がり、一日で一番クソ暑い時間につきヘロヘロになりながらも列車の接近に注意を払っていたところ……んん?カーブの奥から純白に輝く車体が……?? 罐にしてもDF1200はクリーム色だし、こんな車両あったっけ……? そこで次の瞬間、さらに接近して赤と青も鮮明に判別できるようになると「ををを〜!これは巡視用の三陸キター!!」ということで、暑さでヘタレた気分は一瞬にして吹っ飛び、猛烈に激写を重ねたのでありました♪ 
 まぁそれだけの話ですが、何はともあれ、この三陸塗装をマスキングで丁寧に再現した匠の技は素晴らしい! 今後も神出鬼没で、ヤンゴンを訪れるヲタを愉しませて欲しいものです。

阪急京都線7300・8300系を撮る (2018)

2018-06-19 12:39:00 | 都市民鉄 (近畿以西)


 昨日大阪北部を中心として起こった地震につきまして、被害に遭われた地域・鉄道会社の皆様に心よりお見舞い申し上げます。震度6弱といえば、東日本大震災の時の首都圏よりも揺れているわけで、改めて7年前の出来事を思い出すばかりです。



 今回は阪急沿線の断層が動いたようで、阪急京都線や御堂筋線の界隈に被害が出たようですが、そんな阪急京都線を、今年3月と5月の関西出張ついでに、ごく短時間ながら撮っておりました (1本撮っておしまい ^^;)。そのときに来た7300・8300系の画像を貼ることで、一刻も早い日常の回復を祈念したく存じます。安くて速くてクオリティの高い阪急万歳!

上信151編成、さよなら運転へ

2018-06-16 18:00:00 | 地方民鉄 (関東北東部)


 上信電鉄における西武401系の生き残りであるクモハ151+クモハ152は、公式HPによりますと先月25日の営業運転を以て車齢53年に幕を閉じたとのことでした。そこで個人的には、107系の改造工事が進んで車籍編入が迫る中、ボロい150・200形の中でも、検査期限切れとなる151編成が最初に除籍されることになったのだろうと解釈しておりました。
 ところがどっこい! まだ151編成の車籍は保たれていたようで、来たる30日にツアー形式でさよなら運転を実施、参加者募集は既に満員御礼となったようです。5月の時点での運行終了宣言は何とも紛らわしいフェイク・ニュースだったことになりますが、あるいは「さよなら運転をやってくれ」という声が殺到し、検査切れにならない限り実施しようという方針に変わったのかも知れません。



 というわけで、昨年8月のビール電車乗車ついでに撮影した画像のうち未アップの画像をレタッチしてみましたが……どちらも後追い撮影で、運転席には誰もおらずスミマセン (笑)。
 まぁ、西武401系そのものは、三岐と近江でまだまだ現役バリバリですので、今のところは「全て消える」と焦るには及ばないでしょう。そして裏を返すと、まったりと現役401系を楽しむのであれば、今が引き続き旬であると言えましょう。
 むしろ個人的には……そろそろ107系の上信バージョンが落成する姿を見てみたいものです。上信側の線路に押し込まれたのは去年の8月下旬の話ですから、そろそろ10ヶ月。イイ加減、改造が終わる頃合でしょう。あるいは、例えば119系改めえち鉄7000系と同様、VVVF化を伴う大がかりな改造を施しているため、意外と時間がかかっているのかも知れません (妄想……165系の下回りがそっくり温存されるのが最もヲタ的に好ましいですが、比較的新しい車体を活かしてこの先20年近く使うとすれば、補助金を多めにもらって下回りにも手を入れるという判断もあり得るでしょう)。

懐かしのジャカルタ東急黄+緑帯 (2010)

2018-06-15 12:15:00 | インドネシアの鉄道


 Selamat Idul Fitri! 本日はイスラーム暦のラマダーン (断食月) が終わるレバランにあたるということで、連休中の安全輸送に従事するジャカルタの日本中古電車にエールを送りたいと思います。
 それはさておき、落花生。様の一時ご帰国を祝うミャンマー鉄「ミー・ヤターの会」が開催された翌日の先週水曜日には、都内某所の美味しいインドネシア料理店におきまして、kucing様のお声がけのもとジャカルタ鉄の宴が盛大に開催されました。既に、連日の飲み食いで相当腹がヤバいことになっていた私ではありますが、これはこれで実に興味深い話を伺える機会ですので勇躍参加させて頂きまして、ココナッツの隠し味が効いたマイルド・スパイシーな味に舌鼓を打ちつつ、あれやこれやの話題で盛り上がった次第です。いつも幹事を務めて頂いているkuching様ほか、ご参加の皆様には心よりお礼申し上げます!



 席上では、まだ詳しい情報は控えさせて頂きますが、台鉄のとある車両のHO模型試作品が放つ精巧この上なく凄まじいオーラに「あ、ありがたや……置物として日々拝みたい」という気分になったほか、あの国のあの車両をめぐる詳細な話題に、いつものことながら漫遊欲を掻き立てられまくりでした。具体的にはこんな内容です (他にもいろいろ話題てんこ盛りでしたが、記憶力の乏しさにより割愛 ^^;)

 *息を吹き返しつつあるカンボジアの鉄道、とりわけプノンペンの空港鉄道がアツい! たった1両のピカピカな客車を2両の罐が挟んでプッシュプルし、併用軌道を走るって一体何やねん……。
 *タイに売られたJRHキハ183は一体どうなるのか……個人的には、ナムトク線(泰緬鉄道)の観光列車として活用されることを激しく希望。カンチャナブリ〜ナムトク間300バーツの特別車両は、椅子カバーとおやつが付いているとはいえボッタクリ。
 *台湾鉄路局がウリナラ・ロテムから大量に電車を買う契約をしたとは……どこまで懲りていないのか?
 *インドネシアについては、ランカスビトゥン電化開業・チカラン電化開業・空港鉄道オープンを未体験な方が多数 (私もです)。そこで、また訪れて、ステンレス客車や東急・203の12連など、撮りたいネタが結構ある……という話題がいろいろ出る一方、客室のハイアール製冷蔵庫が壊れて以来片っ端から撤去されて補充されないなど、サービスの劣化が悩ましい問題であった鉄ヲタ御用達宿「Ibis Mangga Dua」がついに身売り!! これも一つの節目……。

 そして、例えば205系の全面広告ラッピングのスポンサーとなるのと全く同じ発想で、もし東急の先頭車にKAI時代の懐かしの帯色を貼ることが出来れば面白いのではないかと……。
 というわけで、ジャカルタにおける東急8000系列の、最早約8年前となり懐かしすぎる姿を貼ることで、見果てぬ「ジャカルタ復活色」を脳内に思い描きつつ (正面のマークはKCIになるでしょう)、またそろそろジャカルタに2年ぶりで往復する航空券をポチろうか……と思い始めております。

第五ヤンゴン熱鉄記 (14) バゴーのSL

2018-06-07 21:23:00 | ミャンマーの鉄道


 いつも当ブログを楽しみにご覧頂いている皆様には、ここしばらく通常の更新が途絶えていることを心よりお詫び申し上げます m(_ _)m 通常の業務に加えて出張・出張・旅行・宴会・宴会……と、休む間もないほど目まぐるしい日々を過ごしておりましたもので……。それもようやく落ち着きましたので、今後は徐々に、たまったネタを放出するペースを上げて行きたく存じます。

 さて、上記の宴会はいずれも、いつもお世話になっております落花生。様がヤンゴンから一時帰国されていることに伴う歓迎会 (二日連続 ^^;) ですが、このうち一日目は鉄道フォトライターの白川淳様が中心となって開いておられるミャンマー鉄の集い(ミー・ヤターの会。ミーは火、ヤターは車の意。火車が列車を意味するのはチャイナ語と同じですね)にお招き頂きまして、勇躍初参加して参りました。そして、いつも拝見している超!気合い充分の懐旧系撮り鉄ブログ『むかし鉄・いま鉄な日々』の品川530様、及びミャンマー鉄道・バスサイト『民柄場』のフ・エータ様と初めてお会いし、「なるほど……この才能にしてこの充実の内容ありか!」ということを理解したほか、ご参加の皆様と充実したひとときを過ごさせて頂きました♪ 高田馬場らしいミャンマー料理店の、必ずしも日本人ウケするわけではない強烈な辛さとニンニクが効いたメシも最高に素晴らしく、昨年3月以来ご無沙汰なミャンマーに久々に帰ったような気がしました☆ というわけで、白川様・落花生。様ほか、ご参加の皆様には心よりお礼申し上げます!



 そんなミャンマー、いろいろと物事が移り変わっているわけでして、翌日のインドネシアの宴にて落花生。様から伺った嬉しい話題としましては……祝!近々日本人の短期観光ビザ免除!! これで北品川の大使館まで足を運んで4,000円を上納する必要がなくなるというものです。4万チャットですから、現地では大金ですよ、これは!!
 いっぽう、平和的な政権交代の勢いをうけて、第二のピンロン協定締結=連邦内諸民族の真の宥和を目指すスー・チー政権ながらも、依然として完全和平は難しいようで、ミャンマー国鉄路線網のうち最北の要衝=カチン州都であるミッチーナー、及びその途上にあるナバ〜カタ支線は、当面ゲリラ再活性化により再び外国人立入禁止とのこと。詳しくは外務省の海外安全HPをご参照、といったところでしょうか……。
 そして鉄道ネタとしましては、落花生。様がご趣味と職業柄を兼ねて渾身のレポートをされた、ラカイン州のキハ52をめぐる状況が、一同の大きな関心事となりました。「ロヒンギャ問題のからみで危険?」「いやシットウェー周辺は意外と大丈夫」云々……。ロングシート化されながらも美しく上塗りされたキハ52が走る里に平和が定着して欲しいものです。また、参加者一同が大好きな (?) ヤンゴン臨港線は、たとえ三陸をチャーターして走らせたいと思っても、経済活性化によって貨物列車の本数が増えているため、ハードルが極めて高くなっているとのこと。
 こんな感じでいろいろな話題が出る中での共通認識は……《東南アジアでは、新たに登場した列車や初めて見聞きした車両がイケてると思ったら、半年以内に行け!の鉄則》は依然として有効だということです。キハ181、臨港線の三陸と広電、LRBE、RBE改造RBT……ミャンマーだけでも一体どれだけの惜別の涙を我々は流して来たことでしょうか! (爆)
 そこで参加者一同のアツ過ぎる注目を集めたのが、プノンペンの空港鉄道♪ 次第に鉄道が息を吹き返しつつあるカンボジアでは、近い将来タイ東本線と再接続されたり、徐々に旅客列車の本数も増えつつあるそうですが、そんな中に綺羅星の如く現れたのが、2台の罐 (うち1台はミャンマーのDF1200に近似の、おフランス・アルストム製メーターゲージ共通規格?罐) に挟まれたピカピカな客車が、路面を堂々走るという超絶悩殺シーン! 「これが空港鉄道かよ……」と絶句するのは当然で、近い将来メキシコ製の新型車両が入るとのことですが、これがまた「銀河鉄道555の単行版」(落花生。様評) としか言いようのない超絶バッタ物車両で、「これはこれで激写したい w」ということで議論が一致したのでした……。

 そんなこんなでめくるめく変わりゆく東南アジアの鉄道にあって、変わらない存在感を持っているのは保存SL。というわけで、昨年3月に斎藤様&落花生。様とご一緒させて頂いたピュンタザ・マダウ・バゴー訪問ネタの最後の一発として、バゴーの動体保存機の画像をアップしたく存じます。既に重油焚きに改造され、たまに欧米鉄 (稀に日本人鉄) がチャーターしているとのこと。しかしまぁ……これが昔ニャウンカシーの路盤崩壊線路に入線していたかと思うと、罐が吐き出す熱気とは裏腹に、心胆寒からしむるものがありますね……(滝汗)。