ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

民主党、政治資金規正法改正案を決定 参院に近く提出へ

2007年10月04日 22時20分53秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦
「1円以上」に領収書添付=閲覧も可、規正法改正案を了承-民主 (時事通信) - goo ニュース

全ての支出に領収書の写し添付義務付ける政治資金規正法改正案を了承 拡大政治改革推進本部‐民主党ニュース


 民主党の怒濤の法案ラッシュ。参院選の潜在的な争点だった「政治とカネ」でも法案を参院に提出する方針です。

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 民主党は4日午後、党本部で政治改革推進本部(本部長・岡田克也副代表)の拡大会合を開き、政治資金規正法改正案を了承した。人件費を除くすべての政治団体に対して、1円以上の全支出に領収書の写しの添付を義務付ける(人件費を除く)。選管に提出する領収書を、現物でなく、写しとしたのは、「現物は政治家個人、団体が保管すべきもの」(同本部事務局次長の松本剛明衆院議員)と説明した。

 情報公開法・条例に基づく情報公開閲覧も可能になる。10日の「次の内閣」で正式決定し、今国会中に参院へ提出する考え。

 会合で、鳩山由紀夫幹事長は「政治とカネの問題は、世論の意見を聞くことに尽きる。参院で法案を可決し、世論のバックアップがあれば、成立は決して不可能ではない」と強調した。

 松本事務局次長が法案の骨子を説明し、交通費、冠婚葬祭費などの扱いをめぐる質疑の後、了承された。

 本部長の岡田さんは、「民主党が参院選で国民に約束したことをベースにした法案。我々は野党で権力をもっていない。どこから突かれても大丈夫なように、法令順守を念頭に置いてもらいたい」と述べた。

 会合後、岡田本部長は報道陣に、「法案の提出時期は他党との調整もあり、状況を見て判断する。法案の中身については参議院選挙での国民と約束したことが重いので了解してもらった」と述べた。

 法案は、領収書添付以外に、政治資金収支報告書の虚偽記載、領収書の偽造など違反がある場合は、総務大臣、都道府県選管に検察庁への告発を義務付けている。
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【国会傍聴記】全質問者が沖縄戦の教科書検定に言及 衆院代表質問

2007年10月04日 19時55分36秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 衆院での代表質問2日目。

 きょうは公明党代表の太田昭宏さん(東京12区)、日本共産党幹部会委員長の志位和夫さん(比例南関東)、社民党の照屋寛徳さん(沖縄2区)、国民新党・そうぞう・無所属の会の下地幹郎さん(沖縄1区)。

 4人のうち2人が沖縄県選出です。やはり4氏とも沖縄の問題を大きく扱いました。今日の傍聴記は、「沖縄」に絞って、まとめます。

■2007年10月4日衆議院本会議 福田総理の所信表明に対する各党代表質問 太田昭宏(公明党)、志位和夫(共産党)、照屋寛徳(社民党)、下地幹郎(国民新党・そうぞう・無所属の会)■

【「9・29沖縄県民大会」の衝撃、じわり国政各党に】

 「沖縄問題」とはもちろん、高校歴史教科書の「軍が民間人に集団自決を強要した」とする記述を、来年度使用分から削除するよう文部科学省が行政指導した問題です。
 4人の質問に関して、福田首相と渡海紀三郎文科相の答弁は「文科省単独ではなく、審議会に諮らなければ判断できない」という趣旨で一貫していました。

【4議員とも取り上げた「沖縄歴史教科書問題」】

 共産党の志位さんは、福田総理就任などに関した前置きを一切述べず、いきなりこの問題を切り出しました。9・29検定撤回県民大会を受けて、「島ぐるみの問題であり、この問題を起こした責任は政府・文部科学省にある」と断定しました。

 社民党の照屋寛徳さんの質問を聞いて涙を流してしまいました。照屋議員の公式ウェブサイトによると、照屋さんは1945年、サイパン米軍捕虜収容所で生まれた人だそうです。

 照屋さんは沖縄の離島にする宮川スミ子さんの経験談を紹介しました。
 宮川スミ子さんについては9月29日付の沖縄タイムスが報じています。
 宮川さんは沖縄の離島、慶良間諸島の(沖縄県島尻郡)座間味村の人です。隣の渡嘉敷村は700人余の島です。以下、沖縄タイムスからの抜粋です。

 1945年3月25日、宮川さんは当時、座間味国民学校の五年生でした。米軍が座間味島を空襲した3月23日に、母のマカさんとともに家族で造った内川山の壕に避難していた。
 25日夜、マカさんが「忠魂碑の前に集まりなさいと言われた」とスミ子さんの手を引き壕を出た、20~30分後に現場に到着。その際、住民に囲まれていた日本兵一人がマカさんに「米軍に捕まる前にこれで死になさい」と言い、手榴弾を差し出したという。
 マカさんは「家族がみんな一緒でないと死ねない」と受け取りを拒んだ。二人はその後、米軍の猛攻撃から逃れるため、あてもなく山中へと逃げた。聞き取りが当時の大人中心だったため、これまで証言する機会がなかった。
 スミ子さんは「戦前の誤った教育が『集団自決』を生んだ。戦争をなくすため、教科書には真実を記してほしい」と力を込めた。

(抜粋おわり)

 照屋さんは「座間味村は阿鼻叫喚、ありったけの地獄を集めたような修羅場と化したのです」と表現したうえで「総理、お答えください。なぜ沖縄だけに(在日米軍基地など)安全保障の犠牲を強要するのですか?」と迫りました。



「県民大会」出席のため沖縄本島に向かう「座間味村旗」(座間味村役場公式ウェブサイトから)

 沖縄県内の地方議員らでつくる政党「そうぞう」の代表、下地幹郎さんは「従軍慰安婦に関する河野談話のように、沖縄戦に関する総理談話を出してください」と要求しました。

【乗り遅れた公明党】

 公明党の太田さんも「重要なのは沖縄戦の史実を後世に伝えること」としながら、政治が介入すべきではないという考え方も示しました。一方で「沖縄の心に重きを置かなければならない」とし、最終的には「総理のお考えをうかがいたい」と総理にボールを投げました。

 公明党に関してはけさの読売新聞のベタ記事を読んで、アレッ?と思いました。

公明幹事長、教科書検定問題できょう沖縄訪問
 公明党の北側幹事長は、沖縄戦の集団自決をめぐる教科書検定問題で意見交換するため、4日に沖縄県を訪問する。仲井真弘多知事と5日に会談する方向で調整している。

 私が北側事務所に問い合わせたところ、「本会議終了後に沖縄に向い、(本会議がない)明日の早朝から動きたい考え」とのこと。「最終便のキャンセル待ち」だというのですから、慌ただしい動きです。

 この慌ただしい動きに予感はありました。

 9月30日付の沖縄タイムスを読んであることに気付いたからです。

 「11万人県民大会」には民主党の菅直人代表代行が参加、4段抜きの写真で報じられています。
 市田忠義共産党書記局長の感想も報じられています(写真はなし)。
 社民党は地元の照屋副党首はもちろん、本部からも保坂展人平和市民委員長が参加し、感想を述べています。
 一方の与党。遠山清彦公明党宣伝局長が「県民が怒るのは、文科省が学問的、客観的に運用した検定制度と、戦争体験者の体験がずれているからだ」と述べています。とはいえ、野党3党はナンバー2が来ているのに、公明党の遠山さんは7月の参院選で2回目の当選を果たしたばかりの若手。他党に比べて格下の感はいなめなません。

 公明党は第44回総選挙で全国で10人の公認候補を
小選挙区に立てましたが、沖縄1区だけ負けました。
 私は9年前、沖縄本島の最南端の道路に浜四津敏子代表代行のポスターが張ってあるのを見て、公明党の沖縄での組織力に驚いたことがありますが、与党公明党は、この問題で完全に乗り遅れたといっていいでしょう。北側さんは出遅れを取り戻すため、沖縄に向かったのだと思います。

 県民大会に関してですが、自民党本部からの出席者はいなかったようです。
 琉球新報に沖縄県選出・出身の国会議員のコメントが載っています。自民党で最も当選回数の多い7回生の仲村正治さん(比例九州)が「会場に向かっていたが大渋滞に巻き込まれて参加できなかった」とのコメントを寄せていますが、これは本当でしょうか?
嘉数知賢、西銘恒三郎、安次富修の自民党衆院議員3氏は出席したと思われるコメントを寄せています)


「私は渡嘉敷島北山の『集団自決』の生き残りです」と「県民大会」で証言した渡嘉敷村の吉川嘉勝さん(68)=9月20日付沖縄タイムス

《関連エントリー》もごらんください
10月4日(木)の衆院本会議には沖縄選出2人が総理に質問

【教科書問題は審議会政治の終焉か?】

 日本政治の特徴として「審議会政治」という言葉を政治学で使います。大臣の諮問機関である審議会を隠れ蓑にして、官僚の意見がお墨付きを得て、国会での議論よりも影響力(power)を持つ政治です。
 政治家は閣僚を辞任したり、議員を辞職したりします。では、審議会の責任者はだれでしょう? だれも責任を負わないシステム、それが審議会政治です。
 沖縄教科書問題は審議会政治というシステムの終焉を告げているようにしか思えません。

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【国会傍聴記】輿石会長、逆転国会で参院民主党の攻勢を予告 参院代表質問

2007年10月04日 14時00分29秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦
■国会傍聴記 2007年10月4日参議院本会議 福田総理大臣の所信表明に対する各党代表質問 輿石東(民主党)、山崎正昭(自民党)■

 参院でも代表質問が始まりました。
 トップバッターは輿石東さん(こしいしあずま=民主党・山梨選挙区)。輿石さんは民主党参院議員会長で、民主党本部の4役の一人(代表代行)です。
 私は輿石さんの演説を初めて聞きましたが、参議院らしく落ち着いた威厳のある口調でした。そのためか、福田康夫首相も前日の衆院本会議よりも落ち着いてていねいに答弁しました。

【「逆転国会」の意義を強調】

 輿石さんは「私は今ここに、江田参院議長の前で、代表質問ができることを誇らしく感じるとともに、極めて感慨深いものがあります」と切り出し、議員から万雷の拍手を浴びました。

 今は映像の時代ですから、民主党出身の江田五月議長を背にして、民主党参院議員会長が代表質問の口火を切るその姿の歴史的意義を強調したわけです。《写真は中日新聞ウェブサイトから》

 質問内容は当然のことですが、安倍政権と、その後の政治空白への問題から始めました。安倍首相辞任について「私だけでなく国民すべてがあ然としました」とした上で、現在の自民党総裁として福田さんに責任を問い質しました。

 2007年夏以後の日本政治の歴史の特徴のひとつは、民主党が参議院を通して、「国政調査権」を発動することができるようになったということです。
 輿石さんは「国政調査権を積極的に活用し、これまで政府が隠し続けてきた様々な都合の悪いことを明るみに出す」。国会同意人事に関しては「衆院と参院は同じ権限だ」と強調。日本銀行(にっぽんぎんこう=日銀)の総裁人事(来年3月)などに厳しい態度で臨むことを予告しました。

【タブーになりつつある松岡農相自殺事件にふれる】

 輿石さんは松岡利勝元農相の自殺についても質問しました。みなさんも感じているでしょうが、松岡事件について触れるのはタブー視されている感じがあります。そこであえて、松岡事件に触れた輿石さんは立派だと思います。
 「まず政治とカネをめぐる問題についてお伺いします。“なんとか還元水”で物議を醸した松岡農相」が「説明を拒否する松岡大臣を安倍総理がかばい続けた後に戦後初めて現職大臣が自殺するという悲惨な事件が起きてしまいました」と述べました。
 最近では、政治とカネの問題は「領収書は1円から必要か?」という会社員経験のある私からすれば、当たり前の問題に論点がすり替えられてました。しかし、2007年の政治とカネをめぐる象徴的事件である松岡事件をしっかり見すえた上で、自民党も取り組むべきです。

 都市と地方の格差をめぐる問題。
 民主党は参院選マニフェストで「農業の元気で、地域を再生する農業者戸別所得補償法の創設」を掲げました。輿石さんは「大規模化・集約化によって農業の効率化を図ろうとした結果、海外から入ってくる安い農産物に太刀打ちできず、人々は農業に希望を失い農山村の人口は減少し、打ち捨てられた田畑や山林は荒れる一方で、環境上極めて貴重な里山の風景はどんどん失われている」との認識を示し、環境、食料安全保障の観点からも農業者戸別所得補償法の必要性を訴えました。     

 沖縄戦での集団自決に関して「軍の関与があった」との記述が削除された教科書検定問題。「9月29日、党派を超えて抗議するために集まった11万人に上る沖縄県民のこころを総理はどう思うか?」と質問。福田首相は「9月29日の県民大会には多くの人が参加したと承知している。また、仲井真弘太なかいま・ひろかず沖縄県知事の要請を受けて、文部科学省が対応する」と答えました。

 輿石さんは教員出身。「民主党は教育予算の拡充なくして教育再生はあり得ないと考えている」「教育は人なりと言われる通り、教員に優秀な人材を集める必要がある」として、「部活動についても土日の指導には十分な手当が支給されておらず、教員の熱意と犠牲によって支えられているのが実態」などと指摘し、勤務実態の把握につとめるよう要請しました。

 「民主党としてはテロ対策特別措置法に反対の姿勢を明確にしている。国連の直接的な決議のない戦争日本がこれ以上加担することはできない」とし、「(仮に政府が新法を提出したとしても)テロ新法に賛成するつもりがないことを申し上げる。国会承認がないのはシビリアン・コントロールの観点からもとんでもないことだ」と明言しました。
 これに対する答弁で総理は「海上自衛隊の活動は国連安保理決議1776号にある通り、高く評価されている」と述べました。国連安保理決議がインド洋上での活動を継続しようという日本政府の思惑があったということを、日本の首相が自ら証明してしまったことになるのではないでしょうか?ロシアの懸念の通りだったことを浮き彫りにしてしまった格好だと思います。
 この点に関しては9月21日のエントリー(国連安保理決議についての雑感)も参考にしてください。

 輿石質問、最後のシメです。「私の政治信条を申し上げる。民主党は政治とは生活であると申し上げてきた」として

 自民党=「美しい国」「戦後レジーム」
 民主党=「政治とは生活である」「国民の生活が第一」
と訴えて、参院選を戦い、「国民は民主党を支持した」と強調。

 「国税庁の調査で、9年連続で働く人の給与が減っている(略)特に年収200万円以下の人が1,020万人」の大台に乗った現状から、「政治とは愛である」とし、弱肉強食から取り残された人を救うことが政治だと強調しました。

【山崎参院自民党幹事長「和をもって貴しとなす」「話せば分かる」】

 一方、自民党参院幹事長山崎正昭さん(福井選挙区)は、聖徳太子の「和をもって貴しとなす」という言葉で与野党の話し合いの大事さを強調。犬養毅首相の最期の言葉とされる「話せば分かる」(「五・一五事件」)などをひもとき、「厳しい議会運営だが、総理をお支えします」とし、参院執行部も“背水の陣”であることを強調しました。

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News)公明党幹事長「政治資金で公明党が独自法案骨子も」

2007年10月04日 09時59分42秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦
「政治資金 自公が個別に骨子も」(NHKニュース 2007年10月3日 18時11分)

公明党の北側幹事長は、記者会見で、政治資金の透明性を高める具体案について、自民党との協議がまとまらない場合は、自民・公明両党がそれぞれ政治資金規正法の改正案の骨子を示し、野党側に協議を呼びかけることもありうるという考えを示しました。

 政治資金の透明性を高めるための具体策について、自民党は独立した第三者機関を新たに設置して政治団体のすべての支出の領収書などを検査するとし、領収書の公開については、現行の5万円以上を念頭に協議する考えを示しています。

 これについて、公明党の北側幹事長は記者会見で、「第三者機関が公正中立な機関として国民から理解されるのであれば1つの考え方だが、公開は従来どおり5万円以上でよいということにはならない」と述べ、あくまで1円以上のすべての支出を公開の対象にすべきだという考えを示しました。そのうえで、北側氏は「与党の作業チームで具体案をできるだけ詰め、問題点を明らかにする。

 そのうえで、自民党は自民党、公明党は公明党の考えを法案の骨子としてまとめ、野党側に早く示すことが大事だ」と述べ、自民党との協議がまとまらない場合は、両党がそれぞれ政治資金規正法の改正案の骨子を示し、民主党など野党側に協議を呼びかけることもありうるという考えを示しました。また、北側氏は、民主党が独自の法案を参議院に相次いで提出していることについて、「民主党から出される法案については、誠心誠意しっかり検討させてもらいたい。いいものは自民党に働きかけることがあってもよく、柔軟なスタンスで取り組んでいきたい」と述べました。
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