ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

緊急党首会談、話し合い解散含む重大事項の可能性も

2007年10月29日 22時29分55秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 福田康夫自民党総裁(首相)と小沢一郎民主党代表(「次の内閣」ネクスト総理)があす(30日)午前10時、党首会談を開くことになりました。

 何を話し合うか。
 次の2つしか考えられません。

 ①新テロ特措法案の採決と国会会期の延長
 ②話し合い解散

 これに対して、小沢代表は、きょうの守屋証人喚問で、一気に民主党に加勢がついたことから、①に関してさらに強硬姿勢を強め、福田首相からの妥協策に、徹底拒否を貫き通すと思います。

 また新テロ特措法案が成立どころか、衆院通過すら危うい情勢にあることを察知し、福田首相が早ければ年内の②話し合い解散を持ちかける可能性があります。この場合は小沢代表はある程度話し合いに応じ、場合によっては応じる可能性もあると思います。

 あす午前10時からの党首会談。昼前には結果は明らかになるでしょう。
 今国会最大のヤマ場を迎えました。
 
 注目です。
 

2007/10/29付民主党ニュース

  小沢代表、30日に福田首相と党首会談行う 緊急会見で山岡国対委員長
 山岡賢次国会対策委員長は29日夜、緊急記者会見を行い、30日午前10時から小沢一郎代表、福田首相による党首会談を行うことを明らかにした。内容はテロ特措法の問題をはじめとする国益に関する事項について。
 山岡国対委員長は、18時10分に大島自民党国対委員長から党首会談開催の申し入れがあり、小沢代表の意向を伺った結果、「受ける」との意思を確認。30日の党首会談開催で合意した経緯を明らかにした。  開催場所は未定であり、場合によっては官邸で行う方向で、幹事長と国対委員長が会談冒頭陪席し、その後両党首で行う予定であると説明した。
 なお、30日に予定されていた衆議院テロ防止・イラク支援特別委員会における審議は中止となる見込み。

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[追記2007-11-03]
「福田・小沢 党首会談」をめぐるエントリーご紹介

11/3【解説】「特殊」維持の渡辺恒雄、礼儀正しい小沢一郎 党首会談の裏側
11/2民主党、連立の誘いを拒否 役員会1時間で結論
11/2首相、民主に連立要請 渡辺・読売会長の“指示”か?
11/2【第2回党首会談】昨日18分間、総理と“サシ”の中川秀直さんの日記
10/31【国会傍聴記】野党各党が守屋証人から複数の“地雷”引き出す 政局大波乱へ 給油継続断念も
10/30いったい何だったんだ? 福田・小沢党首会談1回目
10/29緊急党首会談、話し合い解散含む重大事項の可能性も

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民主党が守屋武昌・証人から複数の“地雷”引き出す

2007年10月29日 21時11分51秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦
(写真は共同)
【国会傍聴記 2007-10-29 衆院テロ対策特別委 証人喚問】

 防衛省の守屋武昌前事務次官に対する証人喚問が行われました。

 民主党が疑惑の3点セットと位置づけた「JFK=情報隠蔽・不正な油の転用・金銭問題」のうち、K(金銭問題)に関して重要な証言がありました。
 守屋証人の証言が事実ならば、複数の刑事罰に問われる可能性があります。また、自衛隊が使う輸送機(CX)エンジンの納入で日本ミライズへの便宜を図る過程で、複数の防衛庁長官・防衛大臣経験者と会食するなど不適切な関係があったと認めました。

 今回の証人喚問で、民主党、共産党、社民党の野党各党は、複数の“地雷”を引き出すことに成功しました。

【追記 2007-10-31】
 衆院ウェブサイトに当日の会議録全文が掲載されました。迅速な対応です。衆院事務局、グッジョブ!

第168回国会
国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会
第4号(平成19年10月29日(月曜日)


○宮崎元専務(社長)との会合に複数の自民党議員が同席

 民主党からは川内博史さん(鹿児島1区=比例)、松野頼久さん(熊本1区)が質問しました。

 「特定の政治家が宮崎元伸日本ミライズ社長(山田洋行元専務)と守屋氏の会食に同席したことがあるか?」との質問には「あったと思う」と述べましたが、実名は避けました。これは次期輸送機(CX)エンジンの選定に関して、守屋氏と政治家との関係を念頭に置いたものでしょう。

○米国GE社の「表敬訪問」、防衛事務次官室に宮崎氏が同席

 この後、午後2時35分頃、守屋証人は山田洋行がゼネラル・エレクトリック(GE)社の代理店だと「知らなかった」と明言しました。仮にこの発言が嘘ならば、偽証罪として刑事告訴される可能性があります。

 また、GEの「スパークス氏」が来日した際、事務次官室で、宮崎社長同席の下で会ったと述べました。

 この後、共産党の赤嶺政賢さん(沖縄1区=比例)の質問に対して、「政治家」とは複数の防衛庁長官・防衛大臣経験者であることを認めました。

○沖縄で下地議員とゴルフ

 これとは別に、社民党の照屋寛徳さん(沖縄2区)の質問に対して、今年5月に沖縄・下地島で下地幹郎さん(沖縄1区=国民新党と統一会派を組む無所属議員)と浦添市長とゴルフをし、会費は下地衆院議員が払ったと証言しました。

○今後の展開

 今後は
 ①複数の防衛庁長官経験者とはだれか?
 ②その政治家がCXのエンジン選定にかかわったか?
 ③水増し請求など他の不正があるか?

 などが焦点になりそうです。

 ところで、初代防衛大臣久間章生さん(長崎2区)があすから入院することになりました。
 「早くしないと石原裕次郎みたいになっちゃう」と相変わらず意味不明の理由で煙に巻いたようです。野党の追求は「入院ならしょうがない」では済まされないでしょう。
 久間元防衛相が入院へ=解離性大動脈瘤で、30日から (時事通信) - goo ニュース

 衆院、野党が過半数を握る参議院の外交防衛委員会での証人喚問などの追求が続くことになります。東京地検特捜部が世論を注視することもまちがいありません。

 政府・与党が目論む、今国会での給油新法の成立は絶望的になりました。
 政府・与党が今国会を延長せず、予定通り11月10日に閉会させる可能性もあります。

 年末に向けて、政局は大揺れになりそうな証人喚問でした。

 この証人喚問が終わった2時間以上経った午後6時10分ごろ、自民党の大島理森国対委員長は民主党の山岡賢次国対委員長に申し入れました。

 あす(30日)、非公開の党首会談(国会での党首討論はあさってを予定しています)を10時から開くという内容で、小沢代表が受けることを決めたそうです。

【168国会「防衛利権」関連エントリー】
11/15
【守屋喚問】展望・みえてきた今後の動き
11/15【証人喚問のポイント】参院外防委 守屋武昌証人 〈塀の向こうへ行く前に〉
11/8東京地検特捜部、宮崎元伸容疑者を逮捕 防衛利権に捜査のメス
11/2参院外交防衛委、「守屋喚問」「宮崎招致」を決定 与党は審議拒否

10/29
【国会傍聴記】野党各党が守屋証人から複数の“地雷”引き出す 政局大波乱へ 給油継続断念も
10/20防衛省の守屋前次官、軍需産業から接待 特捜部も関心?
10/15民主党、守屋前防衛次官を証人喚問要求へ 参院予算委で
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守屋喚問のポイントはJ・F・K

2007年10月29日 14時12分04秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

(写真は共同)

【守屋喚問のポイント 2007-10-29 衆院・テロ防止特別委員会】

 防衛省の守屋武昌前事務次官への証人喚問は午後2時20分過ぎから民主党による質問が始まります。
 民主党は「疑惑のJ・F・K」と名付けた3本柱で守屋さんを追求します。

 =情報の隠ぺい
 =不正な給油の転用
 =金銭問題

 この証人喚問はもともと、2003年2月のインド洋での海上自衛隊の補給活動での次のデータに誤りがあったことが発端です。

「海自の補給艦「ときわ」→米軍補給艦「ペコス」=20万ガロンを給油」

 これは当時の石破茂防衛庁長官、福田官房長官らが国会や記者会見で発表していました。

 ところが正しくは80万ガロンでした。この油がインド洋沿岸から海続き・陸続きのイラクに運ばれ3月からのイラク戦争に使われたのではないかという疑惑です。

 福田康夫さんは「20万ガロンはイラクに着くまでに消費してしまう」とイラク戦争への転用を否定していましたが、この説明が根底から崩れました。

 当時の防衛庁守屋防衛局長はデータミスを知っていて公表しなかったのか?→ 「J」情報の隠ぺい

 油はイラク戦争に使われたのか?→ 「F」不正な給油の転用です。

 もう一つは、山田洋行の専務から独立して、日本ミライズを設立した宮崎元伸氏からの接待ゴルフなど一連の「K」=金銭疑惑

 防衛省の契約は、1件1000億円クラスのものがあり、他の省庁ではあり得ない巨額です。

 守屋氏は2007年7月、航空自衛隊の次期輸送機(CX)エンジンの調達をめぐり、制服組の部下が「(日本ミライズと)随意契約ではいけないのか」と言われたと証言しています。これは設立間もない日本ミライズと契約しろという意味と思われます。

【守屋喚問後の動き】

 守屋喚問を国民がどう見たかで、今国会(11月10日会期末)の展開は変わります。

 海上自衛隊のインド洋での活動を継続する「給油新法」の可決が難しいと判断した場合、政府・与党は予定通り11月10日に“店じまい”するかもしれません。

 民主党が守屋さんを攻めあぐねたり、守屋喚問が“ガス抜き”になり、個人の資質の問題としてとらえられた場合は、会期を延長し、

  給油新法を衆院で可決→参院に送付し、参院民主党に可決を迫る

 可能性もあります。ただ、この場合でも

   年金流用禁止法案(民主党提出)などが参院で可決
  →衆院に送付し、衆院民主党に可決を迫る
 という構図も同時に生まれますので、政府・与党は厳しい国会運営です。

【関連エントリー】
10/29
橋本首相とサシで会えた二人の役人
10/27自民党、守屋喚問の動画撮影を容認 世論に配慮して一転
10/22防衛省、民主党に報告書提出

【関連サイト】

守屋氏きょう証人喚問 情報隠蔽、不正転用、金銭問題 解明どこまで(産経新聞) - goo ニュース

衆議院インターネット審議中継

  • 守屋武昌(goo wikipedia記事検索)
  • 自衛隊員倫理規程 法令データ提供システム
  • 株式会社山田洋行
    株式会社日本ミライズ


    [追記2007-11-3]「インド洋での給油活動をめぐる国会(衆参)の動き」に関するエントリー
    11/2参院外交防衛委、「守屋喚問」「宮崎招致」を決定 与党は審議拒否
    11/2海自給油量情報ミス、寺岡元1佐が参考人招致を拒否 衆院テロ防止特別委

    10/30補給艦「ときわ」、最後の給油 パキスタン軍「ありがとう」横断幕に隊員感激
    10/29緊急党首会談、話し合い解散含む重大事項の可能性も
    10/29【国会傍聴記】野党各党が守屋証人から複数の“地雷”引き出す 政局大波乱へ 給油継続断念も
    10/27自民党、守屋喚問の動画撮影を容認 世論に配慮して一転
    10/27守屋さん、証人喚問の撮影拒否 TVは音声のみの「紙芝居」の方向
    10/23給油新法、衆院本会議で趣旨説明 民主党「法案取り下げを要求」
    10/22【重要】「20万ガロン」誤り、海自幕僚は4年半前に把握、「石破さんに報告せず」
    10/20防衛省の守屋前次官、軍需産業から接待 特捜部も関心?
    10/19米政府、海自からの給油「使い道の完全な特定は困難」
    10/18海自、11月2日撤収 テロ特・期限切れで政府決定 インド洋から3週間かけて帰国
    10/18民主党、イラク特措法廃止案をきょう(18日)、参院に提出
    10/17政府、インド洋の新テロ対策法案を閣議決定
    10/5国会同意人事とテロ新法 自民党国対が民主党国対に「談合」もちかけ
    10/1【国会傍聴記】国会再開、福田首相が所信表明
    10/1民主党、インド洋の海自給油活動で官房長官に資料開示を申し入れ

    9/10【重要】安倍首相、インド洋での給油活動「継続できなければ職を賭す」
    9/5長妻年金相が誕生 民主党NC閣僚決定 防衛相は浅尾さん
    9/10第167回臨時国会は4日間で閉幕[追記終わり]

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    橋本首相とサシで会えた二人の役人 大蔵・杉井、防衛・守屋両審議官

    2007年10月29日 08時19分34秒 | 人物

     私が防衛庁の守屋武昌という人物を知ったのは、政治部の総理番記者をしていた10年前のことです。

     当時、首相官邸内の総理執務室の前で、橋本龍太郎総理への客人に声をかけ、名刺をもらい、「総理とはどのようなお話を?」と聞いていました。

     いろいろと気付いたことがありますが、不思議だったのは、霞が関の局長は、大臣や事務次官が同席せず、総理に直接会っていることです。

     局長一人ということは珍しく、随行をあわせて、5人ほどのグループ。

     その歩く順は、どの省庁でも見事なまでに年次順にそろっています。
     局長が直に総理に法案の説明をし、総理から直接指示を受けます。

     当時、大蔵省主計局長だった小村武さんが1日に3回も一人でやってきたことがあります。橋本総理から何度も“ダメ出し”を食らったようです。

     まあ、何の法案だったかはよく分かりません。総理番記者は伝令に過ぎませんから。大蔵省内にある記者クラブ(財政研究会=財研クラブ)詰め記者にケータイで連絡したら、それで仕事終了。記事を書くのは経済部の仕事です。

     そうやって1年間、毎日のように朝から晩まで総理の番をしていました。

     伝令に過ぎない仕事の中でもいろいろなことに気付きました。

     霞が関で2人だけ、局長より格下の官房審議官でありながら、橋本総理と“サシ”で何度も会っている人物を見付けました。

     一人は大蔵省の官房審議官だった杉井孝さん。

     そして、もう一人が防衛庁(内閣官房兼務)の官房審議官だった守屋武昌さんだったのです。

     二人ともどちらかというとモサッとした感じで、私にはあまり優秀そうには見えませんでした。ただ、周囲の人に言わせると「切れる人物」で、特に杉井さんは大蔵事務次官就任が確実な人だとのことでした。

     1998年、日本銀行や大蔵省の職員への接待汚職事件が起きました。いわゆる“ノーパンしゃぶしゃぶ事件”です。

     これは日銀の松下康夫福井俊彦正副総裁、三塚博大蔵大臣、小村武大蔵事務次官らが職を追われるという大スキャンダルになりました。

     自らも接待を受けていた杉井審議官は大蔵省そのものを追放され、今は弁護士をしているそうです。

     守屋さんが防衛事務次官になったのは2003年。新聞記事を読んだ私は、「やはり守屋さんは優秀な人だったんだなあ」と思いました。しばらくすると、週刊誌に守屋さんのことを“防衛庁の天皇”と評する記事が載りました。そのときも「防衛“省”への昇格のためにはある程度強引なプロパーが必要だろう」と思いました。

     地に墜ちた杉井さんと守屋さん。二人の“敏腕官僚”をみるに付け、官僚をつけあがらせた1990年代の異常さを感じます。

     以上です。

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