ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

総選挙)自民選対委員長、民主代表が地方行脚へ 総選挙にらむ

2007年10月09日 19時29分26秒 | 第45回衆院選(2009年8月)政権交代
[民主党の選挙対策]

 第45回衆院総選挙に向け、民主党小沢一郎代表は10月22日ごろから、地方行脚を始める予定です。
 民主党公認(予定)候補者の擁立が正式決定していない約100の小選挙区のうち、候補者が内定した選挙区を重点に回る方針だ。訪問に合わせて候補者を正式発表する“擁立行脚”で、地方重視の姿勢をアピールし、選挙態勢づくりを進める構え。

 小沢さんは「47都道府県の(県庁所在地の)1区は全部取る」との意気込みを示しているようです。

 ①「農業者戸別所得補償法案」を農村の有権者に浸透させる
 ②47個ある「1区」のうち、30勝(17敗)以上する

 下町の太陽は民主党がこの①と②を達成させた時点で、政権交代が確実になると見込んでいます。この「小沢戦術」に関する解説はいずれ、ご説明しましょう。 

 小沢さんは7月の参院選では事前に全国行脚し、地方での集票に寄与、民主党大勝の原動力となりました。

 「民主党から選挙に出たいが、どうすればいいか」。参院選直後から民主党本部には、こんな立候補希望者からの電話が相次ぎ、多い日は1日に約30本に及んだこともあるそうです。

[自民党の選挙対策]

 自民党古賀誠選対委員長は古賀さんは、12月末までに47都道府県連をすべて回り、意見交換を通じて選挙区の情勢を把握する考えです。
 10月9日午後、千葉市を訪れ、次期衆院選の態勢再構築に向けた全国行脚の第一弾として、党千葉県連幹事長らから参院選の敗因や党本部への要望を聞き取りました。
 千葉県連は医師不足、農家への対策、地方交付税改革などで要望しました。古賀委員長はメモを取りながら「衆院選にどう立ち向かったらいいか参考にしたい」と応じたそうです。古賀さんは「それぞれの県連で事情が違うから、個々の問題点を聞きたい」と述べました。 

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【国会傍聴記】長妻さん、年金で具体的答弁引き出す 衆院予算委員会

2007年10月09日 17時06分44秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 衆院予算委員会野党の先陣を切ったのは民主党長妻昭さん(東京7区比例復活)です。10月3日の本会議から中5日の登板です。
 民主党役員としては長妻さんは政調会長代理ですが、直嶋正行政調会長は参院議員ですから、長妻さんは衆院民主党の政策責任者ということになります。民主党「次の内閣」のネクスト年金担当大臣も兼ねています。 

■国会傍聴記 2007年10月9日衆議院予算委員会(第一委員室)総括質疑②■
(質問者のうち長妻昭さん部分)

【舛添厚労相、長妻議員との新しい約束は「1ヵ月後」】

 さて、きょうも長妻質問は立て板に水、怒濤の質問攻めでしたので一問一答形式でお伝えしましょう。

(長妻=長妻議員、舛添=舛添厚労相、増田=増田総務相、首相=福田総理)

長妻「消えた年金は問題だが、それ以前の問題を指摘したい。既に国民年金・厚生年金の受給資格が発生したのに、なぜか(受給)申請していない人が多いようだが。計算して欲しい」

舛添「私もなんとか(その数字を)出せないかと思ったが、今のシステムでは不可能だ」

長妻「がっかりだ」

(「申請しろよ!」「申請しない人が悪い」とのヤジあり)

長妻「そのヤジが悪しき申請主義の象徴だ。社保庁は数字をいつまでに出せるのか?」

舛添「“レガシー・システム”の(プログラムの)修正で、1ヶ月後には出せると思う

長妻「政権交代すれば、民主党は年金通帳を出す。それまで国民のみなさんには自分で社会保険事務所に照会して欲しい」
「次に(総務省が担当している年金問題の検証に関する)第三者委員会について。一番大切なのは(消えた年金記録の)5000万件のうち、(国・自治体にある)紙台帳のデータを既に統合されたオンライン記録にどれだけ入力したか(を把握すること)だ。そうすれば、入力漏れ1件あたりの平均金額を計算できる。総理、サンプル調査をやると約束してください」

首相「いずれにしても、年金の問題は関係省庁の対応のまずさがあった。根源は(長妻)議員の言う通り、国民視点の欠如にあった。できる限りやっていきたい」

長妻「自治体などにある紙台帳が8億4000万件あるとされているが事実か?」

舛添「マイクロフィルムも含めて、現在8億4000万件だ。(突き合わせ作業は)10月にテストラン(試運転)、12月からコンピュータを動かしてみる。(そのプロセスは)確実に公表しながらやっていくので、若干時間をいただきたい」

【増田総務相、「第三者委員会の委員、事務局増員」を明言】

長妻「(都道府県ごとに置かれている領収書などから納付記録を認定する)第三者委員会では救済の申請者1万6000人のうち、238人しか救済されていない。被害者の数はもっと多いはずで、見積もりが甘い。年金記録確認地方第三者委員会の人数を増やすべきだ

増田「体制を増強しなければいけないと考えている。第三者委員会の委員、事務局員を増員する

長妻「年金問題は国家の危機。国を信用しない国民がいる国は不幸な国だ。(年金救済の)実行部隊を全省庁、民間から集めて、国家的なプロジェクトとして取り組むべきだと思うが、総理の意気込みを聞きたい」

福田「『国家の危機だ』とおっしゃったが、そうだと思う。私が中心になって、この問題の解決にあたっていくことを今日の閣議(閣僚懇談会)で決めたところだ」(与党席から拍手あり)

【長妻さん「年金流用は特別会計膨張につながる」】

※ここからは長妻議員の独壇場になりましたので、改行を入れながらお伝えします。

長妻
 
年金保険料の流用を禁止すべきだ。(年金流用による広報活動などを認めると)年金PRセンターなどといった建物をたてて、そこに業務委託することになりかねない。天下り先の確保にもつながる。
 (年金制度発足当初から広報や事務などは税金でまかなっていたが、年金流用のしくみは)橋本内閣のとき、行政改革で税金を節約するために変わったルールなので元に戻せばいいだけだ。
 保険料は特別会計に組み込まれており、省庁は(税収と同じく)自主財源だと捉えている(=錯覚している)。
 特別会計からの保険料流用総額の約半分にあたる1000億円以上コンピューター(の購入など)に使われており、社保庁の役人がその(コンピュータ)会社に天下りしている。さらにその会社の出版物を特会で買い上げている。
 コンピュータだけですら、このように(特会からの支出が)膨張してしまうのだから、教育やPRに(流用を)広げたら、さらに膨張してしまうのではないか?福田総理は(野党に対して)『話し合い』を言うのなら、我々の主張を丸飲みしたらどうか?」

 福田首相は「特会は年金だけでない。しっかりやっていくことが必要だ」と述べました。

 この後、会計検査院の不当事項に対する未返金の問題と天下りの問題を取り上げました。

↓衆議院の審議のもようはこちらをクリック↓

      
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News)消えた年金5千万件、保険料納付総額は2兆円超 社保庁試算

2007年10月09日 17時05分42秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

年金記録漏れ5千万件、保険料納付は2兆超す試算(読売新聞) - goo ニュース

 社会保険庁は9日、5000万件に上る該当者不明の年金記録漏れ問題で、保険料の納付総額について「機械的に計算すれば2兆3500億円になる」との試算を明らかにした。

 150件の年金記録をサンプル調査した結果、1件当たりの保険料が平均約4万7213円になることから算出した。ただ、社保庁は「サンプル調査は無作為抽出ではない」として、統計学的に実態を正確に反映したものではない、と説明している。

 社保庁が年金給付に結び付いていない保険料の納付額を示したのは初めて。9日に開かれた民主党の厚生労働・総務部門合同会議で社保庁が提示した。

 社保庁は約5000万件の記録のうち、氏名の記載がないなど欠陥があった約524万件から1000件をサンプル調査。この中で東京社会保険事務局分の150件について、民主党の求めで保険料納付額を明らかにした。

このエントリー記事の本文は以上です。

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【国会傍聴記】衆院予算委スタート、自民党・公明党政調会長が質問

2007年10月09日 15時48分05秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 衆院予算委員会がスタート!(写真は共同)
 まずは全閣僚がそろって基本的質疑。本会議場から、50座席の第一委員室に舞台が移り、本格論戦の火ぶたが切って落とされました。

 今日の傍聴記はエントリーを2つに割ります。
 1つは谷垣禎一自民党)、斉藤鉄夫公明党)の与党政調会長の総論。それに関連した議員の各論。
 与党の質問はあまり面白くないのですが、参院選後&福田政権発足後最初の予算委員会です。
 政権与党の政調会長がトップバッターですから、政府・与党が今国会にのぞむ姿勢と争点が見えてくるはずですので、詳述します。

 2つめのエントリーはお待ちかねの長妻質問に絞りました(連日、多数のアクセス、コメントありがとうございます)。(【国会傍聴記】長妻さん、年金で具体的答弁引き出す 衆院予算委員会

■国会傍聴記 2007年10月9日衆議院予算委員会(第一委員室)総括質疑①■
(質問者自民党=谷垣禎一政調会長中谷元、中山成彬、細田博之 公明党=斉藤鉄夫政調会長、上田勇、赤羽一嘉)

【自民政調会長、「抱きつき戦術」強調」

 谷垣禎一さん(京都5区)は参院選後の国会運営の構図を、
「政府・与党の政策 は、衆院では通るけど、参院では通らない。逆に
 野党の皆さんの政策は、参院では通るけど、衆院では通らない。
 こんな風になりますと、現状は一歩も動かない」という表現しました。

「(自民党は)誠実に野党のみなさんと対話する。それを積み重ねていく」と福田政権の“抱きつき戦術(クリンチ戦術)”をうかがわせました。

 一方で、民主党の参院選マニフェストをフリップにまとめて、「15・3兆円の財源が必要だ」として、財源の手当てを自民党がターゲットにしていることを示唆するなど、対決姿勢も明確にしました
ちなみに谷垣さんはこのとき、フリップの向きを間違え、1分ほどTV画面からフリップの内容が見えない状態でした。総裁選に出馬した谷垣さんですが、大衆政治家への変身は難しいようですね)。

自民党質疑から見えてきた最大の争点はやはり「インド洋」】

 谷垣政調会長が取り上げた議題は、このほか、中央と地方の格差(地域再生)、年金問題、テロ対策特別措置法の問題など。
 テロ特に関しては、関連質問の中谷さんにお願いするとバトンを渡しました。

 自民党の中谷元さん(高知2区)は防衛大卒の退役自衛官で、衆院議員になってからは防衛庁長官も務めました。石破茂防衛相と並ぶ自民党国防族の中堅です。

 ○福田首相、「インド洋での給油活動は日本のシーレーン防衛」

 テロ特措法の延長(新法制定)に関して、福田首相はこのブログの10月1日付のエントリーの小見出し【インド洋給油活動継続は「シーレーン」防衛の】部分で指摘した通り、海上自衛隊のインド洋での活動は日本のシーレーン(海上輸送路)防衛であるという認識を示しました。
 福田さんは「(インド洋と日本を結ぶ)シーレーン(海上輸送路)は日本の生命線で、テログループが暗躍すれば安心して航海できない」と述べ、安倍前政権の「国際公約」論から、日本のエネルギー確保のためのシーレーン防衛という福田内閣としての新しいパラダイムを予算委でも提示しました。

 ○石破防衛相、「20万ガロン」を謝罪 「作業の単純ミス」強調

 中谷さんは石破防衛相とのかけあいで自衛隊のインド洋上での給油活動継続の必要性について強調しました。

 ここでも民主党の「今後の作戦計画」を想定した上での予防線がありました。
 まず次の記事に目を通してください。
9月21日の共同通信配信記事
 イラク戦争直前の03年2月、インド洋で海上自衛隊が米空母「キティホーク」に間接給油した問題で、防衛省は21日、約20万ガロンとしていた米補給艦への給油量を訂正し、実際は約4倍の約80万ガロンだったと発表した。
 20万ガロンは、政府が国会審議で「給油がテロ対策特措法の目的の範囲内」と説明するために引用されており、防衛省は陳謝した。


 20万ガロンならば、インド洋→イラクの途上で燃料として消費してしますのですが、80万ガロンだとイラクでの活動の時点でも残っていた可能性があります。この数字は当時の福田官房長官が明らかにした数字です。
 これは朝日新聞のスクープで明らかになりました。政府の故意かどうかは別として、政府は野党やマスコミ、そして国民に虚偽の説明をしていたことになります。

 当然、民主党は今後、この数字を攻めるでしょう。

 

 これに先手を打つ形で、石破防衛相は、「給油量訂正は入力ミス」だと陳謝し、「関係者を処分する」考えを表明しました。

【福田首相、「自民党に派閥はない」】

 中山成彬さん(宮崎1区)は「先日の
清和政策研究会(清和研の会合に8年ぶりに小泉元首相が出席した」と国会では異例の派閥の話から切り出しました。福田首相も「派閥は自民党にはない。政策研究グループだ」と答弁、中山さんも「マスコミも派閥という言い方を使わないようお願いしたい」と応じました。

 中山さんは「経団連の御手洗冨士夫会長と話していたら、あそこ(キヤノン)は大分に工場があるけど、『道路があれば宮崎にも作るのに』と言われた」として、九州の道路建設が必要だと指摘。「お金の使い方がまちがっている」と道路特定財源の問題にふれました。ひたすら地元の話をした中山質問はまさに戦後レジーム、あきれたのヒトコトでした。

 農業問題に関して中山さんは農業者の「戸別所得補償制度は前時代的。グランドデザインを示せ」と民主党案にかみつきました。
 教育予算の減少にも苦言を呈しました。

 午後は細田博之さん(島根1区)から。この人も清和研(町村派)です。
政治とカネの問題では「かつての角福戦争など(略)これまでの不祥事は反省する」としました。
 また、中央と地方の格差の問題では「島根をはじめとする“貧乏県”の実態に配慮すべきだ」と切り出し、増田寛也総務相に9月末に島根を訪れた際の感想や地方財政についてたずねました。
 このほか、原子力問題など、通産省(出身官庁)と島根県(父親から次いだ選挙区)という2つの基盤の話を延々としていました。

【公明党は「立党の精神」に立ち返って医療、年金中心に質問】

 続いて公明党政調会長斉藤鉄夫さん(比例中国)が質問しました。まずは「立党の精神」を紹介。連立与党・公明党が自らの存在意義、アイデンティティに悩んでいる姿が垣間見えました。

 公明党の立党の精神について調べたら、太田代表が自身のウェブサイトでこう述べています。

「公明党は真に大衆の心に共鳴し、庶民の汗と涙の分かる政党を渇望する民衆の声に応えて誕生した政党です。私は、今こそ、この立党の精神、原点に立ち返り、新出発する時であると強く思います」

 斉藤さんは産科医・小児科医不足高齢者の医療費負担増国民年金の低年金・無年金者の問題を取り上げます。公明党らしい質問で「立党の精神」に立ち戻った気がします。参院選の獲得議席は9(繰り上げ除く)とせっぱ詰まった公明党。

 舛添厚労相が「与党プロジェクトチームでの議論をお願いしたい」と述べるなど、閣僚は連立与党パートナー=公明党に配慮した発言が見受けられました。

 公明党に配慮し、民主党は配慮しながら攻める。福田内閣がベテランで固められているのも納得です。

 公明党からはほかに小選挙区当選者2人が質問に立ちました。
 上田勇さん(神奈川6区)は安全保障の問題として、拉致問題など北朝鮮問題から話を始めました。そして中小企業対策については福田首相から「大企業に比べて、復調が遅れている」との認識を引き出しました。
 「保育所を出た子どもが毎年50万人、小学校に上がっている」と指摘したうえで、小学校での学童保育の定員はその半数以下で、「施設も劣悪」と善処を求めました。

 赤羽一嘉さん(兵庫2区)は「教育費用の負担軽減こそ政治が取り組む最重要課題だ」として、奨学金制度の維持・拡充を要求。来年度予算での奨学金について質問するという生活に密着した具体的な質問で「概算要求する」(渡海文科相)との答弁を引き出します。さらに赤羽さんは「入学金も切実な問題」、「国民生活金融公庫から融資を受けられない人もいる。その人が民間から融資を受けられるはずがない」とたたみかけました。
 
まさに庶民の身方味方・公明党だなあ、と思うとともに、これだけ切迫した質問が予算委員会初日に出てくる世相に日本の危機を感じました。このとき、自民党議員席からときどき笑い声が出るのが不愉快でした。

 阪神大震災の体験を踏まえて、赤羽さんは「被災者生活再建支援法」も取り上げ見直しの必要性を指摘しました。
 ちなみにこの法律に関しては、民主党がすでに参院にの法律の改正案を民主党が参院に提出しています。
参考エントリー(民主党、能登・中越沖地震含めた被災者支援法案を参院に提出
 最後に「一刻も早い訪中」
を福田首相に要望して、公明党の質問は終わりました。

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