ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【国会傍聴記】2大政党が激突 民主菅さんら4人、政府徹底追求 対案路線は封印か

2007年10月10日 22時30分38秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦
 さあ、今日は衆院第一委員室の傍聴席に脚を運んできましたよ。TV画面に映らない質問席後ろの議員たちの動きもしっかりウォッチしました!
 きょうは民主党のエース級4人が続々登場。朝から自民vs民主の2大政党ががっぷり四つに組んだ大激戦で、「戦前の帝国議会のように2大政党制が復活したんだなあ」、と感慨に耽りました。
 衆院予算委の筆頭理事は岡田克也さん。各議員とも民主党案の紹介は控えめで、政府の姿勢を追求する、いい意味で野党らしい姿勢で臨んだ印象を持ちました。

■国会傍聴記 2007年10月10日(水)衆・予算委員会 基本的質疑2日目■

【民主党4人衆 代表経験者3人】

 民主党は菅直人さん(東京18区)、馬淵澄夫さん(奈良1区)、前原誠司さん(京都2区)、岡田克也(三重3区)と代表経験者3人を含むエース級4人が登板しました。テーマはインド洋での給油活動、入札制と天下り、政治とカネが大きなテーマでした。4議員間の連携はうまく出来ていました。

【前原さん、無駄遣い指摘 国交省の“競争入札”落札率は99%!】

 前原さんが質問に立つと聞いて、外交・防衛分野、今ならテロ特措法について時間を割くのかと思っていたら、税金のむだ遣い(「公共工事の入札・天下り問題」と「政令市をめぐる県庁と県議会のリストラ」)に集中しました。
 巷で言われている、小沢代表との安全保障に関する見解の違いが露呈することを恐れたのかもしれません。テロ特は菅さん(午前)、岡田さん(午後)が手分けして、外相と防衛相に猛攻撃をかけました。

 さて、前原質問。まずは「熊本県の川辺川ダムに3回行った。いまだにダムは出来ていないが、当初予算の350億円が、ここまでの総事業費が2043億円と6倍にふくれあがっている。地元・相良村の村長さんも『ダムはいらない』と言っている」と追求、冬柴国交相は「やはり作りたい」と答えました。
 前原さんは「人吉市の旅館に泊まったが、洪水の痕が残っている。ご主人に聞くと、『ダムができたことで、水の流れが変わって洪水が多くなった』と言っている」。冬柴国交相は「学識経験者が『できる』と言っている」。

 ここで予算委はお昼休みになりました。

  学識経験者・・・またしても第三者です。今国会の論戦で何度目の「第三者」でしょうか。政治団体の収支報告書は「第三者機関のチェックを受ける」(首相)、沖縄戦の集団自決では「教科書検定の審査会」(渡海文科相)、年金も地方制度もなにもかも第三者ばかり。そのうち第三者機関の整理・統合を審議する「第四者機関」でもできるんじゃないでしょうか。

 第一委員室をみて、きづいたことを書きます。

 50人の委員席の後ろに議員用の傍聴席が1列あります。

 自民党は小泉チルドレンたちが、やはり1回生の国対副委員長の指図で、席を外している委員の席に座り、傍聴していました。土屋正忠さん、小野次郎さん、猪口邦子さん、佐藤ゆかりさん、杉村泰蔵さん、葉梨康弘さんらです。

 一方、野党側の傍聴席には、民主党の羽田元首相や直嶋政調会長(参院)らが見守っていて緊張感がありました。

 与野党問わず、居眠りしている議員はいませんでした。

 国会珍プレーもありました。前原さんの質問で、冬柴国交相が答弁に行き詰まってしまったとき、国交省の役人が大臣に助け船の1枚紙を渡そうとすると、前原さんは「ダメだよ事務局!」制しました。
 しばらくすると、副大臣(与党の国会議員)が役人から紙を受け取り、冬柴さんに“バトンタッチ”。一瞬手で制そうとした前原さんに与党議員から「事務局ではございません」のヒトコト。前原さんも苦笑いするしかありませんでした。珍プレーというより好プレーでしょうか。議論の場にはこういうことも必要だと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【国会傍聴記】「ニッポンはおカネがあるのに」亀井久興・国民新党幹事長

2007年10月10日 09時08分10秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

(投稿日時 2007-12-03 14:45)

 さあ、これは2ヶ月前のだいぶ古い傍聴メモから起こしました。
 当日は国会議事堂で傍聴していたのですが、時間の関係から、帰りにラジオ中継で聞いていた部分です。
 年末はいつも慌ただしいのですが、今年は例年以上。自分も国会も社会も世界も。
 それがなぜかと考えると、やはり社会の血液であるマネーの配置がおかしい。

 そのことを国民新党幹事長の亀井久興さん(島根2区比例)が質問の形でとつとつと語りました。
 国民新党の基本姿勢は「郵政民営化凍結」です。下町の太陽は10/1付エントリをはじめ「郵政民営化はすなわち金融改革だ」との姿勢をとっていますが、亀井質問もこれを裏付けてくれる内容です。

 衆院事務局が作成した会議録を取捨選択して、お伝えします。

【国会傍聴記 2007-10-10 衆院予算委員会・基本的質疑】

亀井(久)委員 

(前略)

 ですから、私は、やはり需要をふやしていく、そしてGDPを大きくして、一人当たり国民所得をふやし、可処分所得をふやして、その個人消費の旺盛な力によって景気回復をさせるというのが本筋だというように思うんですね。

 今、可処分所得が、この六年間で十八兆円、毎年三兆ずつ減っているんです。その分皆さんは貯金を取り崩すしかしようがないから、個人貯蓄が十八兆、それとちょうど見合いの数字だけ減っているんですね。かつては、日本というのは貯蓄大国と言われた。その日本が、今や貯蓄率は一・八%まで落ちてしまった。貯蓄が全くゼロという、そういう世帯が全世帯のもう四分の一ということですね。

 こういう中で自民党政治がなぜ続いていったかといえば、やはり私は、一億総中流社会をつくったからだと思うんですよ。私はよく円盤形社会と言っておりますけれども、あなたはお金持ち、あなたは貧乏ですかということを聞くと、そんな金持ちじゃないよ、だけれども、そんなひどい貧乏じゃないな、まあ、中の下ぐらいですかな、まあ、ほどほどのところですかな、多くの人がそういう返答をされる。そういう社会というのを自由主義、市場経済を通じてつくったということが、日本の保守政治の誇るべきことだったと私は思いますね。その中間所得層が今どんどんどんどん下に落ちていくという危機感を持っているわけですね。

 それで、とにかく一年間額に汗して働いても年収が二百万にいかないという、そういう人が、もう一九・何%、二〇%近くある。これは私は、日本の保守政治がせっかくつくり上げていったものをこの六年間で完全にそれを崩し始めている、そういうことだと思います

 私はやはり、一億総中流社会というのはその中間層が大宗でございますから、その人たちが可処分所得をふやして思い切ってお金を使える、そういう状況をつくり出さない限り、今の経済の立て直しというのは不可能だというように思います。

 それから、財政のことについていいましても、財政再建、財政再建と言われるけれども、今、国が抱えております借金、これは八百三十六兆(円)と言われておりますけれども、しかし、国が持っている金融資産というのは五百八十兆(円)あるわけですから、その金融資産というものを引いてみれば二百五十六兆ですよ、純債務というものは。

 これは、OECDの国と比べてみても、GDPの五〇%ぐらいですから、そんなにびっくりするようなことではない。しかも、外国から金を借りているんじゃなくて、国内でそれをきちっと消化しているわけで個人金融資産はまだ千六百兆(円)あるわけですからね。

 だから、外国の私の友人等に言わせますと「日本はどうなっているの、自分でお金を持っているのに、そのお金を自国の経済のために使わないでアメリカの国債を買ってみたり外貨準備でドルを支えてみたり、ちょっとおかしいんじゃない」、「もうちょっと国内でその個人金融資産がうまく回るような、そういう政策をとるべきじゃない」のということを言われるわけですね。私は、まさにそのとおりだと思うんです。

 ですから、経済財政運営の基本が間違ってきたのではないか。いざなぎ景気を超える景気拡大が続いているといっても、あれは計算上のトリックみたいなもので、デフレのときに実質経済でもって表示をしたらばプラスになるのは当たり前なんですよ。それは、名目成長率からGDPデフレーターを引くわけですから、マイナスからマイナスでプラスになっちゃう。プラス八・五%の実質成長だなんて、そんなばかなことないですよね。

 ですから、もしそうだったら、何で消費税の増税だとか、増税の議論が出てくるのか。あのイザナギ景気のときには、二・五倍日本の経済規模が大きくなり、毎年減税をやったのに二・四倍税収がふえているんです。そういう流れをつくり出すということを真剣になってお考えをいただいて、思い切った政策転換をやっていただきたい、そのことを私の意見として申し上げまして、私の時間が参りましたので、終わります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党の鈴木恒夫さん(神奈川7区)、今期で引退

2007年10月10日 06時45分43秒 | 第45回衆院選(2009年8月)政権交代
 自民党鈴木恒夫さんが今期限りでの引退を表明しました。毎日新聞政治部記者から衆院議員に転身。新自由クラブと神奈川選出の縁だと思いますが、河野洋平衆院議長の側近で、第166通常国会では議長不信任案に対して自民党を代表して反対討論に立ちました。
 長年、環境問題に取り組み、当選6回ですが、入閣を前に勇退を決めました。
 神奈川7区では民主党が元衆院議員で大学教授の首藤信彦(すとう・のぶひこ)さんを既に公認(内定)しています。

自民・鈴木恒夫氏、今期で引退へ (時事通信) - goo ニュース

自民・鈴木恒夫氏、今期で引退へ

2007年10月10日 時事通信

 自民党の鈴木恒夫衆院議員(66)=神奈川7区=は9日、伊吹文明幹事長に対し、次期衆院選には出馬せず、今期限りで引退する意向を伝えた。鈴木氏は取材に対し、その理由について「後進に道を譲ろうと考えた」と語った。神奈川7区の後継候補としては同じ麻生派の鈴木馨祐氏(比例代表南関東ブロック)が有力視されている。

↓衆議院の審議のもようはこちらをクリック↓

      
↓参議院の審議のもようはこちらをクリック↓


↓クリックで「下町の太陽」を応援してください!
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする