【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「どうぞ厳しい声をください。すべて受け止めます」野田佳彦

2012年11月03日 10時05分37秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗

 細川護煕さんは『内訟録』の最後のインタビューで、日本経済新聞の伊集院敦記者の「2大政党化で影の内閣が普通になり、以前に比べて専門知識を持つ若手議員も多くなってきました」との問いかけに、「しかし、登用する人材は専門家である必要はまったくない。つまるところは肚がすわっているどうかだけなんですよ。やることは断固としてやるという私心のない人が、5、6人いたら、大抵のことはできる。必ずしも300の小選挙区から上がってきた人の中から選ぶ必要もない」と語っています。

 野田佳彦さんは、松下政経塾1期生であり、日本新党公募新人の第1次公認(他に河村たかしさん、牧野聖修さん、石井紘本井さん)の1人です(他に小池百合子さんが先に参議院議員に当選)。民主党のなかには、驚くべきことに、「野田さんは駅前演説ばかりしていて、(野党期は「次の内閣」、与党期は「政策調査会」の)朝の部門会議に出てきていなかったから総理大臣がうまくできない」と平然と言う議員がありますが、そんなものは、自分で本を読んだり、衆議院調査室・国立国会図書館から資料をもらったり、役所からレクチャーをうけて自分で勉強すればいいだけの話です。

 きょうの新聞各紙には野田さんの肚がすわった全面広告がありました。

  

 政策進捗報告会ということで、日程が重なっているので、全部野田さんが出るわけではないでしょうが、説明し、意見を聞くことになりました。ちなみに、どこにもマニフェストという言葉はありませんが、野田さんは2003年にしろ、2009年にしろ、マニフェスト作成時には、党内非主流派でしたから、やむを得ないでしょう。「個別に連絡がない」と怒る人もいるかもしれませんが、若い組織ですから私たちが育てていかないといけないし、それだからこそできる「事業仕分け」でもあります。すべての民主党員・サポーターが参加し、忌憚のない意見をぶつけましょう。

 いずれにしろ、選挙はもうすぐです。次の闘いこそ、私たち党員・サポーターの志と足腰が試されることになります。冬来たりなば春遠からじ。

民主党政策進捗報告会のお知らせ

民主党ホームページから引用はじめ]

○開催日程

<北海道> 11月11日(日)13:00~ TKP札幌ビジネスセンター赤れんが前
<宮城> 11月17日(土)15:00~ KKRホテル仙台
<埼玉> 11月10日(土)13:30~ ※会場調整中
<神奈川> 11月18日(日)13:00~ 横浜市教育会館
<東京> 11月11日(日)13:00~ ベルサール汐留
<石川> 11月18日(日)13:00~ ホテル日航金沢
<愛知> 11月11日(日)13:00~ TKP名古屋駅前カンファレンスセンター
<大阪> 11月10日(土)13:00~ 新梅田研修センター
<広島> 11月18日(日)13:00~ 広島県立広島産業会館
<香川> 11月17日(土)13:00~ ホテルパールガーデン
<福岡> 11月10日(土)13:00~ 福岡ファッションビル

 

○プログラム

政策進捗報告/20分
質疑応答/120分
※当日の進行状況により時間が変動する場合がございます

○申し込み締切

11月10日(土)、11日(日) 開催 ⇒ 11月 6日(火) 18:00締切
11月17日(土)、18日(日) 開催 ⇒ 11月13日(火) 18:00締切

○申し込み受付について(一般参加)

    • お申し込みは「本申し込み受付フォーム」及び「FAX」からの登録のみ有効となります。
    • 一度に複数人数をお申し込みすることはできません。
      お一人様ずつお申し込みをお願い致します。
    • 開催日、地域、時間は変更となる場合がございます。
    • お申し込み人数が定員に達した場合は抽選で当選者を選出させていただきます。
    • 当選者にはご登録いただいたメールアドレスに参加証を送付いたします。
      ※ご当選されたご本人様のみ入場可能となります
    • ご当選された後の参加会場の変更はできません。
    • 一般参加の方が取材受付よりお申し込みされた場合、ご参加いただくことはできません。
    • 当日は各会場にて手話での通訳を実施いたします。
    • 手話通訳が必要な方は、当日受付時にお申し出ください。

 

      【FAXからお申し込みの場合】 FAX番号:03-6862-5491

 

      参加を希望する「開催場所」、「氏名」、「性別」、「年齢」、「職業」、「住所」、「連絡先(受信可能なFAX番号/電話番号)」、関心のある政策テーマを明記してください。ご登録いただいたFAX番号に参加証を送信いたします。

 

    ※FAXでお申し込みの場合は落選の通知は行いませんのでご了承ください。

 

○「民主党 政策進捗報告会」 お問い合わせ事務局

電話番号/0570-043-333
開設期間/11月2日(金)~11月18日(日)
受付時間/10時~18時

※お問い合わせ事務局では、本政策進捗報告会についてのご質問以外は、お答えすることができませんのでご了承ください。

(報道機関の取材申し込みについても、本サイトからのお申し込みとなります。)

[引用おわり]

 [お知らせ1]

 会員制ブログで今後の政治日程とそのポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。取材資金にもなりますので、ぜひご協力下さい。

[お知らせ2]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けました。他メディアにはない国会審議を中心とした政治の流れをこのブログで伝えていきます。質素倹約に努めていますが、交通費などがかかります。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

[お知らせおわり]
http://www.kantei.go.jp/jp/fukusouri/press/ http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65 


2月6日の脇雅史さんの参議院の声、ダイレクトに 「内閣官房と内閣府」見直しを閣議決定

2012年11月03日 09時02分06秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]参議院自民党の脇雅史さん。

 ことしの国会は、戦後2度目の「4次補正」から始まりましたが、その2012年2月6日(月)の参議院予算委員会での自民党と民主党の質疑がダイレクトに国政に反映されています。

 政府は、11月2日(金)の閣議で、「内閣官房と内閣府」の関係について整理することを決めました。これは2月6日(月)に参議院自民党の脇雅史さんがトップバッターとして、質問した項目で、野田内閣は内閣法制局長官も含めてやられっぱなし。この脇さんの質疑は、私が民主党第1次与党期の答弁で、もっとも失望を覚えた問答でした。野党時代から、内閣官房と内閣府の違いを理解していない民主党議員がいるとこのブログで指摘してきました。今までこのブログでは具体名に言及してきませんでしたが、それは山田正彦議員です。ところが、年の初めの脇質問では、野田佳彦首相、枝野幸男経産相(前官房長官)ばかりか、藤村修官房長官、岡田克也副総理、古川元久国家戦略室担当大臣に加えて、ついには山本庸幸・内閣法制局長官がまるっきり答弁に立ち往生するきりきり舞い。私は3・11の一つ前の内閣改造で、山田農相が閣外に去ったことで、3・11の危機管理能力は高まったとばかり思っていたのですが、当時の官房長官を含めて、内閣官房と内閣府の違いが分かっていないようでは、危機管理がうまく行くわけがない。その状態で原子力発電所が爆発したのかと思うと、戦慄を覚えざるを得ない脇質問でした。

 この後、脇さんは2012年国会において、ご存じの通り、絶好調。野田内閣も社会保障と税の一体改革法を成立するという偉業を国会ではなし遂げましたが、官邸や霞が関ではどうなっているのか。なかなかハンドリングが出来ていないのではないかと推察せざるをえません。

 岡田副総理は、閣議後の定例記者会見で、内閣官房と内閣府の見直しが、2月の国会質問に基づくものだと認めました。ところで、藤村官房長官と岡田副総理が見直しについて答弁したと言及しましたが、私が議事録を見た限りでは、きりきり舞いになっているだけで、見直しを答弁したことはないようです。「子供の頃から親から絶対に嘘をつくなと言われて育ってきたので政治家にしては珍しく嘘がつけない」(日テレ番組で村尾信尚キャスターのインタビューへの答え)岡田さんなので、他の質疑者に「見直し」を答弁したのかもしれませんが、脇質問を読み限り、逆ギレしているだけにしか思えません。

 ところで、2月6日の同じ質疑の中で、民主党議員では唯一岡田さんの高校後輩にあたる梅村聡さんが生活保護の不正受給防止のために、自治体が申請者の財産把握のために、銀行に口座の一括照会ができるよう要望しました。これは12月から実施される運びとなりました。ところで、生活保護者は増えていますが、不正受給は増えていないそうです。私も「不正受給数は年々増えている」と思っていましたが、これは「生活保護者数と不正受給に関する報道量が増えている」ことによって生じたイメージギャップのようです。これは政治を見る眼を曇らせる可能性があり、注意が必要です。梅村聡さんは来夏の大阪選挙区で改選になります。3人区から4人区になる可能性がありますが、大阪選挙区選出でこれに言及したの勇気があるとも言えるし、中選挙区の強さとも言えます。梅村聡さんは野田第3次改造内閣が厚生労働大臣政務官になり、この日の衆議院厚生労働委員会で「参議院議員ですので、衆議院で答弁するのは初めてです」としながらも、2月の政府外議員としての提案を12月から政務三役として実施するという責めを負いました。


 脇質問では、国家戦略室が法律どころか政令でも内閣官房に位置することが定められていないことが明らかになりました。橋本行革以降の「官邸主導」は大幅に前進し、三木武夫首相が「官邸は5人だけで動いている」(筑紫哲也さんのインタビューへの答え)状態からは、小泉純一郎首相時代に大幅に前進しました。しかし、脇さんも「これは民主党内閣になってからだけじゃない。自民党の終わりのころから内閣官房とか内閣府がたるんでいるんですよ」との指摘通り、内閣官房の「室長」「本部事務局長」や内閣府の「政策統括官」「所長」など、実際には「局長」であり、ラインであるのに、国家行政組織法第23条「官房および局の数は96以内とする」の抜け穴となってきました。内閣官房から内閣府に移せばいいという問題でもありません。首相官邸隣には、内閣内政審議室、内閣情報調査室、旧沖縄開発庁が入居していた内閣府本府ビル(旧総理府本府ビル)があり、高層ビルに建て変わります。現在は7階建てだと思いますが、20階建て以上になるようです。空間の拡大を機に、内閣官房から内閣府に移ることで生き残ろうとする組織もあるでしょうが、一つの省に戻すべきです。その一方で、内閣府経済社会総合研究所は、「内閣府経済企画庁」として人員を増やして、官庁エコノミストを復活すべきです。世界恐慌の今、民間エコノミストは銀行・証券・保険会社の社員ですから、「復興需要がある」などとして必ず高めの成長予想を出します。不況だからこそ、官庁エコノミストによる分析、予想が必要です。

 このように内閣官房・内閣府は時代とともに、内閣とともに変化すべきです。硬直した組織はいりません。

 そのためには、すべての未入閣議員は、内閣法、行組法、各府省設置法、国家公務員法を熟読し、理解すべきなのです。

国会議事録データベースから引用はじめ]

第180回国会 予算委員会 第3号
平成二十四年二月六日(月曜日)
   午前九時開会
○委員長(石井一君) 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)、以上二案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。脇雅史君。
○脇雅史君 いよいよ参議院の予算委員会の総括質疑ということで、今日からあしたの午前中まで、やや長丁場でございますが、野田総理、どうぞよろしくお願いをいたします。そしてまた、閣僚の皆様方も、やや長いですけれども、途中で行方不明になどならないようにしっかりとお願いを申し上げます。
 野田総理は、年が明けてから、この日本の難局を乗り切っていくに当たって正心誠意、不退転の決意でやっていくんだと再三述べられておられまして、私どももお聞きをいたしておりまして、その決意のほどはよく感じることができます。しかし、決意が幾ら良くても、中身がなければしようがないんですね。正心誠意とおっしゃいますが、残念ながらその誠意の方は私どもの方に伝わってこないんです。
 例えば、お辞めになった山岡前大臣、立派な方だと思うんですが、しかし、誰が考えても消費担当大臣、消費者庁の担当大臣、これはどう見ても適材適所ではないんですよ。それは多くの方に聞いても皆さんそうおっしゃいます。しかし、野田総理はずっとそれは適材適所だと言い続けておられた。そこに言葉の誠が見られません。
 また、この間の本会議での我が党の中曽根会長の質問に対して、それは総理の民主党大会における参議院に対する発言でございますが、おかしいのではないかということについても一切誠意ある回答は見られませんでした。ですから、なかなか信じられないんですね。
 これは野田総理だけではなくて、民主党の歴代の総理の方々、みんな言葉が軽いといいましょうか、言葉が躍っているように思えます。例えば、CO2を二五%削減するとか、あるいは脱原発だとか、どんどんどんどん言葉だけ出てくるんです。本来、結論が先にあるのではないのです。しっかりと内部で討論をし、議論をし、吟味をして、そして我が国の取るべき方向を定めていく、そしてしかるべき手続を取って進めていくというのが本来の姿なんですが、最初の言葉だけなんですよ。だから、幾らしゃべっていても信頼できない、そういうことが民主党の基本的な体質にあるように思うんです、失礼ながら。
 そこで、私もこの二年半の皆様方の様々な言動を本当に疑問に思うことが多いんです。今日は一つずつそれを検証していきたいと思っています。私の後に、次が林先生、礒崎先生、片山先生ということでだんだんに予算については質問をしてまいりますが、私は今申し上げた点に絞って質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 そこで、まず憲法でございますが、総理、御就任なされてから憲法は何度ぐらいお読みになっていますでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 全体を読んだということはありません。ただ、折につけ必要な条文を確認をしたということはありました。
○脇雅史君 お忙しいですから、全部読むなんということはあり得ませんし、問題になったときにお読みになればいいと思うんですが。
 それでは、憲法七十三条はお読みになっていますか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 読んでおりません。
○脇雅史君 七十三条というのは実は大変大事な条文だと思っているんですが、法制局の方、ちょっと読んでいただけませんか。私は資料一でお配りしてありますので皆さんには分かるんですが、ラジオをお聞きの方もおられるでしょうから、七十三条を読んでみてください。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。 二 外交関係を処理すること。 三 条約を締結すること。但し、事前に、」、以下、省略いたします。「四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。 五 予算を作成して国会に提出すること。 六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。」、以下、省略します。「七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。」でございます。
○脇雅史君 ありがとうございました。
 その今の第一項は、特に第一号は「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」。誠実に執行するということを、総理、どのように解釈されていますか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) まさに、文字どおり法律に基づいて誠実に執行するということを心掛けるということであります。
○脇雅史君 それでは、内閣法はお読みになっていますでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣法個別の条文云々ではなく、全体を読んでいるということではございません。
○脇雅史君 憲法は、法律を誠実に執行しろと言っているんですね。法律を読まずに誠実に執行することは可能なんでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣が行う仕事はたくさんあります。いろいろ個別法に基づいて、もちろん上位法である憲法に基づいた個別法に基づいて内閣として仕事をしてまいりますが、私がその一つ一つの仕事の法律の裏付けを全部読んで対応するんじゃなくて、それぞれの担当の閣僚あるいは政務三役あるいは各府省が法律に基づいて仕事をしているというふうに思います。
○脇雅史君 内閣法に言う主任の大臣はどなたか総理は御存じなんでしょうか。いや、知らなかったら知らないでいいですよ。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣総理大臣だと思います。
○脇雅史君 そのとおりですね。
 それでは、内閣府の設置法はお読みになったことはありますか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣府設置法全体を読んだということはありません。
○脇雅史君 内閣官房の主任の大臣も総理大臣、それから、お読みになっていないとおっしゃっているんで、それは御存じでしょうから、内閣府の主任の大臣もやはり総理大臣ですね。
 では、一般の方々は内閣官房って一体何するんだろう、内閣府って何するんだろうと思われると思うんですが、総理は内閣官房と内閣府をどのように使い分けていらっしゃるんでしょうか。
 総理にお聞きしているんです。総理が主任大臣なんだよ。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) それじゃ、まず……(発言する者あり)いや、まず答弁して、答弁して。
○国務大臣(枝野幸男君) 法令解釈担当大臣も命じられておりますので、法令解釈担当大臣としてお答えを申し上げますが、内閣の総合調整にかかわる役割のうち、一定の恒常性を持つものについては内閣府において、そしてアドホックなものについては内閣官房において主に処理するという使い分けがなされております。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) ちょっと、ちょっと帰ってくれ。ちょっと、ちょっと待ってくれ。(発言する者あり)答弁しますか。(発言する者あり)
 それでは、恐縮ですが、議場整理のため、脇雅史君、もう一度御質問願います。
○脇雅史君 私は法令解釈をお尋ねしているのではありません。総理がどのように運用されているかをお聞きしているんです。内閣官房と内閣府をどのようにお使い分けなされているかということです。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 私の頭の中では、内閣府の中にはそれぞれの所掌、分掌があります。必要に応じて総合調整しなければいけないようなときは内閣官房に仕事を負わせると。例えば行政改革全体等は内閣府でやっていました。行政刷新は官房の事務が担当したりと、そういう何か使い分けをしてきているというふうに思っております。
○脇雅史君 内閣官房と内閣府と似たような仕事を大変な人数を掛けてやっていらっしゃる。それをうまく使いこなすにはきちっとした理念が要ると思うんですね。元々、法令上の決まりはあるんです。決まりに基づいてしっかりやってほしい。現実にしっかりやっていないように見えるから、私は申し上げているわけであります。
 それでは、少し具体例に行きます。
 国家戦略室ですね、国家戦略室はどこにある組織ですか。
○国務大臣(古川元久君) 内閣官房に設置されております。
○脇雅史君 それでは、内閣法の二十二条、ちょっと読んでいただきたいんですが。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 二十二条でございますが、「内閣官房の所掌事務を遂行するため必要な内部組織については、政令で定める。」ということです。
○脇雅史君 それでは、国家戦略室は政令で定まっているんですか。
○国務大臣(古川元久君) お答えいたします。
 政令で内閣官房組織令というのがございまして、そこの第十二条に「この政令に定めるもののほか、内閣官房の内部組織に関し必要な細目は、内閣総理大臣が定める。」となっておりまして、この内閣総理大臣決定によって戦略室が設置をされております。
○脇雅史君 細目なんですか、この戦略室というのは。細目で定めるものなんですか。いいかげんな答えはやめてくださいよ。
○国務大臣(古川元久君) これは、ちゃんと法令に基づいて、そして政令に基づいて総理の決定できちんと定められているというものでございます。
○脇雅史君 資料二にこの内閣官房の組織図、これはホームページから取ったものですね、立派にその国家戦略室というのが上から二番目に書いてありますよ。これが細目なんでしょうか。大体ここで黄色で書いてあるやつは、これは政令で書いてあるわけですね。このまさに国家戦略室は政令で定めるべきものだというふうに見えますね。
 要は、先ほどの、憲法で誠実に法律を執行しなさいと言っているわけです。それは、内閣法できちんと政令で定めなさいと書いてあるんだから、素直に読めば、誠実に読めば当然政令でやるべきでしょう。へ理屈で国家の運営をやってはいけないんですよ。あなたの言うのはへ理屈なんだよ。
 総理、どうですか。
 あなたは主任大臣じゃないんだから。
○国務大臣(古川元久君) へ理屈というんじゃなくて、これは委員、大変恐縮でございますが、そういう細かいことで言われるわけじゃなくて、これは全体として内閣として決めた話であって、別に法令に反しているような話ではございません。
 逆に言うと、もう少し中身の話で是非議論をしていただきたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 何か総理、補足しますか。(発言する者あり)
 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(石井一君) 速記を起こしてください。それじゃ、古川担当大臣、もう一度。
○国務大臣(古川元久君) ちょっと言葉が過ぎたかもしれませんけれども、ここの部分は法令に反するものではなくて、きちんとそれは法令に基づいて総理大臣決定によって設定をされたというものでございます。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 古川国家戦略担当大臣。
○国務大臣(古川元久君) 言葉が過ぎた部分はおわび申し上げます。
○委員長(石井一君) 脇君、質疑を続行してその点を指摘してください。
○脇雅史君 私は総理にお聞きしているんですが、今のように、法律の体系というのは法律があって政令事項があって規則があるんです。政令に定めたものの中で規則に委ねるものは書いてあるんです。政令で定めるべきものを細目といって規則で決めるなんてことはあり得ないんですよ。あなたの答弁は全く間違っています。これはささいなことではありません。法治国家としての原点です。
○国務大臣(古川元久君) 言葉が過ぎた部分はおわびを申し上げますけれども、これは法令に基づいてきちんと内閣総理大臣決定によって設置をされた組織であるということであります。
○脇雅史君 総理大臣がこの組織を決める権限はないんです。総理。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) この国家戦略室の設置根拠は、先ほど古川大臣が御説明したとおり、内閣法二十二条及び内閣官房組織令十二条の規定であります。十二条の規定は、「この政令に定めるもののほか、内閣官房の内部組織に関し必要な細目は、内閣総理大臣が定める。」と書いてありますが、これを根拠にして国家戦略室をつくりました。ここで方向性が出る国家戦略についての方向性については、最終的には閣議で意思決定をいたします。閣議で意思決定したものについては個別の省庁が法令に基づいて対応するということでございますので、私は問題はないというふうに理解をしております。
○脇雅史君 もうあきれて物が言えませんね。全く解釈論が間違っています。
 それでは、もう一つお聞きしましょう。その内閣府の組織令の冒頭を読んでみてください。法制局、どうぞ。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 内閣官房組織令の十二条でございますか。
○脇雅史君 最初、冒頭の部分。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 最初、そうですか。ちょっと手元にはございません。
○脇雅史君 そんなもの出てこないの。組織令ぐらいすぐ出るでしょう。この内閣出ないの。それでは貸してあげるよ。これ読んで。組織令ぐらいは出るでしょう、すぐ。冒頭部分でいいから。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) ちょっと突然のお尋ねでございまして、申し訳ございません。
 内閣官房組織令の第一条、「内閣官房に、次の三室を置く。」……
○脇雅史君 第一条じゃないです、冒頭部分。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) はい。
 「内閣は、内閣法第十六条第二項及び第十七条の規定に基き、この政令を制定する。」ということになります。
○脇雅史君 今、第十六条第二項に基づいてと読んだんですね。この政令なるものは、内閣法第十六条第二項に基づいて定めているとおっしゃいましたね。これ、うその資料を渡したんじゃないんです。ホームページなんです。
 じゃ、内閣法十六条第二項って何ですか。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 現在の内閣法十六条は「内閣官房に、内閣官房副長官補三人を置く。」という規定でございまして、多分それは制定文でございまして、その後改正をされまして、その条項が移動したというふうに考えます。
○脇雅史君 またあきれちゃうんですが、これ、内閣府のホームページに堂々と載っているんですよ。
 私読んでみて、今言った内閣法を読んでみたら、十六条第二項に基づいてどうやって政令が制定されるんだろうかと思って、全く意味が分からない。どうするんですか。教えてくださいよ。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 一般的に法令を作るとき、法律が書かれる、その法律を根拠に当然政令が作られるんですけれども、その政令を作るときに、えてして最初のときに作ったままの制定文が書いてあって、その後法律が改正され、あるいはその政令が改正された後、その改正後の条文を書くべきところを書いていないということがよくあるわけでございます。
 ちょっとそれを、根拠を少しチェックさせていただきたいと思います。
○脇雅史君 今の答弁では国家は成り立ちませんよ。法律を変えたら全て関連条項変えるんでしょう。それで内閣は大変な内部で意思調整するんですよ。できていないからこうなっている。これは民主党内閣になってからだけじゃない。自民党の終わりのころから内閣官房とか内閣府がたるんでいるんですよ。だからこんな、法制局もそうだ、こんなばかなことを、今のばかな答弁があったら国家は成り立ちませんよ。どうするんですか、これは。
 総理、総理。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 私どもは仕事を行うに当たりまして、いわゆる黒本といいます大きな法令全書を使って、約百冊ぐらいありまして、それに従って仕事をしているわけでございますが、そこのいわゆる編集の問題でもございます。その編集は、えてしてそこの制定したときの制定文をそのまま書いてあって、その後、慣習として、その本体が動いてもそれを動かさないということになっていると思います。多分、現在の内閣官房のその組織令は、ホームページはそれをそのまま取ってきたんじゃないかと思っております。
○脇雅史君 これ、真面目に法律読んでいったらつながらないじゃないですか。そんなばかな話はあり得ないんですよ。全部直す。今コンピューターの時代ですからね、関連条文全部ぱっと直せますよ。早く直してくださいよ、陳謝して直してくださいよ。あなた主任大臣なんだから。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 根拠はあるということは、その法制局の今の答弁のとおりなんです。ただ、問題はその編集の問題等でありますから、そこはきちっと対応を早急にしなければいけないというふうに思います。
○脇雅史君 これは編集の問題ではありません。法律は言葉が命なんです。一字一句間違っちゃいけないんですよ。そういう緊張感のない答弁だから、こんないいかげんな内閣、こんないいかげんな国になってしまうんですよ。こういう大事なことを、古川さんなんかささいなことだと言っているんだよ。法律の字句が違っていいの、この一つ一つの字句が違っていいんですか。あり得ないでしょう。担当大臣、枝野さん、ちょっと言ってあげてください。変わってもいいの、こんないいかげんなことでいいんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 法令の解釈論といたしましては、それぞれの法令は何年何月何日に改正されたと、その時点における他の法令の規定が前提になっておりますので、現在のような運用が法令の解釈上問題になるとは思いません。ただ、御指摘のとおり、法令は法制局などの専門家だけが使うものではありませんので、そうした意味では不便というか分かりにくい点があるというふうには思います。
 ただ、法令解釈担当大臣でありますが、内閣法制局に対する私は指揮権がございませんので、あります総理や官房長官と御相談をさせていただいて、国民の皆さんに分かりやすい解釈ができるような運用について努力したいと思います。
○脇雅史君 今、大変な答弁ですよ。最新の法令、まあ改正しますわね、改正に基づいて、そこで全部の法令を直すんじゃないんですか。直さないのがあって、あちこち見なくちゃいけないようになっているんですか、古い法律も見ながら。違うでしょう。法律を変えたときに全て変えるんでしょう。変えるのが義務です。あなたは、変えなくてもいいと言った。
 法制局長官、いいのか、それで。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 少し問題を整理して御説明いたしますが、法令本体は、法令の題名から、したがって以下つながっている条文、これが法令の本体でございます。何か改正があれば必ずそれを完璧に全部直すということは普通やっております。
 そして、制定文は、恐らくこれは、かねてからさっき申し上げたようなその運用をしてきたというのは、これは歴史的事実を示すものということで、それを作ったときの歴史的状態でそのまま固定されていて、その後それは、特にそれまで触ることはしないというのがこれまでの経緯でございます。
 それで、それは要するに……(発言する者あり)
 それで、もう一つ申し上げますと、要するに制定文というのは作ったときのその当時の状態を示すものでありまして、法令としての効力は題名以下の法令の本文であるということでございます。
○脇雅史君 今の答弁によれば、政令だけ読むと、そこに書いてある条文というのは、昔変えたやつ、いろんな様々な条文が混在しちゃっているということがあり得るということなんですね。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) それは、法令を制定する前の一番、何といいますか、その根拠、法令を制定したときの根拠を示すだけでございまして、法令そのものは、法令以下の、その題名以下の本文ということでございますので、それは完全に整合性があるように作られております。
○脇雅史君 それでは、昔の十六条第二項と十七条の規定というのを教えてください。どういう条文ですか。わざわざ根拠として昔のやつ取っておいたんだから、教えてよ。分からないんだ、昔の法律が。だから教えてくださいよ。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) それは、内閣府、内閣組織令を作ったときの状態でございまして、そのときの条文に戻らないと分からないわけでございますが、その後組織令が改正されて、それで条文がずれたということで、ですから題名以下の本体のところは間違いなく、そして制定文のところはそれを作ったときの状態がそのまま残されているのがこれまでの慣行といいますか、ということでございまして、そこまでは私どもは特に改正していないということでございます。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 内閣法制局長官、質問に直接的に簡潔に答えていただきたいと存じます。
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 普通、組織令、そういう政令を書くときは、その前に必ず、新設するときはその制定文を書くわけです。その制定文は書いたときの、その組織令を作ったときの状態でそのまま残されるということでございます。そして、それはあくまでも制定文でございまして、法令本体の効力としては、題名以下の各条、これが完全に実効を有するわけでございまして、昔のその経緯までは私どもはそこに書いていないということでございます。
 それで、お尋ねにつきましては、多分その作ったときの法律の政令の状態、これが必要だと思います。それから、その後、一部改正を行った、その一部改正を行ったときの状態、この二つが必要だと思いますが、ちょっと今手元にございませんので、誠に申し訳ございません。
○脇雅史君 じゃ、至急提出してください。すぐ調べて提出して。(発言する者あり)いや、答弁要らない。
 次へ行きましょう。まあ、余り、いいかげんであるということがよく分かりましたが。
 内閣府の組織図を皆さんにもお配りしています。私ずっと読んでいったんですが、全て法律で規定されています。そして、例えば十八条に経済財政諮問会議というのがありまして、右の上から二番目ですね。全てみんな法律で決まっているんです。ここに書いてあるのは全部決まっているんです。なぜか沖縄振興審議会だけ、ちょっと法律で私見当たらなかったんで、私の見逃しかもしれませんが、後で教えてください。大した話ではないです。
 それなのに、ここの中に税制調査会とか地域主権戦略会議とか行政刷新会議とか、そういうものはないんですよね。私は、ここの右に並んでいる全て法律で定められた組織と比べて軽いものではないと思うんです。何でここに出てこないんでしょうか。(発言する者あり)総理大臣。
○委員長(石井一君) それじゃ、岡田副総理。
○国務大臣(岡田克也君) 私は行政刷新会議の担当でございます。
○脇雅史君 税制調査会は関係ない。
○国務大臣(岡田克也君) 行政刷新会議につきましては、我々も国会に法案を提出をして法定していただきたいということをお願いしていた時期もございます。しかし、残念ながら、御審議いただけないということで法律で定めるには至っておりません。閣議決定で行政刷新会議を設置しているということでございます。
○脇雅史君 法律で規定しなくちゃいけないと思っていたと言うんだから、やっぱり法律で決めるべきものだという意識はあるみたいですね。法律がなかったらできないんですよ。閣議でそんなものをつくっていいという根拠はどこに書いてあるんですか。
○国務大臣(岡田克也君) 法律で規定することができれば、私はその方がより良いというふうには考えます。しかし、閣議で設定することが否定されているわけではございません。
 行政刷新会議で議論された事項について行政刷新会議で執行するということであればともかく、最終的には閣議で決定をし、その上で執行されるものでありますので、そういう意味で、行政刷新会議そのものは法律で定めなければならないということではございません。
○脇雅史君 今の御答弁だったら、ここで全部法律で定める必要はないですよ。全部閣議で決めりゃいいんですよ。それでは駄目だと。
 要するに、国会に対してきちんと説明しなくちゃいけないから、憲法の精神からしても全部法律で決めることに我が国はなっている。だから、あなた方も法律を作ろうとしたんでしょう。法律が通らなかったらできない。いいかげんなこと言っちゃ駄目ですよ。
 どうですか、総理。あなたは行政刷新だけだから。税制調査会もあるから、総理、どうですか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 行政刷新会議も、それから国家戦略会議、それから税調、地域主権戦略会議は、今副総理が答弁されたように閣議決定を根拠にしております。
○脇雅史君 どこに法律書いてあるの。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 閣議決定においても、その後、方向性を出したときには最終的には閣議で決めていく、そして各府省できちっと法律に基づいて執行していくということによって特段の問題はないというふうに思います。
○脇雅史君 そんなことだったら全部要らないんです、閣議で全部やりゃいいという論理なんですよ。日本の法制度はそうなっていないんですよ。いいかげんにしてくださいよ。
 全部これ、きちんと法に基づいて処理をしていただきたいと思うんですが、総理、どうですか。
○国務大臣(岡田克也君) 委員の御意見を聞いていてよく理解できないところは、法律に基づいて設置することになっていると言われますが、その根拠を是非お教えいただきたいと思います。
○脇雅史君 逆質問なんかあり得ないんですが、国家行政組織法とか内閣府設置法でこれが全て法律で設定されている。全て法律なんですよ、ここに書いてあるのは、審議会等も。
 何で法律で決めているんですか、これらは、じゃ。法律で決めなくちゃいけないから決めているんでしょう。同じようなものが法律で決めても決めなくてもいいなんて、これは国家成り立たないじゃないですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 内閣は法律や法律上の組織に基づいて行政行為を行う、これについては、内閣が替わっても政権が替わっても、それについて国会の議決をいただかないとにかかわらずに設置をされると、こういう法律上の拘束力があります。ただ、国家行政組織法等においても憲法においても、内閣が法律によらない法令上の根拠に基づく行政組織的なものを用いて一般行政事務を行うことについては憲法で否定をされているものではございませんし、そのことがなければ行政事務は動きません。
 一方で、例えば憲法は、租税法定主義など国民の権利義務に直接関係する例えば税については、これは法律で定めなければならないという規定を置いておりまして、行政組織などの扱いについて憲法は明確に区別をしております。
○脇雅史君 全く違いますよ。法律に基づかないで行政やっていいわけないんです。全てきちっとやるんです。あなた方は間違っていますよ。もうこれは、ここで時間が無駄だからもうやりませんが、大変な思い違いだということを申し上げておきます。
 それで、行政刷新会議は何で法律で定めないか、もう一回言ってください。
○国務大臣(岡田克也君) 先ほど言いましたように、必ずしも法律で定める必要はございません。しかし、でき得れば、これは内閣の中で重要な組織でございますので、会議でございますので、我々としては法律で決めることを一旦はお願いをしたところでございます。
○脇雅史君 衆議院でちゃんと通して参議院へ送ってくればいいんですよ。衆議院に圧倒的多数があるんでしょう。送ってくる気もないのによく言いますね。あきれてますよ。
 それから、行政刷新会議で民主党の議員がその行政の一部分を担当しましたよね。これは明らかに国会法の三十九条に違反していると思いますが、これはどうですか。
○国務大臣(岡田克也君) 民主党の国会議員が具体的な議論に参加をしたことは事実でありますが、それで何かを決定したということではございません。
○脇雅史君 ああいう場所で人を集めてやるということは行政行為なんです。国会議員は、立法府はそこへ参加してはいけないというのが三十九条の法律の精神なんです。
 憲法には、法律を誠実に執行しろと、先ほど申し上げましたように書いてあるんですよ。ですから、この国会法を誠実に執行しようとしたら、これはどう考えたって国会議員はそんなチームに参加できるはずがないんですよ。それはもう詭弁なんです、詭弁と言い訳。政府が詭弁で行政をやってどうするんですか。国政は堂々とやらなくちゃいけないんですよ。この法律の精神にそんなことが読めますか。
○国務大臣(岡田克也君) そこは、考え方、解釈の異なるところだと思います。(発言する者あり)今から御説明します。
 まず、事業仕分、提言型政策仕分の国会議員評価者は、行政刷新会議の議長である内閣総理大臣が指名した者でございます。行政刷新会議は、内閣府設置法に基づく行政組織ではなく、その役職等は官職に当たるものではないことから、国会議員を評価者に指名し、その参集を求めることは、国会法第三十九条との関係で問題が生ずるものではないというふうに考えております。
○脇雅史君 これはもう抜本的におかしいですよ。
 本来、行政法で、法律できちんと定める行政組織を定めずにおいて、それで法律で定めていないからいいんだと。これ、定めてやらなくちゃいけないものを定めずにやって、だからいいんだという、もうむちゃくちゃな論理なんですよ。国家がこんな運営はしていいはずがありません。これはもう重大な問題として、今までもずっと言い逃れ、へ理屈ばっかりでこの内閣やっているんです。そのことをきちっと指摘しておきたいと思います。
 それからもう一つ、税制調査会の設置の根拠の条文を教えてください。
○国務大臣(安住淳君) 今の税調は、二十一年の九月二十九日の閣議決定において決定をしております。
○脇雅史君 根拠条文を教えてください。
○国務大臣(安住淳君) 閣議決定における内容については、まず、総理大臣の諮問に応じ、租税に関する制度について調査審議をするために内閣府に税制調査会を設置する旨書かれております。そのほかは、構成要員それから運営方法等について規定を設けております。
○脇雅史君 これ、財務大臣じゃなくて、内閣府に置かれているんですから総理なんですね、主任の大臣は。
 内閣府に置いている根拠を教えてください。
○国務大臣(古川元久君) これ、税制調査会の庶務については、財務省及び総務省の協力を得て内閣府が行うということになっております。国税に関する制度の企画立案を行う財務省と地方税に関する制度の企画立案を行う総務省とともに、内閣府が両省の連絡調整を行いながら税制調査会の運営を行っているという形になっております。
○国務大臣(枝野幸男君) 先ほど来、憲法七十三条の第一項第一号をお読みになっておりますが、憲法七十三条は「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」となっておりまして、その一号に「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」となっておりまして、この憲法七十三条に基づき閣議において決定したものでございます。
○脇雅史君 他の一般行政事務の定義を教えてください。
○国務大臣(枝野幸男君) この話をし出しますと、行政法のまさに一つの大きな論点でございます。立法や司法についてはその範囲について明確に定義ができますが、社会の複雑化の中において、行政は国民生活の向上、国益、国民益の保護のために立法、行政以外の機能について果たしていくということになっているのが一般的な解釈でございます。
○脇雅史君 解釈論をする気はないんですが、基本的に、みんなこれまで法律で定めてやってきたことはやっぱり法律で定めるべきなんですよ。国会としてもそう思います。あるとき急に法律なしでやってみたり、法律は出したけれども通らないから法律なしでやっているというのは、まさしく異常としか言いようがありません。
 それから、さっきの根拠条文教えてください、内閣府に置いている根拠条文。財務省じゃないんだよ、内閣府。
○国務大臣(古川元久君) 先ほど私御説明を申し上げましたが、内閣府は庶務を担当、これ置いているといいますか、これは、税制調査会は閣議決定に基づくものであって、内閣府設置法上の行政組織ではございません。内閣府がやっているのは、この税調の庶務の部分を内閣府の担当としてやっているというところでございます。
○脇雅史君 根拠もなしに、どこに置いてあるか分からないと。民間の人も入っているんですよね。どこにあるか分からない会議なんですか、調査会というのは。
○国務大臣(枝野幸男君) ですから、それは先ほど私がお答えしましたとおり、憲法七十三条柱書きに基づき閣議決定したものでございます。
○脇雅史君 そんな権限は内閣にないですよ。とんでもない話です。もうとんでもない話だということだけ指摘して、もうやめます。重要な事項について、やはりきちんと検討して、きちんと法律を作って、手続にのっとって進めるべきですよ。あなた方は間違っています。
 それでは、八ツ場ダムについて、二年半ほど前にいきなり停止を命令しましたよね、命令したというか実際止めたわけですが、どういう根拠に基づいて、どういう手続を経て止めたんでしょうか。
 総理、内閣の総理にお尋ねします。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 八ツ場ダムの事業停止の手続についてのお尋ねでございますけれども、平成二十一年の十月に、当時の前原国土交通大臣の判断により八ツ場ダムの本体工事の入札契約手続を中止をいたしました。この手続の中止については、特定多目的ダム法等の法令に基づく特定の手続は取っていないと承知をしております。
○脇雅史君 八ツ場の予算を執行するというのは、憲法七十三条に基づいて、様々な法令に基づいてやろうということは決定されて、お金を使うこと自体が憲法七十三条による誠実な執行なんですよ。それを何の根拠もなしに一大臣が勝手に一人で決めたんですか。もう一回答弁してください。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 中止の前段階としてのダム本体工事に関する入札契約手続の取りやめを判断したものでございますので、この時点で直ちに法令に基づく手続を取る必要はなかったというふうに承知をしています。
○脇雅史君 もうとんでもない話ですよ。
 法律に基づいて執行する義務があるんですよ、あなた方は。それをやめるんだったら、やめる手続もありますよ。内閣法に一般行政の中止手続ってあるんですよ、知っていますか。内閣法、主務大臣、どうぞ。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 内閣法の中にはそういう規定はあるかと思いますが、先ほど申し上げたとおり、この八ツ場ダムに関しては、中止というその前段階の入札あるいは契約手続の取りやめの判断でございます。
○脇雅史君 全くの詭弁で、現実にダムの工事を止めたんですよ、本体はね。それで、本体が止まったことによって完成が遅れているんです。二年半遅れるでしょう。遅れたことによって実質的な損害を受けた人もいるんです。この損害の賠償は誰が払うんですか。
○国務大臣(前田武志君) 脇委員が誠にこれはもう専門家でございますので、要は、総理がお答え申し上げたように、事業の中止の方向性を示したものであって、法令に基づく手続は行っておりません。

(中略=この間に河川法、国の出先機関改革、人事院勧告についての質疑)

○脇雅史君 大変残念なことに時間が来てしまいましたが、今の答弁でもいかにいいかげんかと、やることは全くすぐできるんですから。本当に法律や制度を無視してむちゃくちゃな内閣だなということを改めて思います。
 そして、最後になりますが、これまでいろいろ述べてきましたが、この内閣は本当に憲法の下に法律を執行するという意味でふさわしくない内閣だと思っています。欠陥内閣と言うしかほかはありません。民主党政権の基本的な、本質的な欠陥として、今まで言ってきたように、法律によらない、そして言葉が軽い、責任を取らない、基本政策自体も間違っている、それから皇室を大変に軽視している、そういうことが挙げられます。この今の我が国が置かれている重大な局面を乗り切っていくには全くふさわしくない内閣だと思います。一刻も早く退陣されることを要求いたします。
 私が退陣を言うのは、ただ単に自民党に政権を取り戻したいということではありません。今の我が国は、本当にきちんとした国家観に基づいて堂々たる政府、実行できる政府をつくる必要があると思います。自己の利益のためではなくて、国家国民のために、ここにおられる国会議員の皆様方も是非このことを御理解いただいて、御尽力、御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(後略)

[引用おわり]

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