【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「解散どうやって追い込むのか逆に教えてほしい」と迷走 NHK日曜討論 各党国対委員長に聞く

2012年11月11日 10時43分06秒 | 第181臨時国会(2012年10~11月)友情解散

[写真]山井和則・民主党国会対策委員長、民主党ホームページから。

 NHK日曜討論で朗報が2つ。特例公債法の成立が確実となり、国民会議の(国民の生活が第一を排除した)民自公3党の名簿による設置も確実な情勢であることが分かりました。

 その一方で、野党が明日からの衆議院予算委員会で「聞きたいことが山ほどある」として戦術を絞りきれておらず、番組には自民党国対委員長が「どうやったら早期解散に追い込めるのか、逆に(政府与党が)予算委員会で教えてほしい」と発言するなど、野党が戦術的に大混乱している気配を感じました。

 2012年11月11日(日)のNHK日曜討論は中盤国会を控えて与野党国会対策委員長が対決。民主党の山井和則国対委員長、自民党の浜田靖一国対委員長にとっては、秋の党首選後人事異動で就任後の初出演。司会は島田敏男・NHK解説委員。NHKは今週の月曜日、火曜日、水曜日に連続して国会中継を放送します。

 特例公債法案(181閣法1号)について、山井さんが「15日(木)の衆議院本会議で通過させる」と断定調で話すと、浜田さんも「(衆議院)予算委員会を(月曜日、火曜日の)2日間開くことになったのでしっかりやっていきたい」と応じましたので、衆参での可決・成立は確実になりました。

 昨年3月の最高裁大法廷判決と2010年国勢調査(センサス)を反映する「1票の格差是正法案(衆議院選挙区画定審議会設置法と公職選挙法の改正法案)」(今国会未提出)について、山井さんは「最高裁判決が求めているのは、違憲状態を解消することであり、法案を通せばそれで良いとは言っていない」と発言。島田さんが「(0増5減に加えて2010国調に応じて区割り変更をした)295選挙区で(第46回衆院選を)実施すると言うことか」と確かめると、山井さんは「そうです。ただし、総理の解散権は(憲法第7条の天皇の国事行為であり苫米地訴訟の統治行為論の判例があるので)制約されない」としました。この山井発言からすると、今月に法案が成立した後、区割り審(内閣府衆議院選挙区画定審議会)が動きだし、1人別枠方式(0増5減)を廃止したうえ、他の42都道府県も含めて2010国調にもとづく、新区割りを作成し、知事の意見を聞き、内閣総理大臣に勧告するのは、年明けになります。この後、勧告を受けて、衆参で公職選挙法改正をしたうえで、施行することになります。ただ、これについては、勧告の時点で周知期間が始まり、改正公選法施行は、(衆議院解散日ではなく)憲法第7条により天皇陛下が第46回衆院選公示日に法施行することもできます。ですから、このスケジュールでも年明けの早い時期の解散総選挙は可能です。

 これに対して、弁護士でもある漆原さんが「三権分立の観点からして、(法案が成立すれば最高裁は)抑制的な判断をするだろう」と語りました。これは同党が早期解散を求めていることに伴う発言。

 6月15日の3党合意に基づき、法案が提出され、成立、公布、施行された社会保障制度国民会議設置法については、浜田さんが「名簿を早く出すよう努力している」とし、山井さんが「自民党から名簿が出れば近いうちに設置できる」として、早期設置に前向きだった公明党とあわせて3党の名簿がそろい、政府が閣議決定などで設置する見通し。これに関して、3党合意後の院の構成の変化で衆院第3会派になった国民の生活が第一から異論は出ませんでした。解散風のおかげで、懸案が一つ片づきます。

 みんなの党の山内康一さんが「特例公債法案の成立を、国会の議論より優先してほしいという民主党の対応は、問答無用であり、傲慢だ」と批判したところ、山井さんは「今国会が問われている」と強気で言い返しました。

 月曜日と火曜日の予算委員会については、野党各党はさまざまな問題点を挙げて、「少ない時間で何を聞こうかと悩んでいる」(山内さん)、「いっぱいあって挙げきれない」(浜田さん)と語り、戦術を絞りきれていない気配を感じました。

 日本共産党の穀田恵二国対委員長が「復興の遅れは民主党の責任で、(復興予算の)流用を認めたのは復興基本法をつくった民主党、自民党、公明党の各党の責任だ」と批判すると、浜田さんは「震災復興の遅れなんていうのは、政府の責任に決まっているじゃないか」と声を荒げました。

 このブログでも再三再四指摘していますが、野党の国会戦術は「内閣が低支持率で任期満了まで(確実に与党が負けるので解散ができないように)追い込む」のかあるいは「内閣総辞職に追い込む」のかのいずれかであり、自民党が言っている「早期解散に追い込む」ことは絶対的にあり得ない戦術だとしてきました。  

 島田解説委員が国会カレンダーを見せながら「どうやって解散に追い込むのか」とただしたところ、浜田さんは「なぜ(181臨時国会の会期を33日間という)1ヶ月の設定をしたのか、民主党のお考えを知りたい。(延長せずに)早く終わらせたいのかどうか。解散にどうやって追い込むのか逆に予算委員会で教えてほしい」 と極めて苦しい発言をしました。

 やはり15年間、野党ばかり見てきた当ブログの認識が正しかったようです。

 この番組は自民党政権時代から与党第1党から発言し、与党第1党が締めくくることになっていますが、山井さんは「菅内閣不信任案が出て以降、1年半以上、(野党は)解散、解散と言い続けている。私は政局よりも政策の国会に変えていきたいと思います」と語って、番組は終わりました。

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