[画像]公明党ポスター=公明党広報局提供ファイル。
貧すれば鈍するとはこのことで、野党のくせに12月9日(日)の投開票を求める公明党の山口那津男代表が、2008(平成20)年度第2次補正予算(麻生定額給付金補正)について、「今だから申し上げるが、自公の政調会長同士では、選挙を見通した景気対策をつくったのに解散のタイミングを逃した」「もっとハッキリ言うと、都議選を翌年に控えていた選挙対策だった」と語り、定額給付金が選挙対策だったことを明言しました。2012年11月8日(木)午後9時からのBS11インサイドアウトでの発言。
この定額給付金が選挙対策だったことを明言したのは、きょうの山口発言が初めてだと思われます。もちろん、1億人が「そんなの知っていたよ」と言うでしょうが、当事者に証言させるのは極めて大事な作業。そのうえで、山口さんは「もっとハッキリ言うと(麻生太郎首相は)解散のタイミングを逃した」と語り、2009年7月の都議会議員選挙敗北(公明党公認候補は全員当選)につながったとしました。一方、このとき当ブログでは「【最大の景気対策】給付金の半額を民主党に寄付しよう!」キャンペーンを張らしていただき、政権交代後に多くの現・民主党衆議院議員から感謝されました。そろそろ年末ですが、余裕のある方は、政治献金をして寄付金控除をつくるということにご協力いただきたく存じます。
麻生内閣発足直後に公明党の山口那津男政調会長、自民党の保利耕輔政調会長らは、サブプライムショック時のブッシュ大統領の「ブッシュ減税」「戻し減税」に範をとり、「定額減税」を考慮しました。しかし、アメリカのように小切手を郵送する格好での戻し減税が小切手社会ではない日本では難しいうえ、公明党支持者が所得税・住民税の課税最低限を下回る非課税世帯が多く、定額減税をしても低所得の支持者にはまったく恩恵がないことから、いったんは立ち往生。そのうえで、2兆円の赤字国債を発行して、2兆円の定額給付金を自治体から送金する「定額給付金補正」を2009年2月の第171通常国会に提出しました。これには、ねじれ国会で参院第1党だった野党・民主党の福山哲郎参院政審会長らが歳入から2兆円の赤字国債を減額し、歳出から2兆円の定額給付金を減額する議員提案の予算修正案を提出し、憲政史上初めて参院での可決に成功。過去には、新進党が一般会計予算総則から住専(住宅金融専門会社)への公費負担を削る修正を衆院で可決し、参院で送ったことはありますが、予算費目が参院で修正可決され、衆参で違う予算が可決する憲政史上初めての事態になりました。この後、両院協議会が開かれ、参院民主党が送り込んだ、北澤俊美両院協議会協議委員が議長に、石井一協議委員が副議長になり、徹底的にやりこめました。このときから、両院協議会の懇談部分も議事録をとるなど、両院制における極めて大きな先例を残しながらも、最終的には2兆円の定額給付金が実現しました。
貧すれば鈍する。山口さんは12月9日投開票発言はどうするんでしょうか。きょうはもう11月8日ですが。
きょう11月8日の衆議院本会議で、城島光力財務大臣が特例公債法案(財政運営に必要な財源を確保するための(財政法4条の)特例の公債発行法案(181閣法1号)を趣旨説明。代表質問では、中野寛成さんが「本日審議入りしたのは、ご同慶のいたり」としたうえで、「顧みれば、私がこの本会議の壇上にたった昭和52年3月4日も特例公債法案の代表質問だった。あれから35年間、残念ながら財政はますます悪化し成立させられなかったのは政治の怠慢だ」と演説。おそらくカンセイの最後の演説となるでしょうが、野田佳彦首相は「民主党を代表して、30年を超える万感の思いをこめたご質問をありがとうございました」とマイク越しに感謝を述べました。
この後、竹本直一シャドウ財務相に続き、8月28日の本会議でまったく同じ文面の法案について反対討論をした公明党の竹内譲さんが質問に立ち、法案が成立しないのは政府与党の責任だとしたうえで、どういうわけか、尖閣諸島の用地買収について質問しました。
この後、野田首相、岡田克也副総理(兼)行政刷新相らは午後4時45分から午後5時35分まで首相官邸で第29回行政刷新会議を開きました。この中で来週末に行う「新仕分け」で、自民党が今年度減額補正の対象として求めている、生活保護費について、保護費負担金の生活扶助、住宅扶助、医療扶助と、医療費給付費(市販品類似薬)の4分野を仕分ける方針を決定しました。が、自民党の要求と違い、生活保護4分野の仕分け結果について、今年度予算で減額補正はしない方針を決めました。野田首相、岡田副総理両者の側近で、内閣府副大臣(行政刷新副大臣)の藤本祐司さんが記者会見し、「本当に生活保護が必要な人には使っていきたい。評価人次第だが、廃止、縮減といった仕分け結果ではなく、よりよく使っていくための今後の方向性を出していく方向になると思う」としたうえで、景気対策の財源捻出のための「今年度の補正予算には使わない」として、今年度の減額補正はないと明言しました。公明党が特例公債法成立に協力する見通しとなったため、生活保護受給者が支持者に多い公明党に一定に配慮したとの観測もできます。
さて、山口さんは来夏の第23回参院選公明党東京都選挙区候補にきょうの公明党中央幹事会で公認されました。同党には「在職中に66歳を超えない」というルールが党規約にはありませんが不文律として存在しますが、幹部なので公認されたもようです。野党のくせに解散時期に言及し、与党時代の自民党とのやりとりを暴露する山口さん。BS11インサイドアウトでは、キャスターの鈴木哲夫同局報道局長の求めに応じて、山口さんが「公明党に足りないもの」についてパネルに書きました。 山口さんは「蛮勇」と書きました。公明党には「蛮勇」が足りないとのことでした。しかし、私は長年、旧公明党、新進党、新公明党の国会・地方議員を見ていますが、その山口さんの分析は間違っています。
今の公明党に足りないもの。それは
「志」
です。
特例公債チキンレース。死ぬのは山口です。
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