日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

新井紀子著「AI VS  教科書を読めない子供たち」を読了。

2020-10-08 06:22:15 | 
2019年にビジネス書の部門で大賞となった本だということです。

彼女は2011年からスタートしたロボットは東大に入れるかを試みた「東ロボプロジェクト」企画のリーダーの方とのこと。
この企画は、6年余りで「無理だ」の結論で終止符を打ったようです。ただし、マーチ(MARCH?)レベルには到達したので、そのクラスが社会に出て就くであろう仕事レベルについては、AIが取って代わる時代が来ることを想定するべきだ、とも。

結局はAIは、計算機であり、膨大なデータを記憶して、その中からいかに瞬時にチョイスするか、その技術向上に尽きる。
AIは考えないし、読解もしない。
ただひたすら、データを蓄積し、頻度から重要だと判断しているに尽きる、ということ。

「それだけ」であっても、マーチレベルの大学生の学力は備えているというのだから、当然に今後の社会には大いに取り入れられていく。

では、AIが不得意とする、書いてあることを理解するとはどういうことか。
文章を正しく読解する能力を人(中学生、高校生、大学生)は、持っているのだろうか、と著者は調査に乗り出す。

意外に、教科書で書かれている文章を正しく理解していない割合が多いのに驚く。

塾や予備校で教わっているから、知識で正答はできても、ある種の正しい読解が必要な文章になると、案外戸惑ったり、間違った選択をしてしまうということがわかる。

読解力って、何だろう、と考える。

読書を多くする人と読解力とは関係はない、とも言い切っている。

活字をたくさん読んでいるから、正しく理解しているには必ずしもつながらす、書いてあることを正しく理解することが大切だ、と。

AIの時代に、AIにできない仕事ができる人になるためにも、読解力のついた子供たちを育てることが重要だ、という流れで、彼女は
「リーディングスキルテスト」(RST)というのを編み出し、全国の中学生にトライしてもらおうと模索している。


付けたし

でもね、昨日の話の、通りすがりの男性が、エンジン故障した車に駆け寄って、知恵を出して助けてくださるって、困った人がいると気になるという感情の有る「人間だから」のことですよね。まぁ、そんなところで故障する車を作る会社も問題なのですが、、、。

もう一つ。
今、喧々諤々話題になっている、日本学術会議の6名の任命が見送られた件についても、任命権者が首相であり、その首相が推薦者のうち6名を任命しなかったといって問題視している。任命権って何? ですね。
任命権がある人がその権利に基づいて判断したことをめぐって大騒ぎ。不思議?
学問の自由の制限される? 誰が制限する? 学術会議のメンバーになるのが学問の至上命題でもないでしょうに。
欧米ではこの種の学者集団は民間で営まれているとのこと。それこそ、国の予算に期待することなく学問の自由だと思います。
これからどう展開していくのか。
正しい読解が求められます。苦笑
些細なことで喧々諤々して、大事な案件を論議できなくなることがないようにしてほしいですね。















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薦められてマンガ本。

2020-09-04 09:11:21 | 
早速「かかしのきいたかえるのはなし」の中古本を注文して読了。


きっと、私のHNから思い出されて薦めてくださったのだと思います。
紹介がないと出会うことがなかったと思います。ありがとうございます。

タイトル名になっている短編、青年期に出会うと心に響くのでしょうね。別の短編のシーンにもあるように、私は「もうあれから40年」の世代ですから、それなりに一生懸命だった自分のこれまでを振り返ったり(苦笑)。誰もが自分の人生を歩んできているわけですから。

あとがきに、

お金をかせぐために、描かれるまんがが、有る。いっぽうで、その作者が自分のために、それを描かねば生きれなかった、という作品も有るのです。

とあり、この作品は後者の作品だと述べています。
自分のために描いたとしても、こんな自分を誰かに共感してほしかったから描いたというところがあるのじゃないかしら、と思ってしまいます。
そうじゃなかったら、発表する必要がなかったわけですから。

薦めてくださった方へ。
マンガ読者としては後発というか、不得手のタイプなのです。
(我が家は一時マンガ読みの集団のようでしたが(苦笑)、私はひとり場外の存在でした)

めったに自分からマンガ本を購入することはないのですが、最近webで購読したのは「将棋の渡辺くん1巻」です。
先日藤井聡汰クンに敗れた渡辺明棋士の奥さんが漫画家で、夫にスポットを当てた作品です。
将棋に関心があるわけでなく、ハートウォームな話題に楽しんで読んでいたのですが、渡辺明棋士が今を時めくすごい人だと後から知った次第です。1巻どまりですが、面白かったです。

私のHNの由来ですが、映画で観た「オズの魔法使い」の中のブリキのかかし、です。自分は動けないのだけど飛んできたカラスとは
おしゃべりしてる。そのシーンを思い浮かべて、連日電車通勤している自分のブログタイトルにしたのです。

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吉村昭著「遠い日の戦争」を読む。

2020-09-01 07:46:39 | 
8月は戦争関連の話題が多い。
購読紙に取り上げられていた本「遠い日の戦争」をクリックして、月半ばから読みまじめていたのに、アレコレと小説以外に気が散って放置。せめて8月中に読み終わりたいと読みだして、最後の2日は戦後から数年の日本を味わっていた。
大岡昇平氏が同じようにB29から緊急降下して捕まった米軍兵士捕虜の処刑を書いていたのを思い出した。
九州福岡における米軍捕虜処刑の話。九州大学医学部が人体実験したというのは、ここに出てきていることなのかしら。ずいぶん前(多分学生時代)に読んだ遠藤周作の「海と毒薬」の事件と重なっているのだろうか。
読み終わって(その間、昭和20~25年という時代を想像しながら)、現在人が判断している基準となんと違いがあるのだろう、と思った。
今の人はエアコン、冷蔵庫、洗濯機、上下水道、水洗トイレそしてパソコンにスマホ。どれがひとつ書けでもブーイングだろうな。

「人が人を殺せと命じる戦争は絶対にしてはならない」

こんなシンプルなことが、どこでどう間違って、戦争をすることを選択してしまったのか。

したくなかったのに、それを選択せざるを得なかった。そういう流れを作ってはならない。


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出会い。その2

2020-05-27 06:57:06 | 
とぎれとぎれに読んでいる本「アダム・スミス『道徳感情論』と『国富論』の世界」堂目卓生著(中公新書) がある。

読み始めの頃、すとんと心にはまった感がして、時を経た人物(アダム・スミス 1723年から1790年)の考え方なのだけれど、ちっとも古くもなく、今まさに「共感」と思った。

誰にも考え方の道筋というか、癖があると思う。
私の考え方の癖として、自分の中のもうひとりと対話する癖がある。

元来、そういうタイプだったから、以前にニーチェーの一編の詩に出会ったとき、自分にとっては、ドストライクのように思えて、以来、しばしばその詩(正確には記憶していないので、その詩を自分勝手の解釈で)を頭の中に引っ張り出す「癖」「で、生活してきた。
自分の中の「もうひとりの神」として。

ブログ記事 出会い。

で、今、手元に置いているこの本 「アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界」 で説かれているなかに、自分の中にもう一人の自分の存在」(観察者)という表現が出てくる。

以下引用 
 このように、いったん心の中に公平な観察者が形成されれば、私たちは、当事者としてだけでなく、観察者としての自分の判断をも、胸中の公平な観察者を用いて調整するのである。
 同感に関する以上の議論を要約すると次のようになる。
(1)私は他人の感情や行為に関心がある。
(2)他人も私の感情や行為に関心を持つだろう。
(3)私は、できるだけ多くの人から是認されたいと思う。
(4)経験によって、私は、諸感情や諸行為のうち、同胞の多くが、あるものを是認し、他のものを否認することを知る。
(5)また、経験によって、私は、ある感情または行為が、すべての同胞の是認を得ることはないことを知る。
(6)そこで、私は、経験をもとに公平な観察者を胸中に形成し、その是認・否認に従って自分の感情や行為を判断するようになる。
(7)同時に、私は、公平な観察者の是認・否認に従って他人の感情や行為を判断するようになる。
(8)こうして、私は、当事者としても、観察者としても、自分の感情や行為を胸中の公平な観察者が是認できるものに合わせようと努力する。


すべからく納得できる。
これまで、否定されてきた部分もあって、苦しかったけれど、アダム・スミスの人間解釈の方が、スムーズで涙が出るくらいストンと胸に収まった。

他人に関心を持つのは低俗である。できるだけ多くの人から認められようという感情は邪だ、とっどちらかというと、否定され続けてきたような部分があった。余計なことをしないほうがいい、と。それがストレスになったりもした。

外側的にはなんの変化もないのだけれど、自分の中に芯棒がひとつ加わったような気がした。
嬉しい。







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曽野綾子著『納得して死ぬということ』を読む

2020-01-15 06:46:48 | 
同著者の『自分の始末』と2冊を図書館から借りてきた。
『自分の始末』のほうは、彼女のまとめたものではなく、かつての著作物からの抜粋を編集したもの(
本が売れないという昨今、編集者の売り上げ期待した作戦もあるのかしらと)。

タイトルの本は、夫の三浦朱門さんが91歳で亡くなった後に書かれたものです。
彼女は終戦時に13歳だったとあるので、私は戦後の24年生まれだから、17歳年下。
85歳を超えて書いている彼女の『今をどう生きるか』は、私が今欲しがっているものとはちょっとズレを感じて(、彼女が17年前の心境は違っていただろうし、と)、流し読みで終わるつもりだった。

そんな流れだったのに、ちょっとメモっておこうかな、という気持ちにさせられたので、記しておきます。

 以下引用。


 朱門が亡くなった時、私が見つけたのは、彼が人間的に成熟した人だった、ということだった。現実はけっしてそうではない。彼はぶきっちょで、幼稚園の子供でもできるような手先の細工ができなかった。つまりエプロンの紐を首の後ろで結ぶようなことは、最後までできなかったのである。
 しかし、彼の精神は大人だった。彼は、単純に自分の接した相手の評価をしなかった。物質的なものを求めすぎる人や、すぐ結果を期待する人のことは少し笑ったが、そのたびに私は自分が笑われているような気がした。
 考えてみると、人は生きている限り、年齢によっても、環境によっても変わっている。だから、結果は出ない。その人が亡くなった時、私たちは初めてその人の存在意義について答えが出るのかもしれない。

(下線はブログ主による)
この文章の前には 
人は失ったものの価値を、失った時に最もはっきり見つける、というフレーズがある。

彼女のこの時の心境なのだろう。

そうか、、、と、少し感じ入っている状態で、ページをめくると

引用

努力と結果は一致しないし 
将来の幸福とも関係ない
努力は現世で
成功するためではなく
悔いなく死ぬための準備でもある


という、私にとってのド・ストライクとなるような、豪速球がさらりと、見出しに出てくる。

読みながし本と軽く読んでいたのに、あらら、出会ってよかった本になりました。

納得して死ぬということ、とは、自分の「生きる」を精一杯やり遂げること、に通じるんですよね。共感

ガンジーの「自伝」を何度も読み返している、という。やっぱり、曽野さんも、ガンジーか、、、、とも。

あの、ガンジーの言葉、きっとこころにとめておられるのでしょう。









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新聞のコラムから。

2020-01-12 09:55:17 | 
日経の「読書日記」というコラムに行き当たった。
私は、読まないことが多い、どちらかというと不誠実な読み手です。苦笑

書き手 歴史学者 與那覇 潤 さん。

陳さんの描く中国史にヒーローはいない、という書き出しから始まって、陳舜臣著『小説十八史略』を取り上げている。 60代になってから、中国を舞台にした物語を立て続けに読んでいたこともあるけれど、陳舜臣さんの本は、一冊も手にしたことがない。
コラムの最後の数行(青文字で引用)を読んで、こんな人が取り上げているのだから、という思いがあふれて、私の中の振り子は『小説十八史略』読もう、と振れた。紙の本になるので、注文してから届くのに数日かかる。
魅力的な人って、あちこちにいらっしゃるのですね~。


抜粋
 いまも日本には「選挙で勝った人」「市場で当てた人」に群がっては、彼らは正しさゆえに成功したと説くのが言論の仕事だと、勘違いしている識者がいる。そうした営みの卑小さを理解するには、日本人が経験した蹉跌と絶望はまだ少なすぎる ―――「歴史が短すぎるのかもしれない」―――


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手元にある本。

2020-01-08 08:03:48 | 
月曜日に帰省していた孫用に借りていた図書館本を返しに行ったとき、ついでにと、2冊の本を借りてきた。

曽野綾子著「自分の始末」、同じく「納得して死ぬという人間の努めについて」。

買うほどのこともないけれど、流し読みしてみようかな、と。

未読なのに、ブログに取り上げるのもなんだか、なのだろうけれど、

このタイトル本を借りてみようかな、という心境に、うっふふ、です。

誰にでも訪れる死であることは、承知しているし、この年齢になると、10年、20年、30年という時の経過がどれほどの長さなのかも、経験でわかる。「あと○年は、、、、」という表現も会話に上らないではない。

だから、これを考えることばっかりに執着するのではなく、こころの片隅に、期限があることを、だから今、知っておきたいこと、しておきたいこと、を充実させなくっちゃ、という思いが下火になった時のカンフル剤として使わせてもらおうと思っている。

勝手でしょ、ワタシって。苦笑

昨日の午後から天気はぐずついていて、今日は朝からきっぱり雨。
昨日はホットヨガから帰ったら、庭仕事と思っていたのに、雨粒が落ちてきて、ブログにダラダラ文章を書いてすごし、今朝は雨をいいことに、曽野さんの本を読もうかな、と。

ゴメン、庭。バラたちよ。






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「みんなにお金を配ったらーーベーシックインカムは世界でどう議論されているか?」

2019-12-19 09:23:04 | 
タイトルの本を読んでいる。

タイトルの本旨の前段階の箇所なのだけれど、読み手の私にとって、抜粋しておきたいと思ったので、記してみます。
著者はアメリカ人(だと思っています)。

以下、引用文

 どんな文明にも、その文明で美徳とされているものがある。ギリシャ文明では勇敢であることが美徳だった。ローマ文明では義務を果たすことが美徳だった。現代の私たちにとっては勤勉さが美徳だ。アメリカ人は労働のことを、経済的に必要であるだけでなく、社会的義務であり、よい人生の基盤であると考えている。

中略

ギリシャ人とローマ人は余暇と思索が人生の価値だと考えていた。アリストテレスに言わせれば、それこそが人として何より崇高な使命だった。

中略

その後ヨーロッパの貴族階級は、自分たちは単純労働をするような存在ではないとみなし、領土に実る果実と他者の労働によって生きていくのが当然と考えた。1500年代にこの大陸を訪れたスペインの征服者たちは、大地がすべてを恵む土地、人間が労を割かずとも生きていける土地を求めていた。だがアメリカはプロテスタントの労働倫理のもとで築かれた国だ。怠惰は罪だと信じ、人は労働を通じて神への愛を示し自らを浄化できると信じた清教徒とクエーカー教徒たちがこの国を作った。

中略

建国当初から、労働に対するアメリカの態度は、ヨーロッパ社会でのそれと大きく袂を分かっていたのである。植民地となり、ヨーロッパ本土から流された大勢の囚人と何十万人という奴隷たちの労働によってイギリスの貴族や富裕層を潤わせていた体験が、働かないことへの嫌悪感を強固なものにした。

中略

アメリカ人には、人は自力で家と農場を建てたり、西部を開拓ーー長らくその地で息づいてきた文明を排除または破壊しながら―ーしたりすることで、土地を我がものにしていくべしという思いがあった。こうしてアメリカ人の意識の中で、働くこと、個人主義と、成功とが、分かちがたく結びついていったのである。






文字が読めることの幸せを思います。日本語訳が出ているからこそ、ですけどね。そして、手元にあるIPadの書架に、自分でクリックしなくても並んでいる(家人が購入)、という環境にも恵まれているのでしょう。
現在は、私はこの導入部よりも、先に読み進めているのですが、富の偏在、格差拡大が言われている昨今にあって、ベーシックインカム(UBI)の有効性を実証しようと、いろんなところでの試みも紹介されています。
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今、学んでいること。

2019-12-15 07:33:41 | 
まったくの遅読ですが、教えられること多しのと思っている本です。

「みんなにお金を配ったら  -- ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?」みすず書房
アニー・ローリー 上原裕美子訳

現在のアメリカの状況を踏まえて、分析、展開しているのだけれど、グローバル化しているから、うなづくこと多し、の思いで読んでいます。

なんだか、経済学の講義を聴いているみたい。

常に時代は動いていて、その潮流は過去の変革時よりも速さを増しているのだろうか。

印刷技術の発明が、宗教改革を引き起こしていくもとになった。
産業革命が都市人口の激増を招いた。

そして、今はデータが利益を生み出い時代へ変遷。

そのさなかにいる人たちの感じる受け止め方と、大きなスパンで振り返って捉える立場では違うのだろう。

今の時代、10年後にはどう振り返ることになるのかしら。

初めて自宅でワープロを購入したのは1985年。・・・思い出せるから不思議(苦笑)。
タイプなんて触ったこともなく、キーを打つことにも自信がなかったので、ひらがながアイウエオ順で並んでいるのを購入したものです。

メールを使うようになったのは、2000年。・・・これもわかる。苦笑
海外(の僻地)に行っていた娘の無事を確認したかったから、必死にローマ字で書いたものです。

フィルムをお店で現像してもらっていた時代も今は昔。

職業が様変わり。

芳香としてベーシックインカムへと向かうのでしょうか。・・・まだ、遅読なので・・・









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高校の同窓会余波、かな?

2019-10-03 08:43:07 | 
夏目漱石の「私の個人主義」を読みたくなった。

青空文庫で探すと、簡便に読める。

中学までは、数学、理科好き少女だったのが、高1で読書の世界に突入、と言った経緯を持っている。
遅読なので、長編の外国文学には手が出ない。
明治期以降の日本文学が読書対象。我が家に毎月配本される近代文学全集があったので、図書館利用する必要はめったになかった。
外国の作家では、短編が多いヘルマンヘッセがお気に入り。

先日読んだ橘玲(たちばなあきら)さんの、若い時代を書いている「80S(エイティーズ)」に、高校時代1週間の謹慎処分を受けた時に、ドフトエフスキーを読みまくり(長編なのにスゴイ)、原書で読みたいと思って、ロシア文学のある大学を志した、とあったけれど、
ヘルマンヘッセを原書で読みたいと思ってドイツ語を選択した時の気持ちと同じ。そして、ロシア語の授業ではいの一番にドロップアウトした、とあったけれど、悲しいことにそこも似たり寄ったり。苦笑

同窓会では、同じクラスながら本の話などしたことがない人と、当時は読書好きで、、、という話になった。彼女は国立の図書館短大に進学していたというのも、先日初めて知った。
自分の本読みにのめり込んでいった当時の光景を思い浮かべたりもした。
「本を読む」ことに恋をしたのかもしれない。
物語本を手にしても、次々と読んでいった経験がなかった私が、なぜ、本読む人になったのだろう、と。

あの『自己本位』とか『個人主義』という表現で、自分の中の自我が語られている文章がすとんと胸にきた、からかも、と。

というわけで、文頭の「私の個人主義」を読了。

同じく、橘玲さんの『上級国民 下級国民』の中で印象に残っていることも響いているかな → 自分
個人の生き方、なんてものは、歴史始まって以来、ずっとなかった、と。
生きていくこと(命をつないでいくこと)が最優先で、その手立てとして、組み込まれている身分に背くのはご法度だった。女性にしても同じ。男女平等という発想そのものもない。子供が産める15歳ぐらいになれば、結婚の対象であり、そうすることで口過ぎして生涯を送るものでした。武将の家に生まれれば当然政略結婚の道具です。二十歳前に子を産むのも普通のことという長い歴史の中で、今の社会のほうがレアパターンなのです。
そう、「人は個人として尊重される」、戦後生まれの私たちは、耳たこぐらいに訊いてきた言葉ですが、それは、それほどまでに連呼しなければ浸透しないだろう、ぐらいの、これまでとは違った価値観だったのです。

昨年、秋田の角館に行ってきました。観光地に行っても、めったに乗ることはない人力車に乗りました。車夫役の若い案内人は、城下町のイロハを語ってくれました。その中に、敷地の広さだけでなく、塀の高さまでも、武家社会の中の階級によって決まっていて、上司より高い塀を作ることはできなかった、というのがありました。お城の近くにご家老の家があって、そのあとも格の高い人から順に屋敷があてがわれている。それが能力によってではなく世襲によって受け継がれていく社会だったのです。

きっと、角館に限ったことではないでしょう。そう思うと封建社会しか知らないで生きていた人たちのものの考え方というのは、今の価値観とどれほど違っていたものかと、想像を超えるもの、でしょう。
お上のためなら切腹もいとわないのですから。

そう、日ごろ頭の中に雑学をないまぜにして暮らしているものだから、あの『自己本位』『個人主義』という文章が載っていた、現代国語の教科書が懐かしくなり、青空文庫を探してみた、というわけです。

この本は、学習院大学での講演がもとになっているのですが、個人の自由を貫くためには、一方で義務が伴うことをはき違えないこと、という話を、大正3年、晩年のの夏目漱石(慶応3年生まれ)さんは述べておられました。










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