評判だと耳にしながら、見ていない朝ドラをお昼にちょこっと見た。
アサが女子の高等教育に奔走しているシーン。
向学心が目覚めたきっかけのひとつに、そろばんを手渡されたこと、という話。
私の習い事の最初は、そろばんでした。
習いたくて習いたくて。
3年生になったら、習わせてもらえることになってワクワクしながら、4月を待ったものです。
2月の今頃は、我流で1+、2+、3+…と練習していました。
10までで55。
今度は、-9、-8、-7 と引き算していきました。
ひとり、茶の間で。
最後にどうしても10残るのです。
なんで?
どこが間違ったのかしら?
2年生の女の子はそれなりに悩みました。
その後、発見!
引き算するときに、9からスタートしたから、最初の10をまだ引いていなかったのです。
自分でそれに気が付いた時の感覚、まだ覚えているような気がします。
小さなエピソードです。
女子も高等教育をとの呼びかけは、恵まれている階層から始まったのでしょうが、
私の頃は昭和も40年代でしたので、教師が親を説得してくれました。
高校1年の時、進学校に進んだ嬉しさもあって、友達が話していた将来の大学進学について、「私も…」と母に話題にしたら、
「そんな話は今はしてはならない、ちょっと待て」
と、返ってきたことを覚えています。
子供に勉強をしろ、と言うこともない家庭って、こんなものなのでしょう。
友達の家みたいだったら、こんな場面での神経使わなくてもいいのに、と少し思いました。
3年生の担任が親を説得してくれて、国立大学だけに願書を出したものです。
あのころは、滑り止めに私立も受ける女子は珍しかったのじゃないかな。
田舎でしたから。
女子にも高等教育をと奔走するあささんたち先駆者がいて、女子教育がスタートしていくのですね。恩恵を受けたひとりです。
そして、今日の展開は、寄付集めが難航している場面でした(皆さんも見ていらっしゃるのでしょうか)。
裕福な町の事業家の伝手を頼ってもなかなか理解が得られない。
すでに私立大学を立ち上げている大隈重信さんに、知恵を借りるために手紙を書こう、というところで、明日につづく。
広岡アサさんの実話に基づいているから、実際も同様のことがあったのでしょうが、
物事は理解を得られるおおもとに、本音を訴えるのが早道というノウハウ、彼女の才覚ですね。
半年ほど前に読んだ、司馬遼太郎の「歳月」という、黎明期の明治、江藤新平を書いた歴史小説があるのですが、
その中で大隈重信氏がヨーロッパ人に臆することなく言い放った文言がまたよみがえってきました。
幕府が瓦解し、外国への門戸が開かれたまもなくの頃のシーンです。
開国後もキリシタン弾圧は引き継いでいたことに対し、各国から非難の声が上がった。
英国公使パークスが京都政府にその国禁の解除を要請したことに対し
その対応相手として、政府側はまだ若き大隈重信が抜擢した。
その交渉内でのセリフ
―以下抜粋―
大隈のキリスト教論というのはパークスをさえ沈黙させた。大隈はいう。キリスト教の真理であることは認める。しかし反面、キリスト教がおびただしい弊害を欧州の歴史に流したこともわれわれは知っている。「聞かずや」と、大隈はいう。ある欧州の歴史家は「欧州の歴史は戦乱の歴史である」と。而してある宗教家――大隈にひそかに聖書を教えたフルベッキのことだが――は「欧州の歴史はキリスト教の歴史である」ともいう。この二つの言葉が真実であるとすれば、キリスト教の歴史はすなわち戦乱の歴史である。かのドイツの三十年戦争を見られよ。フランスのユグノー教徒の乱を見られよ、セント・バァーソロミューの新教徒二万人の虐殺をみられよ。これらの歴史を貴官はどうみられるか。イエス・キリストは地に平和を贈ったのではなく、剣を贈ったのである。…
―抜粋終わり―
私は早稲田の創始者程度にしか大隈重信という人を知らないですが、↑ と対応したと知り、あの時代にあって、博識でかつ弁えている、多少張ったりも使ったりして、相手がだれであってもひるまず、押しも強かったらしい人物だと気圧されました。
欧化主義になりがちな世相に流されてはいない目を持った人物でした。
ドラマでは、その大隈重信に私立学校設立のノウハウを尋ねる手紙を書こうというのですから、才覚の持ち主ですね。
アサさん、生き生きと輝いて見えて素敵です。
追加
世間では、五代友厚が人気らしいですね。
(出先で手にする雑誌やいくつかのブログ記事からの情報です)
このドラマを見るまで知らなかったけれど、一挙に時の人になったみたい、に書かれています。
数年前に「薩摩ステューデント西へ」(林望著)を読んだことがあり、その中に五代友厚も出てきます。
幕府が瓦解、明治政府ができんとする直前、薩摩藩が有志を募ってヨーロッパに向かわせた顛末を書いた本です。
勿論藩の重役がリーダーですが、明治になって活躍する人材がゾロゾロ。外国船に乗船した瞬間から、異文化に驚くことばかり満載、数々の体験を重ねながら海路イギリスまでの旅路を書いています。
桁外れの贅沢な待遇を受けていますが、きっと莫大な資金の裏打ちがあってのことでしょう。若者たちには知らされていないけれど、目的の一つには英国から武器の購入(強い薩摩藩を作るため)があったらしいです。
この本も脚本化すると生き生きとした人物像が目白押しで面白い作品ができると思うのですが、多分だめでしょう。妙齢の女性が出てこない。苦笑 香港、マカオをはじめとして、各地の港がロケ地となり費用が掛かりすぎる。
う~ん、本で楽しむのが手っ取り早い、になってしまうのでしょうか。
面白かったのにな~。(注:回し者ではありません)
■ちょこっと、ガーデニングも。
初クリスマスローズが咲きました。
2番バッターも蕾で控えています。
ラナンキュラスは寒風にも負けずきれいです。