日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

久し振り(?)の小説読んだ感!

2022-07-19 06:44:01 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
歴史系だったり経済系の本に傾いていたのに、久しぶりに小説っぽい本を読んだ。
1日に1冊、二日で2冊。
「きみの来た場所」「運転者」。
2作とも著者は喜多川泰さん。まったく初耳の作家さんです。
おもしろいよ、と言われて読みはじめ、2冊とも一気に読了。
本っていいな~、こころに潤いをもたらしてくれます。

以前は垣谷美雨さんの本を1日1冊のペースで読み漁ったことを思い出します。
あの時は、電子書籍を2冊ぐらいを購入した後は、図書館の本棚に探しに行って、未読の本を総ざらい(4冊ぐらい)のようにして借りてきたものです。再読はないだろうしもったいなくて、、、苦笑。

最近は、Amazonで毎月一定額支払うと、本を無料で読める仕組み(100冊とかの枠があるみたいで、読了したら返本して、別の本を借りれます。今回はそれを利用しています。

少し前は、里中満智子の歴史マンガ「長屋王残照記3巻」「女帝の手記4巻」を連続読みしていました。
本屋に行かなくても、図書館に行かなくても読書にありつけるのは便利です。



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映画『夜が明けるまで』をみる。

2017-10-18 08:25:51 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
2017年NetFlix製作。9月に全世界に配信された映画らしい。

腰椎骨折のコルセットをつけていることだし、と安静姿勢で映画鑑賞して2時間足らずを過ごした。

ロバートレッドフォードとジェーンフォンダの共演。
レッドフォードは私より11歳年上、といって苦笑を買ったのは20歳過ぎのころ。
年齢は誰にも同じに加算されていくから、今も、であり、もう80歳近いレットフォード(役名ルイス)であり、ジェーンフォンダ(役名アディー)もしかり。

以下、ネタバレあり。

ご近所に住む二人。お互い伴侶に先立たれ一人暮らし。アディーが、夜ひとりで寝るのは寂しいから、一緒に寝ないかと申し出る。
ただベットで語りながら寝るだけ、なのです。
でも、ともに時間を過ごすことは、話す時間を持つということでもあり、お互いのこれまでを語り始める。

教師をしていたルイスは、途中、ネイティブアメリカンの女性と一緒に住もうとした機関があったり(夫婦仲がぎくしゃくしていた時)、アディーは二人のことものうちの一人を交通事故で失っている。

お互いが抱えている、年月で起きた出来事を今も引きずっているところがあり、そんなよかれあしかれのいろいろが、結局は人生を編んでいるものだと考えさせられる。

かつての傷口も、もはやとげとげしくはない。尋ねられて語ることによって、そんなこともあった、と思い返す程度かもしれないけれど、
語ることによって、来し方をいとおしく振り返っている二人。

誰にでも、口にすることはなくても、きっと、似たような、かけがえのない日々があることでしょう。

ひとりで変化のない日々の連続より、語る相手がいるというのは、素敵、と思わせてくれる映画でした。

一人暮らしの高齢者(会話しているのは全員女性です)を何人も知っているけれど、はて、さて、わたしの周りの彼女たちは、、、?



70代後半~80歳前後の男性と女性。素敵に描かれていました。



今度、提案しようと思っている映画鑑賞会。

「60歳のラブレター」にしようと思っていたのだけれど、こっちもいいかな、と。

ま、60歳・・・のほうを先にして、この作品の鑑賞は鑑賞者がまだ60代なので、あわてることはないかな?  苦笑




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映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」をみる

2017-10-10 07:39:58 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
 ">2015年製作。

ナチスに奪われた個人所有の絵画の奪還訴訟の顛末を書いた作品です。



オーストリアがナチス政権下に入ったときの模様、その時代と、訴訟を起こしている現代とが交互に組み込まれており、今あるウィーンの街が戦争に巻き込まれていった様子の連想を助けてくれます。

軍靴の音を響かせて待ちに入ってくるドイツ軍を大衆は歓迎して迎え入れている場面。ユダヤ人の家にユダヤとペイントする政権側のひとたち。

すべてがわかるとは言えないけれど、侵略されるということはこういうことなのだと、思いながら見る。

なんとかアメリカに逃げ延びて、戦後を送っているウィーン出身の老婦人は、嫌な思い出の詰まったウィーンの地を踏むことを拒む。

ほんの少し旅人として行ったことがある、あの街がそんな、侵略のいきさつを抱えていると、映像で教えられると鮮明になります。

戦争をしたくない、戦争が起こってはならない、ドイツ、フランスなどの国々の思いが、こういう過去からきているのだともつくづく思ったりもします。

…フランスなどは産業として武器輸出はしているところが、矛盾ですけどね。

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映画「ハンナ・アーレント」をみる。

2017-09-03 09:41:13 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
新聞で映画評を読んだのは数年前で、見に行こうと思いつつ、まだ見ていない作品でした。
有料テレビで、更に+400円だったけれど、見逃したものだったので、クリックして視聴した。

「ハンナ・アーレント」

彼女自身がナチスの迫害を経験しているユダヤ人のアメリカ在住の哲学者。

南米で捕まったヒットラーの側近アイコマンがイスラエルで裁かれることになり、彼女は傍聴を希望する。傍聴席から見たアイヒマンという人物像を、平凡な人物であり、命令されたことを忠実に実行すたにすぎないと記述した。強制収容所体験者からすると、大悪人で罵倒の対象であり、彼女の観察眼は受け入れられなかった。また、ユダヤ人指導層の中にもナチス社会で迫害を免れる立場を選択した人たちがいたという記述もあって、以後、彼女は地位ある哲学者だったのだけれど、非難の嵐を受けることになる。



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日曜日にテレビで「これはあなたのもの 1943-ウクライナ」をみる。

2017-08-08 06:57:30 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
地上会新社による舞台公演です。劇場で公演されたものをNHK教育で流していました。

「これはあなたのもの 1943-ウクライナ」

8月6日という、戦争のことを考える日ということで番組が組まれていたのかもしれません。
内容解説は時間がありましたらクリックしてみてください。

ノーベル化学賞を受賞した科学者であり劇作家のロアルト・ホフマンの作品です。
作品紹介に、「もう一つの『アンネの日記』」という表現がありますが、実際にはまだまだ語られていない苦難がたくさんあるのでしょうね。

もう30年近くも前に、「暮らしの手帳」でユダヤ人の子供たちの逃避行をつづった「一夜の宿を」という話に心打たれて、自分の子供たちに読ませたり、数部をコピーして読書会のみんなに推めたりしたことを思い出しました。まだ本棚にコピーは保存しています。

そういえば、敗戦後に北朝鮮からの引き上げ中に、親を亡くして幼い兄弟だけで引き揚げてきた方のことを思い出したりしました。
一年に一度、お久しぶりねと、時間もなく挨拶するだけですが、もう少しお話を聞いてみようかしら、とも。

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映画「ジェーン・エア」をみる。 追加の雑文あり

2017-05-25 05:32:16 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
2011年の作品。2時間の作品。
「ジェーン・エア」
Netflixで。
2時間の時間があれば視聴できる。

庭めぐりして、本を読んで、映画を見て。

バラの世話が楽しくできて、読みたい本を持っていて、魅きこまれる映像作品に出会える、至福。


■追加して、書いておきたくて■

私は本読み少女ではなかったので、「赤毛のアン」も「ジェーン・エア」も読んでいない。
赤毛のアンは子育て時期に少女雑誌に書き下して連載されていたのをよんだから、話の筋やいくつかのエピソードは知っている。
ジーン・エアのほうは、ブロンテ姉妹のもう一人のほうの作品「嵐が丘」を学生時代映画で見た程度だったのが、後になって、テレビ放映されている「ジェーン・エア」の少しのシーンを見て、あっ、こっちの作者のほうが、、、と興味を持った程度で、あれから数十年(苦笑)という状態でした。

「アンという名の少女」でも思ったのですが、「ジェーン・エア」でも、幼い少女のうちにある芯についてです。
両方に焦点を当てるとピンボケになるようで、アンについて言うと、
不遇だったり、不本意な待遇というのは、嫌というほど体験するのだけれど、でも、自分というものを、これを見失ってはいけない、というものを持っているのです。大人の言うとおりに言うことをきく素直な子じゃなかったりするけれど、ひとつひとつを自分のやり方で生きていくのです。
学校が彼女を助けてくれます。勉強という場が、彼女の力を認めてくれる場になるのですから。もし、公共教育という場がなかったら、家柄の良い子や高級品を持っている子が評価され続けるでしょうね。ギルバートも勉強が楽しいタイプでしたね。よく似た相棒も見つかります。苦笑
勉強の世界はどんどん広がっていく(ものと違って、かさばらない)から、さらに興味が増えていく。知力が増せば乗り越える力も備わってくるのです。

ジェーン・エアも、不遇で理不尽な少女時代を経ます。うそつき、素直じゃない子というレッテルを張られます。寄宿学校を出た後、家庭教師として食べていこうとしたのですから、勉強すること嫌じゃなかった女性なのでしょう。どこー放り出されても、身に付いた勉強は荷物にはならない。
その家庭教師の雇い主と恋仲になるのですが、男性側の特殊事情がアレコレの障害となります。それでも彼女が魅かれていくのですが、きっと原作では、読者を引き込ませる展開、描写があるのでしょうね。映画では時間に制約があるので、こまごまが端折って張るような気がします。描かれているだけのシーンでは、恋に落ちる男性の魅力が伝わってこないから。

そして、並行して、司馬遼太郎の「胡蝶の夢」第3巻を読んでいます。
幕府軍を結成して、長州征伐に向かう時代に入っています。200年余り戦のない世の中でした。身分社会ですから、幕臣と諸大名の家来(陪臣)は身分がまったく違う別物です。親の身分を長男が受け継いでいるだけですから、ちっとも剣の腕が立つわけではありません。身分によって兵○十人を引き連れることとなっても、口入屋を通してにわかにそろえるというありさま。武具は古道具屋でそろえる、とか。これで戦です。江戸時代、藩校が諸藩に作られたけれど、徳川様の江戸には藩校がなかった(向学心が育たなかったのか)。蘭学熱が盛んな幕末でも、身分が決まっているので努力する必要もなかったからか幕臣で蘭学を学ぼうとした最初の人は勝臨太郎だったと。

もやもやと吐き出しましたが、あんなこんなの小片が私の頭を巡っています。苦笑

ページをめくっても(電子書籍だから、指を触れるだけですが)、数ページ前の名前は零れ落ちるのが昨今ですけれど、でも、先人が残してくださった書物をありがたく追いかけています。
映画もいろいろですが、チョイスしていけばいいものに出会えるのでありがたいです。

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ワタシ迷っている、、、。というか、ぜいたくな迷いなんですけれどね。

2017-05-14 16:01:02 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
昨日ドラマを一つ見た。連続もの。
Netflixオリジナルドラマ「アンという名の少女」5月12日より全世界同時オンライントリーミング開始、とある。
それを5月13日にたまたま見つけて、ワタシ観たわけです。
海外ドラマはどれも見ごたえあって、たくさん見ています。で、やっぱりこれも、さすが~という、良作です。
で、迷っているのは、ドラマなので連続ものです。これからも見続けるかどうか、展開はわかっているのです。彼女の決して苦境にあってもあきらめない、ドラマチックなセリフ、大好きなので、(この年ですが)アンの世界に浸りたい、という自分がいて、でも時間がもったいない、という気分もあって、迷っているのです。う~ん。

今、連続で見ているのは、アマゾンプライムの「メンタリスト」これは、シーズン7でおしまいなので、あと15話ほどかな。結構時間は取られます。
あと、次のシーズンが放映されるのを待っているのが二つ。「ザ・クラウン」「ベルサイユ

NHKで、最終のシーズンが始まった「ダウントンアビー」は録画で毎週見ています。

キラ星のごとく、見たいドラマが目白押し。

きっと、見るね。

その代り、日本のテレビ番組は見ないから、と自分に説明して。苦笑

なんと、私って!!!

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本を読める幸せ~。 ※追加あり

2014-10-15 13:11:06 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
いつも、比較的に読みかけの本がある生活なのだけれど、このところ、当たり続き、の気分です。

「武士の家計簿」の著者、磯田道史氏の「無私の日本人」を読み終え、同著者の読みかけの「日本人の叡智」を持って白内障の手術のために入院した。
実は「日本人の叡智」は、朝日新聞土曜版に連載されていたコラムの新書化されたもので、私には、新聞コラムで読了済みだったりで、入院中は手持ち無沙汰になってしまった。
で、病院の図書コーナーで手にとった文庫本「ルネッサンスとは何であったか」((塩野七生著)を手に取って読み始めた。読みやすい。理解してもらうための図解が優しい。暗黒の中世と言われれ、教会キリスト教にがんじがらめであった社会に、どういうふうに機運が芽生え開花したいったか、切々とした語りに、納得しながら読み進めることが出来ました。で、退院して、勿論借りた本は返してきましたので、その日のうちに、ネットで同じ本を購入(苦笑)。フィレンツェの街、ベネツィアの街が目に浮かぶようでした。
15世紀末のローマ法王ボルジア一族のテレビドラマも視聴しているので、宗教が政治を取り仕切っていた時代が映像で浮かんできやすいのです。
宗教改革、反宗教改革と勢力争いのすざまじさに、いわゆるルネッサンス以降も大変な時代が続いたのだと、私のヨーロッパ理解の上書き、です。
で、マホメット2世の名前も出てきたことから、たまたま自宅にあった塩野七生著「コンスタンティノーブルの陥落」を読みたくなりました。
一方、川口マーン恵美氏の「住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち」もデジタル版で購入してあったので読了。川口氏はドイツ在住。以前「住んでみたドイツ 8勝敗で日本の勝ち」ほか数冊読んでいますが、30年あまり暮らしてきて受け止めた情報には説得力がある、と思ってしまいます。よって、この本もサクサクと読めます。そして、日本人がイメージしているヨーロッパのイメージを遥か逸脱している実態を知ったりもします。大航海時代の経緯などは、へぇ~、の箇所もあります。
そして、彼女の本で紹介されていた、松原久子氏の「驕れる白人と闘うための日本近代史」へと読みすすめました。松原氏は1958年に日本の大学を卒業後、海外留学、1970年にドイツで日欧比較文化史で博士号をとったとあります。この本は、鎖国時代の江戸期についての記述も多くあり、私たちが高校時代に教えられた教科書の日本史がいかに表層的であったか、いや敢えて「知る必要がない」とされていたのでは、と思える程でした。
江戸期の日本人を書いた前出「無私の日本人」を読んで間もないものですから、総論と各論の差を感じずにはいられませんが、「両書とも」に出会えたことは、私としては大当たりでした。
彼女の他の著作として「日本の知恵 ヨーロッパの知恵」があり(購入済み)、家人の読了をまって、読もうと思っています。
「驕れる白人と…」は、今朝、病院の眼科の待合室で終章を読了。終盤に、日本で体験したエピソードが盛り込まれていたりしますが、松原氏が、前述の磯田氏の「無私の日本人」の仙台藩吉岡宿の窮乏を救おうと立ち上がった有志の話を読んだら、どう思われるだろう、と思いめぐらしたりしました。
8人の有志(資金力がある者ら。士農工商の身分では農民)が内々で、窮乏する村を救うために手立てを考え、藩の役人との交渉にまで持っていったという話です。
そして、念書を交わします「自分たちがしたことが、例えうまくいって、村が救われるということになっても、それをしたのが自分たちだとは、絶対に口外しないこと」と。
古文書をつぶさに当たって書かれている話です。実際の記録が残されている、私たちの国の江戸期の良心に、胸がぐっときました。

※ 追加
書きそびれました。「驕れる白人と闘うための日本近代史」はドイツ語で書かれており、出版されたとき、ドイツで話題になったそうです。松原さんは有識者としてドイツのテレビ番組にも出ていらっしゃる方、だそうです。その本の日本語訳(訳はご本人ではありません)が文庫で出版されたものです。結構年数が経っているのに、まだ第1版でした。日本を理解してもらおうとして書かれた本ですが、日本人である私にとっても、江戸幕末期の日本の文化、生活レベルを知ることができて、勉強になりました。
開国当時の金銀の交換比率が、国際基準と違うことにより起きたという、ゴールドラッシュの話なんて、初耳。後進の国への福祉的配慮はさらさらなく(植民地からいかに吸い上げるか、の時代です)、自前のお金で西洋文化の習得に腐心しているのが判ります。アヘン戦争で西洋列強に食い荒らされた様を熟知している幕府は、日本が二の舞になってはならぬと必死だったのです。今の時代の困苦をはるか上回る切迫感だったのでしょう。
現在の私たちは、西洋人が啓蒙思想の産着をきて生まれてきたかのような錯覚をしがちですが、全然すざまじい歴史を抱えているのですよ、かの国々は。そんな中にあって、松原さんの奮闘ぶり、ご苦労さま、とおもいます。

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『薩摩スチューデント西へ』林望著を読む

2013-09-23 15:22:25 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
『薩摩スチューデント西へ』
幕末、薩英戦争から2年後、薩摩藩の若者のロンドン留学への旅行記です。
留学生15名と藩命の仕事を携えた4名、総勢19名の船旅が、彼らの日記その他の記録を頼りに、小説仕立てに書き進められています。
林望氏はリンボウ先生として、気軽に読めるイギリスがらみのエッセイを書く人、というイメージでしたが、この本では、縦横に使われている日本語を堪能しながら読みました。
そして、鹿児島弁の会話で内容が進行していくのですが、鹿児島弁だからこそ、の篤さがにじみ出ている風にさえ思え、ラジオの朗読番組で取り上げてくれたらいいのに、と何度が思いました。
「著者渾身の傑作感動巨編。」と文庫本カバーに記されていますが、読みがいがありました。幕府には内密の、藩命による留学です。香港、マカオなど寄港地で見た欧米人の支配下に置かれたアジア人の惨めさを目の当たりにしたり、とてつもなく発達しているヨーロッパ文化に出会い吸収していく様、その書きぶりに引き込まれていきます。

最近は小説から遠ざかっていましたが、いいものですね。



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猿谷要 著「アメリカよ、美しく年をとれ」岩波新書を読む ■付けたし雑記あり

2013-03-23 09:55:58 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
この本に出会えたことがうれしい。
「アメリカよ、美しく年をとれ」

実は、猿谷要(1923年生まれ)という名前は随分前から見てはいた。そう何十年も前から。週刊誌だったか月刊誌に著者の名前を何度もみた記憶はあった。アメリカのことを書いている人だ、とそこまではぼんやり知っていた。でも、お恥ずかしいことに、その文章の1ページも読んだことはなかった。
先日、某週刊誌で絵本画家の安野光雅氏が猿谷氏が紹介し、この本を推薦していた。

これまで、見ていても素通りだった自分に呆れながら、ま、今出会えたことがうれしい。
著者の長年にわたるアメリカ研究に絡んだエッセイで、2006年に出版された当時は、ブッシュ大統領のアメリカです。その後アメリカは民主党のオバマ氏を大統領として選んだのですから、美しく年を取るための舵を失ってはいなかったということになるのでしょうか。
余談ですが、私が旅行で初めて(というか一度だけですが)アメリカに行ったのは、その選挙の丁度1週間前でした。旅行ガイドさんは、ワシントンのリンカーンの像を案内し、キング牧師が演説したという場所のプレートを説明したあと、「来週は大統領選です」と話題にしていたことを憶えています。そして、彼女は、今オバマ氏の「自叙伝(?ハーバードロースクールのローレビューの編集長になった縁で出版社から誘いがあり書くことになったという本)」を面白く読んでいる、と教えてくれたものです(帰国してすぐに読んだ)。

東部、西部といってもあのアメリカの西半分、東半分ではなく(州名や地名が出てくると巻頭に添付されているアメリカ地図に何度も戻って確認しながら読みました)、テキサス、ニューメキシコ、カルフォルニアなどは、メキシコとの戦争で勝ち取った地域であり、違法難民が押し寄せるといっても、もともとがメキシコだったところというのも妙なものです。

移民が作ったアメリカ合衆国。近い将来、白人が過半数を割ってしまう状況だという。200年程でナンバーワンの国になり、これからどう年月を経ていくのか。アメリカと拘わって65年になるという著者のアメリカへの思いは深い。
60年代以降のアメリカ政治史にも多く触れられており、ニュースなどで、ぼんやりと把握していたことの実態がわかりやすく語られていて、読みやすかった。

■付けたし雑記■
私たちは、欧米という言い方をするけれど、欧州の国々とアメリカは全く異なる性質の国なのだと思う。
アメリカは200年足らずに世界の覇者になった国。長らく「外国との戦争はよいもの」「国を富ませてくれるもの」という経験を持っている国だったのだ。
有能な人材をドンドン受け入れて、経済にも理系にも強いアメリカを拵えていったのだ。もともと移民たちが作った国だから、移民受入れには鷹揚なところがあったのだろう。結果として、豊なアメリカにあこがれて不法移民も押し寄せるのが現実。
強い国(軍事力でも)であるために、西欧や日本などに比して、社会保障の手当が置き去りにされがち。よって貧しさへの手当が薄いのか。本には貧しい層2000万人がいる、とある。軍事費はダントツであり、2位から14位の国の軍事費予算合計額の倍だと書かれている。日本の戦前も軍事費割合が国家予算の中の半分(?)を占めていたとかだったから、私たちは平和憲法下で暮らしてきたけれど、アメリカは世界の警察として多くを割いていた、というわけになるのか。経済に多大なしわ寄せをしながら軍備増強している北朝鮮という国があるけれど、アメリカも2000万人の貧しく捨て置かれている人たちの犠牲の下、世界に君臨し続けてきたというわけか。ルイジアナなど南部諸州は底辺の人たちが多く、そこにハリケーンの襲来があったという記述に、あのときのニュース映像を思い出した。
今、北アフリカで政権転覆はしたものの動乱の中にあるというニュースも耳にする。何故アメリカはこの状態を野放しにしているのか(これまでだったら、なんらかの助っ人として乗り出しただろう)、というフレーズも耳に入った。この本が書かれていた時代だったら、アメリカは乗り出していっていたかもしれない。
オバマの民主党政権に変わって、社会保障にも目配りの比重を置きだしたように思える。また、社会保障の進んだユーロ圏にも経済混乱の火種がある。
遠いところのアレコレを詮索しても、机上でしかないのだけれど、ヨーロッパと別物で、まだ独立して200年余りの世界に冠たるアメリカはどんな国だったかがわかる本だったな、とつくづく思った。





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