映画としての感想は先日一応書いたので、今回はトニー・レオンファン、そして香港映画ファンとして一言書いておきたい。
サンフランシスコでの走るバスの中での格闘シーン。シャン・チーのポテンシャルを感じさせるスピード感もあったし、普段はやや地味な感じがするが、いざ動くと躍動感があることも分かり、「これからよろしくね」という挨拶を兼ねたシーンとしてはよかったと思う。(バスを使ったアクションシーンはオークワフィナのハンドルさばきを見ながらちょっとだけスピードを思い出したりもしたし・・・)
舞台がマカオに移しての、カジノの夜景をバックに竹で足場が組まれた高層ビルの建設現場でのアクションシーンやファイトクラブでのシーン・・・メンガー・チャン演じるシャン・チーの妹シャーリーンのキャラクターも良く分かるアクションシーンの数々。やや典型的とも思えるが、男性のパワフルなアクションだけでなく女性のしなやかなアクションシーンもあった方がやっぱり華やかだ。
マーベルが描くカンフーはこんな感じになるんだなと面白く鑑賞。
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テン・リングスを手に入れ、権力と富を欲しいままに手に入れたトニー・レオン演じるシャン・チーの父ウェンウーのパートは、基本的に中国武術を駆使し、更には大きな龍も登場して封印された悪魔と戦うというファンタジー感溢れる中国神話的な展開・・・・
今の中国の状況を考えると、他の選択肢はなかったと思う。悪の世界に溺れた彼を描くのに、今の香港や今の中国に繋がる(それがたとえ連想させることだけでも)エピソードを入れることは、今後のシリーズ展開を考えると非常に無理のある事。そんなリスクを冒す位なら、思い切って遠い昔に思いをはせるエピソードに振り切った方がいいに決まっている。そんな遠い昔から現在に至るまで、悪と妻への愛に揺れる年齢不詳の男性という不思議で癖のある役柄を、声のトーンを抑え気味にし、かすれた感じの声で演じているトニー・レオン。
ただ、一歩間違えば子供っぽくなりそうなその世界観を、トニー・レオンとミシェル・ヨーの二人の存在でキチンと物語にしているところが凄い。
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私は楽しく観たのだが、マーベルファンはこの設定やストーリー展開をどんな風に楽しむのだろうか・・・