自称「世界一運の悪い殺し屋」レディバグ(天道虫)が請け負った仕事は、東京発の列車の中でブリーフケースを盗み、品川で降りる事だけだった。どう考えても単純で効率もいい仕事だったはずなのだが、次々と災難が降りかかり超特急列車から降りる事が叶わない彼。
令和の時代のキルビルだ。
日本を描いても、どこか色味が違い、いつか私の知っている色味が出てくるのかと思いきや、最後までそんな事はなく、ずっと日本人的にはずっとちょっと違う色味が続く。似た風景のはずなのに、そこにウェット感は一つもなく、わびさびも当然なく、そこにあるのはカラフルな果てしないエンターテイメント感のみ。
ブラット・ピット演じるレディバグのミッションは、東京品川間で終わるはずだったのに、なんと京都で「ぐちゃ」とした感じで終了する。ひらがなの字面から感じられるソフトな雰囲気はなく、かなり取っ散らかった雰囲気で終了。
テンションが上がり、感動が押し寄せるはずのHolding Out For a Heroを聴きながら、なぜか楽しく、そしてやや苦笑。とにかく楽しく面白く2時間ちょっとを楽しむ。
運命を語りがちな初老の男性を演じる真田広之。レディバグとの英語のセリフの中でも、テントウムシの発音は、英語につられる事なく、日本語のアクセントのままだった。さすが剣の達人だ、日本の心を忘れていないようで安心する。(ナナホシテントウムシ→セブン→ブラット・ピット・・・こんな連想ゲームも楽しむ)
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製作には、監督のデヴィット・リーチだけでなく、コマーシャル制作、ミュージックビデオの監督から映画監督になったアントワーン・フークアの名前もあり。華やかな色使いは彼の好みもあるんだろうかなどと色々考える。