連邦政府から何州もが離脱したアメリカ。大統領のいるワシントンDCにはテキサスとカルフォルニアの同盟による西部勢力が迫る。
未来ではあるかもしれないが、限りなく現在に近い未来だ。何故何州もが離脱したかははっきりとは分からない。少なくとも私は分からなかった。2期しか出来ないはずの大統領が3期目に突入し、更にはFBIも解散させたと簡単に語られるが、各州がそれだけで連邦政府を離脱するとも思えない。
ただ、各所で政府軍と西部勢力が衝突する内戦が散発し、内戦に乗じたような略奪が行われ、誰が味方か敵かも分からないような銃撃戦が各地で起こる。一度起こってしまった内戦は簡単には止まらない。
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今、世界各地で行われている事を考えると、この映画を観ながら「アメリカでこのような内戦が起こる事わけがない。荒唐無稽だよね。あり得ないよね。映画の中の出来事だよね」などとは思えない。
むしろ、私があり得ないと思ってしまったのは、内戦の最前線にどこまでも食いついていく戦場カメラマンと記者たちの姿だ。当初「14か月もの間取材を受けていない大統領の単独インタビューを狙う」という目的は受け入れる事が出来た。ただ、その後、内戦の最前線、西部勢力がワシントンDCの心臓部にまで迫る勢いの中、銃弾、手榴弾が飛び交う中でもカメラを向けその様子を記録しようとするカメラマンとその様子を見守る記者、そして彼らを邪魔者扱いせずに自分たちの仲間のように受け入れ、全てを記録させようとする同盟軍の対応に驚いた。カメラマンや記者達の矜持も分かるが、あのように生々しい写真の数々を見せられた人々はそれをどのように消化すればいいのだろう。
「お前は、どの種類のアメリカ人だ?」という台詞にも驚いたが、どこまでも情報と記録を追いかけるその姿にも驚く。