バイト先の書店で一人の老婦人がにこやかにBL漫画を購入していった事に驚く女子高生のうらら。
料理本を購入するはずだったのに、表紙が綺麗だからと何も知らずにBL漫画を購入した雪は、内容に驚きながらも漫画を読み進め、その魅力にすっかりはまってしまうのだ。続きを読みたいと書店に足を運び、バイトのうららがBL漫画に詳しそうだと知ると、積極的に声をかける。「この漫画の事を誰かとお話したいと思っていたの。うれしいわ」という75歳の雪の笑顔がまぶしい。
好きな物を誰かと共有する喜びを感じながらも、「私なんか・・・」という妙な自信のなさから、半歩ずつしか先に進めないうらら。戸惑う女子高生うららの気持ちを慮りながらも、穏やかながらも、好きという気持ちを隠さず、うららの心を静かにノックし続ける雪。
グイグイと相手の懐に入るでわけではない。好きという気持ちを持ちながらと穏やかに共感して近づき、そして友情をはぐくむ様子は、静かな幸せを感じる。自分の気持ちを少しずつ解放することが小さな幸せと自分がやりたい事に繋がっていくのだ。
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雪が一人で住む家の様子が私にはとても懐かしかった。昔住んでいた自宅にもあんなに立派ではないが縁側があったし、雪が一人料理をする台所はいつかどこかで見た昭和の台所そのものだった。手作りのサンドイッチが入れられたボックスも懐かしかったし、押し入れを改造して勉強スペースにする部屋には私もとても憧れていた。
全体的にはとても穏やかな雰囲気だが、雪が一人喪服姿で横断歩道を渡るオープニングは何気にロックな雰囲気だし、二人が歌いエンディングで流れるT字路s の「これさえあれば」もなかなかファンキーな歌詞だ。穏やかな中にもちょっとした芯の強さを感じる・・・
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芦田愛菜&高橋恭平(なにわ男子)の幼馴染関係はとても自然な感じだった。