彼(岸田文雄さん)の認識によれば
「我が国の民主主義の危機にあると強い危機感」 があるそうだ
さらっと見過ごしてしまいそうだが、
具体的に何をもって「民主主義の危機」としているのだろう
彼らの判断や行ってきたことを、そのまま肯定的には捉えていない立場からすると
「それを自分からいうか!」とのツッコミをしたくなる
確かに「民主主義の危機にある」という実感は自分にもある
ただその危機感を招いたのは彼ら自身にあると思えてしまう
決定の過程の不明確さ、説明不足、少数意見の無視
数は力との理解のもと「決められる政治」というものの
結果的には少数者の支配になっており、「国家はなぜ衰退するのか」
にあったように収奪的な行為が、困ったことに手続き上は合法的(?)に行われている
最近、たまたま「平均的正義」と「配分的正義」という言葉を知った
アリストテレスが使い出した言葉で、法学的にはその体系を理解する上では
重要な概念らしい
簡単に理解はできないが、例えば経済的な面を例にあげると「結果平等の正義」
と「その人の能力に合わせて配分された正義」を表しているらしい
能力のある人はそれなりの収入を得るのは、単なる結果平等よりは平等とする
考え方で、それが果たされた上での結果平等が望ましいと言うわけだ
ただ難しいのは能力ごとの配分はいいとしても、その能力差がどこから生まれたのか
を考えると、単に個人の問題とだけは考えられない現実が「親ガチャ」の言葉に
代表されるように存在する
つまりは個人責任だけでなく、社会のありたかの問題でもありそうだ
ドイツでは直近の選挙の投票率は75%ほどあったらしい
それは、自分たちの民主主義は自分たちで守る
との意思表示のように思えてしまう
確かに大衆の意見が正しいとは言えないかもしれない
知識と経験と人間性の洞察に優れた少数の人の判断のほうが
のちになって正しいということはあるかもしれない
(大衆の雰囲気でとんでもないことになったのはヒトラーの支配)
ただ、ひとりひとりがよく考えて判断を下す行為というのは
支配者にとっては好ましい状態ではないらしい
ある本の中に支配者は、一人ひとりが個々に考えるようになるのは
また知恵を持つのはまずい、、と考えて、そうならないように
支配する工夫をするのだそうだ
その一つが「パンとサーカス」だ
今のこの国を思うと(自分くらいの年齢になるとつい考えてしまうのだが)
世の中はまるで反知性主義全盛のような流れになっていると思えて仕方ない
そしてそれを煽りに煽っているのがマスコミの姿勢だ
少し前の自民党の総裁選の加熱した報道
それは異常とも感じられる
国民の40%の投票確率で70%の議席数を確保し、その数で押し切る政治
そしてその政治に忖度するメディア
自分はメディアに苦情のメールを送ったことがある
田舎のおっさんが送ったところでどうなるものではないが
そうせずにはいられなかった
一つはフジテレビの平井さんの
「学術会議のメンバーはその役割を終えた後は年間〇百万円の年金がもらえる」
との発言で、それは全くの事実ではなかった
だが多くの人が見ている時間、それなりの立場の人が発言したならば
あとで訂正謝罪しても、まちがって理解している人の存在は馬鹿にできない
(その効果を狙って発言したのかとさえ思う)
最近もTBSに苦情のメールを送った
それは「ひるおび」に出演している八代氏の
「共産党は暴力的な革命っていうものを、党の要綱として廃止していない」
という発言で、これはすぐさま反応した共産党の幹部から
そんな要綱は存在しないと否定された
それなりの視聴率がある番組内で、それなりの立場(弁護士)のひとがいえば
知識のない人はそのまま信じてしまう
これは謝罪が後日行われたが、これもひどかった
要綱には書かれていないが、閣議決定の解釈に従ったものだ
と火に油を注ぐような言い訳をした
閣議決定の内容は、継続して公安が見張る対象として共産党が有るというものらしい
そこで公安のホームページを見ると、たしかに見張る対象になっている
他にもオウム真理教絡み、右翼組織、もうひとつあったが忘れた
だが、そこで一番の皮肉なのは、公安には一年の見張っている状況のレポートがあって、
そこには共産党の危険性は少しも書かれておらず、むしろ共産党の広報誌かと思えるような
報告が続いていた
例えば、共産党を批判する人たちがつい言いそうな中国との関係について
日本の共産党は中国に対しきちんと非難の声明を出しているとか、
コロナ対策に関してこれこれの案を出しているとか
つまりは結果的に共産党の行っている行動を評価しているかのようだ
こうした現実を知らない人に向けて、公安の対象になっているとの謝罪の怖さは
誤った風をしながらも悪いイメージを与えるという点だ
ツイッター上ではあれは謝罪になっていないとさらなる批判を浴びた
ここで最初の民主主義の危機という問題に戻る
おっさんは、意思決定の政治の分野でも、それを伝えるメディアも
ちゃんと機能しているとは思えない
それ故に民主主義の危機と思う
それにしても、権威主義に弱く、直ぐに諦めてしまう(ように思える)国民性は
どうすれば自分の意志を持った「個の確立」の上での世界になれるのか、、
と考えてしまう
それは大げさな国の問題ではなく、地元の市についても
選挙を間近に控えて、庶民は最悪の事態を防ぐ機能を果たしうるか
少し不安