パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

予告編と007

2021年10月19日 09時28分23秒 | 徒然なるままに

一昨日の日曜日、久しぶりに映画に出かけた
巣ごもり生活を続けていて、滅多に遠出しないが
やっとのこと豊橋まで足を伸ばした
途中で無人販売で柿を購入、5個入りで200円
これを知ったらまともには買えない

映画は「007」か「燃えよ剣」か迷ったが
気分的にお気楽な前者にした
土方歳三については司馬遼太郎の描く人物像より
史実から想像される人物像のほうが個人的には好みで
バラガキとか最後の武士的な一本調子のイメージより
もう少し違ったところに価値観を見出した人物のような気がしている
ということで、「燃えよ剣」は絶対に見に行くが
心のコンディションを整えてからにする

映画が始める前には予告編がある
これが自分にとっては案外苦痛だ
でも我慢するしかない
だが予告編を見て、なんでこんなに破壊的なシーンばかりが多いのだろう
と頭に浮かんだ
善と悪、その対立でヒーロー・ヒロインが立ち上がって世界のために戦う
そういったシチュエーションが多いようだが、物語の上とは言え
その悪を創造する知恵は、どこか人の中に潜む良からぬ者の存在を感じてしまう

この暴力的な、ただし映画的には見ごたえのあるとされそうなシーンは
007でもふんだんに展開された
確かに長い時間を飽きさせずに見させる技術や展開はすごい
でも途中から慣れてしまうと、またか、、とか少しばかり食傷気味になる

エンタメ作品は、ケチを付けるより無条件に楽しんだほうが得なのはわかるが、
年齢を重ねるとそうばかりは言っていられない
途中で出てきた辻褄の合わない話の展開は、それがクリアされていないから
いつまで経ってもモヤモヤが残ったままで不漫が残る

今回がこの手の作品を観る最後かな、、、
不意にそう思った
スパイ映画はこうした派手なエンタメよりは、フリーマントルの
チャーリー・マフィンを主人公とした湿度の高い内面的なもののほうが
面白そうに感じてしまう
恐怖は暴力的な力より、静かに潜入するなにかのほうが怖い
だが現代は、派手な映画的効果のほうが優先されて、じわじわ迫るタイプのものは
まどろっこしいと思われるかもしれない

以前も007の映画を始めとするアクション映画で
敵側の人間が無条件に撃たれていくのを見て、彼らにも家族があるのに
心の痛みも感じずに話が進められていくことに抵抗感を覚えたことがあったが
(そう思うことは楽しむためには邪魔になる)
今回も、「その他多数」で処理されてしまう悪人たちのことが気になった

敵側にも家族がある
彼らは仕事としてその職についただけで、当事者にとって邪魔者とされる存在とされ
迷惑(とばっちり)を被ったのが、忠臣蔵の吉良上野介を守った人たちや上杉家の武士

忠臣蔵は個人的には好きな話ではないが、少しだけ例外的な部分があって
それは大石内蔵助が討ち入りで目的を果たした時に、上野介を守るために
傷を負った家来や上杉の助っ人に、見舞いのお金を支払ったという話だ
この人は大きな出来事をなしうる、人間的にできた人だったと感じざるを得ない
(他にも瑤泉院からもらったお金についてその使用明細を残していたものすごい)

映画の予告編も内容も、無意識に時代を反映しているかもない
対立が明確化され、それを結局は力でねじ伏せる形でクリアしていく
そういう形があまりにも多いのは、、、その影響力を想像すると少し心配





 

コメント (1)
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