コバギボウシ
<ユリ科ギボウシ属>
日当たりのよい湿地にはえる多年草。
葉はななめに立ち、
つやがなく表面の脈がへこみ、
基部は急に葉柄に添って流れる。
淡紫色の花を下または横向きにつける。
花被片は花の頃には反りかえる。
筒部には透明線がある。
葉の若いのは食用になる。
<俳句歳時記>夏
擬宝珠(ぎぼうし)の花
<花擬宝珠・ぎぼし>
日ざし恋ふ擬宝殊の丈や大樹海 大津 希水
女人のみ泊める坊舎や花擬宝殊 奥 令子
女人堂山の鈴ふる花ぎぼし 谷口 とし子
ぎぼし咲く山へ揃へて宿の下駄 神蔵 器
草刈も影もさやけし花擬宝殊 藤田 湘子
ノブキ
<キク科ノブキ属>
やや湿った林の下などにはえる多年草。
葉がフキに似ているので
この名がある。
葉の裏側は綿毛がはえていて白っぽい。
頭花は、
筒状花からなり、ふちの花だけ実る。
そう果は、6ミリほどのこん棒状で、
綿毛があり、衣服などについて運ばれる。
マヤラン(麻耶蘭)
<ラン科シュンラン属>
名前は
神戸の麻耶山で発見されたことによる。
根茎は長く地中を這うそうだが、
緑色の茎を伸ばすが緑葉はなく、
茎の下に鱗片があるのみで、
7~10月、
茎頂に白い花をつける。
がく片の中央部には赤い筋があり、
側花弁は周辺部を除き赤い模様がある。
絶滅危惧種である。
ハグロソウ
<キツネノマゴ科ハグロソウ属>
山地の林下に生える多年草。
茎はまばらに枝分かれする。
葉は暗緑色で対生し、卵状長楕円形。
夏に
枝先または上部の葉のわきに
紅紫色の花柄を開く。
花は2~3個の葉状の苞に包まれ、
そのなかに咲く。
ネコハギ
<マメ科・ハギ属>
日当たりのよい、やや乾いたところに生える多年草。
茎は長く地面をはってのび、軟毛がある。
葉は互生し、
3小葉をもつ複葉で、小葉に両面に短毛がある。
花は白色の喋形花で、
葉のわきに3~5個集まって咲く。
萼は深く5裂し、長毛がある。
ヤブタバコ
<キク科ヤブタバコ属>
林の中などに生える。
太い茎は途中で伸びるののをやめ、
数本の横枝を出す。
根生葉が大きくてタバコの葉に似ているので、
この名がついた。
花は、1センチほどで、筒状花なので
咲いているようには見えない。
横枝の葉のわきにずらりと並んでつく。
アラカシ(粗樫)の実
<ブナ科・コナラ属>
山野に生える常緑高木。
樹皮は、暗緑灰色。
葉は互生し長楕円形または倒卵状長楕円形で、
先は急にとがる。
上半部に大形の鋸歯がある。
裏面は帯粉白色。
4~5月
長さ5~10センチの雄花序を垂らし、
上部の葉腋に雌花を1~3個つける。
堅果は秋に完熟し、
長さ1,5~2センチの楕円形。
殻斗には6~7個の輪がある。
<俳句歳時記>秋
椎の実(しいのみ)
<落椎(おちしい)・椎拾う>
いとしさの椎の実飛礫(つぶて)とどかざり 竹本健司
椎の実降るうさぎ子狐あつまって 鮫島 康子
椎の実が降るはればれと愛されよ 藤田 湘子
昏るる韻ありとせば降る椎の実の 杣木 紀子
ジュズダマ
<イネ科ジュズダマ属>
水辺に生える多年草。
幅の広い葉を多くつけ、
上部の葉のわきから多数の花穂を立てる。
堅くて艶のある苞鞘(ほうしょう)の中に、
小穂(雌性)があり、その先に2~3個の小穂(雄性)が垂れ下がる。
雄性小穂は早く脱落する。
<俳句歳時記>秋
数珠玉(じゅずだま)
<すずこ・ずず玉・とうむぎ>
じゅず玉は今も星色農馬絶ゆ 北原 志満子
言えば淋しき川ありここにも草数珠の 鮫島 康子
数珠玉や歩いて行けば日暮れあり 森 澄雄
数珠玉の数珠つなぎつつ子が眠し 上野さち子
数珠玉やちいさく乾く母のもの 古賀まり子
キツネノマゴ
<キツネノマゴ科キツネノマゴ属>
野原や道端などにごく普通に見られる1年草。
茎はまばらに枝分かれし
葉とともに短い毛が生えている。
葉は対生し
長楕円形で、
枝の先に穂状の花序をつけ
淡紅紫色の唇形の小さな花を咲かす。