ヒメウズ
<キンポウゲ科オダマキ属>
山麓の草地や土手、道端などに生える多年草。
高さ10センチ~30センチになる。
地中には暗色で楕円形の塊茎がある。
根生葉は長い柄のある3出複葉で、
裏面は紫色を帯びる。
茎葉は2回3出複葉で葉柄は短く、基部は茎を抱く。
早春に、
白花でやや紅紫色を帯びた小さな花を下向きにつける。
花弁は
長さ2,5ミリほど。萼片は長楕円形で長さ5~6ミリ。
和名は姫鳥頭
カラタネオガタマ(唐種招霊)
別名トウオガタマ
<モクレン科オガタマノキ属>
江戸時代渡来し、暖地の神社や庭に植えられる常緑小低木。
若枝や葉柄に褐色の毛が多い。
葉は楕円形または長楕円形でふちが波打つ。
表面は濃緑色で光沢がある。
5~6月、
3センチほどのバナナの香りのする花を咲かす。
花弁と萼片は黄白色でふちは紅色を帯び、
内側に紫紅色のぼかしがある。
袋果は10月~11月に熟して裂け、
赤い種子をだす。
毎年、道路の緑化地帯に花を見つける。
↓は、
オガタマノキの花
神代植物園にて
下はアカバナトウオガタマ
アカバナトウオガタマ
光が丘公園にて
ムラサキケマン(紫華鬘)
<ケシ科キケマン属>
平地や山麓の日蔭のやや湿ったところにはえる越年草。
和名は紫華鬘で、
華鬘は仏殿の欄間などの装飾具のこと。
全体がやわらかく
傷つけるとやや悪臭がある。
葉は2~3個羽状にこまかく裂け、
裂片はさらに深く切れ込む。
花は紅紫色、ときに白色。
長さ、1,2~1,8センチの筒状で先は唇形となり、
茎の先にびっしりと総状につく。
果は線状長楕円形で吊り下がる。
↓は白花
<俳句歳時記>春
華鬘草(けまんそう)
華鬘咲く野に一たまり牛の尿 秩父 仁兵衛
華鬘草手に浄土欲る胃の痛み 原子 公平
華鬘草咲けば晩年めきにけり 山崎 ひさを
膝ついて土やはらかし華鬘草 大石 悦子
ヒトリシズカ
<センリョウ科センリョウ属>
山地の林下や日の当たる草地に生える多年草。
茎は数本から多数が直立。
数個の節にりん片葉を対生する。
茎の先に4枚の葉が輪生状に対生し、
白色で長さ1~3センチの穂状花序を1個立てる。
和名の一人静は子の姿による。
別名の吉野静は、吉野山の舞う静御前の姿にみたてたもの。
花弁は無く、
雄蕊の花糸3個が白く、長さ3ミリあり
水平に出る。
<俳句歳時記>春
一人静(ひとりしずか)
[吉野静・眉掃草(まゆはきそう)]
一人静ひるの鶏鳴かすれたり 鍵和田 袖子
聖処女の一人静の姿かな 平井 照敏
雨降るや一人静を花の名に 有働 亮
一人静花の先なる犬の匂ひ 金子 普
一人静ゼノン静止の内に立つ 加藤 郁乎
アマナ
<ユリ科カタクリ属>
日当たりのよい原野や土手などに生える多年草。
和名の甘菜は、
長さ2センチほどの卵球形の鱗茎が食用となることから。
葉は線形で、先端に花をひとつつける。
花は広い鐘形で、
白色に暗紫色のすじがある。
他にヒロハアマナ、キバナノアマナなどがある。
ショウジョウバカマ
<ユリ科ショウジョウバカマ属>
山野のやや湿った所や渓流沿いにはえる多年草。
根生葉は多数つき、倒披針形で冬も枯れずに残る。
春、
根生葉の間から花茎が立ち、
花の色は淡紅色から濃紅色まで変化が多く、
白色もある。
花が終わると花披片も緑色になり残る。
子房は円形だが、果になると3つに深くくびれる。
種子は線形で両端がとがる。
和名は猩々袴(しょうじょうばかま)で、
花の色を猩々の顔の色に、下部の根生葉を袴に見立てたもの。
↓はまだ蕾
キブシの花芽
(木五倍子)
<キブシ科キブシ属>
山地にはえる落葉低木。
樹皮は褐色。
枝は赤褐色または暗褐色で光沢がある。
葉は互生し、
楕円状卵形または長楕円形で先端は長く鋭くとがり、
基部はまるい。
ふちには鋭い鋸歯がある。
3~4月、
葉の出る前に長さ4~10センチの穂状花序を多数たらす。
雌雄異株。
果実ははじめ緑色で熟すと黄色を帯びる。
中に多数の種子がある。
果実を5倍子(フシ)の代用として黒色の染料にするので、
この名がある。
<俳句歳時記>春
通条花(きぶし)
[木5倍子(きぶし)]
きぶし群落美女群落は乳房みせぬ 金子 兜太
きぶしの花中空は水ながれざる 植田 睦子
木5倍子咲く地図には載らぬ道祖神 北澤 瑞史
あやとりもきぶしも風の通り道 水野 真弓
きぶし咲き漂う誰か置き去りに 伊藤 淳子
イスノキの虫こぶ
(柞の木)
[ヒョンノキ・ユスノキ]
暖地の山地に生える常緑高木。
葉は互生し、長楕円形で革質。
大小の虫えいが、多くできる。
3~4月、
葉のわきに総状花序をだし、上部に両性花、
下部に雄花をつける。
花に花弁は無く、
雄蕊は5~8個で葯は紅色。
果は
広卵形で黄褐色の毛が密生し
熟すと2裂して黒い種子を出す。
<俳句歳時記>秋
瓢の実(ひょんのみ)
[瓢の笛・ぷす]
イスノキの葉に虫が巣をつくって瘤のようになったもの。
大きさはウズラの卵くらいで丸く固い。
虫が出たものを吹くと、ヒュウヒュウと鳴るので、
ひょんの実と言う。
どうしても悲しく吹けぬ瓢の笛 後藤 比奈夫
ひょんの実を机に英文学者留守 川崎 展宏
瓢の実と教へてあとはにこにこと 高橋 悦男
瓢の実につく波音のしらべかな 原 裕
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