ガマズミの実
<スイカズラ科ガマズミ属>
山野にはえる落葉低木。
若枝は灰緑色で、古い枝は灰黒色。
葉は小型卵形で対生。
枝や葉に毛が多い。
夏に5弁の小白花を散房花序に密生。
秋、果実は核果でやや扁平な卵状楕円形。
熟すと赤くなり、霜が降りる頃には、
白い粉をふいて食べられる。
ウバメガシの実
<ブナ科コナラ属>
暖地の海岸沿いの山地などに
多く自生する常緑低木。
よく枝分かれし、
樹皮は黒褐色で、
老木では縦に裂け目がある。
葉は互生し、広楕円形。
革質で表面には光沢があり、裏面は淡緑色。
春に
本年度の下部に雄花序を垂らし、
上部の葉のわきに1~2個の雌花をつける。
堅果は年内はごく小さく、
越冬して翌年の秋に成熟し、
卵形で下部は殻斗に包まれている。
殻斗は椀形で、瓦状に覆われている。
実は食べられる。
また材が固いので備長炭として良質の木炭になる。
ナツメ(棗)の実
<クロウメモドキ科ナツメ属>
落葉小高木
葉は互生し、
長さ2~4センチの卵形または長卵形で光沢があり、
3脈がめだつ。
6月頃、
葉腋に黄色の小さな花を数個開く。
花弁・雄蕊・萼片ともに5個で雌蕊は1個。
果実は
楕円形で黄褐色に熟し、
食用や薬用にする。
<俳句歳時記>秋
棗の実(なつめのみ)
<実棗(みなつめ)>
墓多き河口の村に熟れ棗 飴山 實
青棗河わたる子らよく光る 岩間 民子
赤い帆がオランダ坂ゆく棗の実 志摩 一平
泣く子には日暮れはやくて棗の実 三木 聆古
サンショの実
ミカン科サンショウ属
山椒別名<ハジカミ>
山地に自生する落葉低木。
枝や葉柄に対生する刺がある。
葉は奇数羽状複葉で、互生する。
枝先に薄緑色の小さな花を多数開く。
雌雄異株
果実は
5ミリほどの球形で赤褐色。
種子は光沢のある黒色で辛い。
芳香のある若葉や種子を香味料にする。
黒皮は薬用。
<俳句歳時記>秋
山椒の実(さんせうのみ)
<実山椒・椒(はじかみ)>
☆ちなみに
山椒の花(花山椒は、春の季語)、山椒の実(実山椒・椒(はじかみ)は秋、
山椒の芽(芽山椒・木の芽和え)は春の季語
山椒の実噛む和紙の里けがれなき 伊藤 亮子
はやばやと灯の入る峡や山椒の実 藤田 則子
裏畑に朱を打って熟れ実山椒 飴山 實
山椒噛みもの言わぬ舌しびれをり 鈴木 太郎
キンモクセイ(金木犀)
<モクセイ科モクセイ属>
庭などによく植えられている落葉小低木。
樹皮は灰褐色。
葉は対生し、
広披針形または長楕円形で
先はとがり楔形。
10月、
葉のわきに橙黄色の小さな花を密生させ、
強い芳香がある。
雌雄異株。
ギンモクセイ(銀木犀)
白い花を密生させる。
☆果実は、
長さ1~1,5センチの楕円形で、
黒紫色に熟す。
<俳句歳時記>秋
金木犀(きんもくせい)
<銀木犀(ぎんもくせい)>
木犀や閉ぢてつゆけき男の臍 塚本 邦雄
銀木犀眠り忘れし蟇のおり 飯野又四郎
木犀やしずかに昼夜入れかはる 岡井 省二
金木犀の香の中の一昇天者 平井 照敏
アメリカハナミズキ
<ミズキ科ミズキ属>
落葉小高木。
日本では、
植物園や公園に植えられる程度だったが、
最近は庭木や街路樹としても多く植えられている。
花弁のように見えるのは総苞片。
中心にある黄緑色のツブツブの一つ一つが花で、
頭状花序を作る。
総苞片の先端が凹むのが特徴。
葉は互生し
実は秋に赤く熟す。
ざくろ(柘榴)
<ザクロ科ザクロ属>
落葉小高木。
よく分岐して、
若枝は4稜があり、
短枝の先は刺となる。
葉は長楕円形。
6月頃、朱赤色の花を開く。
花弁は6個で、薄くて皺がある。
萼は6浅裂する。
果実は球形で先端に萼片が残る。
果皮は厚く、
熟すと不規則に裂け、淡紅色の種子が現れ、
食べられる。
<俳句歳時記>秋
柘榴(ざくろ)
<実柘榴>
露人ワシコフ叫びて柘榴打ち落とす 西東 三鬼
恍惚なりざくろが割れて鬼無里(きなさ)なり 岡井 省二
大津絵の鬼出て喰ふ柘榴かな 黒田桜の園
人眠りざくろ熟れ嗚咽暇(いとま)なし 小熊 豊
柘榴哄笑す雌鶏しろき卵を抱けば 宮沢赤黄男
石垣の上の姉より柘榴受く 廣瀬 直人
ヌスビトハギ
<マメ科ヌスビトハギ属>
高さ90センチほどになる多年草。
まばらに葉を互生する。
葉は3出複葉で小葉は卵形。
葉のわきから花序をだし、
淡紅色の蝶形花をまばらにつける。
和名は盗人萩で
盗人の忍び足の形跡に
節果の形が似ていることに寄る。
ムクロジ(無患子)の実
<ムクロジ科ムクロジ属>
山地に生える落葉高木。
葉は偶数羽状複葉で互生する。
小葉は4~6対あり、
広披針形で革質。
6月頃、
枝先に大形の円錐花序をだし、
淡緑色の小花を多数開く。
雌雄異株。
果実は、球形で中に黒い種子が1個ある。
飴色になると中の黒い種子が透けて見え、
種子は羽根つきの球になる。
<俳句歳時記>秋
無患子(むくろじ)
深大寺無患子拾ふ十あまり 柴崎 忠雄
無患子に風あつまってをりにけり 鈴木 三都夫
無患子のしぐれし空にみなぎる実 皆吉 爽雨
無患子に風に寺の子在家の子 佐藤 竹二
無患子やこの道ゆかば母の墓 佐藤 明日香
イヌマキ(犬槇)の実
<マキ科マキ属>
暖地の山地に自生する常緑高木。
樹皮は
灰褐色で縦に裂ける。
葉は密に互生し、線形。
春に
開花する雌雄異株。
雄花は円柱形、雌花は葉の付け根に1個づつつく。
果実は、
緑色のほぼ球形で9~10月に熟し、赤褐色の花杔の上につく。
花杔は甘くて食べられる。