地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

瀋陽周辺鉄三昧 (3) 満州事変の現場で撮る

2006-08-30 00:08:58 | 中国の鉄道


 さて、瀋陽=奉天といえば、高校で歴史を勉強した記憶を今でも保っている物好きな方なら誰もが思い出す非常に有名な事件が起こった場所です。それは……1931年の満州事変。 (満鉄の線路を日本の関東軍が爆破し、その責任を中国側に押しつけて戦線が拡大した結果、満州国成立・日中全面対立の原因に)
 というわけで、せっかく出張ではじめて瀋陽を訪れたとなれば、その事件現場を見に行ってみるのもそれなりに有効な時間の使い方だと言えましょう。
 もっとも、その現場の脇に開設された記念館は、侵略を謝罪しようという気持ちがバカバカしさで完全に吹っ飛ぶほどのゲンナリする内容でした。「明治以来の日本の英雄主義教育が悪い」と最初に言っておきながら、一番最後では「英雄主義を忘れた国は滅ぶのでしっかり学んで中国を大国にして見返してやろう」ってアンタ、やろうとしていることが戦前の日本と同じじゃあないですか。そういう「日本がやることは全て悪いが、同じことを中国がするのは良い」という態度が多くの日本人を中国嫌いにしているのが全く分かっていないから困ったものです。
 脱線はこの程度にしまして (爆……まあ、展示の支離滅裂な展開に興味のある方は是非どうぞ)、現場を訪れた以上、そこを走る列車を撮ってみたくなるのが人情というものでしょう (^^;)。しかしパッと見、道路や記念館と線路の間には木立や草むらがあって、容易に近づける雰囲気ではありません。(-_-)
 それでも諦めずに、記念館の門から少しだけ南西に向かって歩いて行きますと、怪しい工事用資材置き場の入り口が。そこを勝手に入って線路に近づいてみますと……はっきりとした人の踏み跡が線路と茂みの間に吸い込まれて行くように続いており、何とその先には線路をくぐる地下道がありました (笑)。その地下道の入り口あたりから柵越しに構えて撮影したのが↑の画像です! 韶山9型に牽引されたこの列車は、煙台発ジャムス行き。温暖な山東半島から、冬は極寒になる原野の地まで、なかなかご苦労な列車ですね。



 満州事変の地での撮影はまだ終わりません。この地下道をくぐってみると……先刻からやけに汽笛の音がするなぁ……と思っていたら、瀋陽の客運段 (客車区) に通じる引き込み線が通っていました。さらに北に向かって歩いて行くと、客運段の巨大なヤードにたどりつくことが出来ると分かりましたが、何しろ暑いうえに、この後の予定もあったのでパス (^^;)。客運段に出入りする回送列車は残念ながら来なかった代わりに、手前にある電化工事事務所から↑こんなレールバスによるPP工事列車が出発して行きました。この珍編成は儲けものでした (^^)。
 というわけで、意外と「鉄」的にみて濃いぃスポットでもある満州事変勃発現場。瀋陽を訪れた際にお一つ如何でしょうか。そしてもちろん、二度と鉄道がこのような歴史の震源地にならないことを祈ります。