
香港をめぐる情勢は、北京の方針がより強硬になり、警察がためらわずに銃器を使うようになったことで、ますます混迷の度を深めているところですが、とりわけ今週に入ってからは平日の朝から各地で衝突が相次いでいます。例えば、金融とビジネスの中心である中環で昼休みのエリート会社員が突如デモを始めるかと思えば、港鉄が朝から麻痺状態になってバスが頼りとなる中、出勤中の会社員がバスから降りてきて道路上の障害物を退けようとして若者と小競り合いが起こるなど、最早いつどこで衝突が起こるか全く分からない状態。今までは「党鉄」や中国寄り企業(元気寿司とか吉野屋とか)に近づかなければ概ね安全だったと思われますが(とりわけ平日は)……。市街戦同然の風景が広がる旺角の街に、動けなくなって大量に放置された二階建てバスが連なる光景は、香港という街の前途の暗澹さを暗示しているように思われました……。

そんな香港に安心安全な場所はないのか……? 総じて路線バスと路面電車は「党の輸送機関」と見なされていないため、長時間の足止めを食らわされても破壊の対象には全くなっていないようですが(メチャクチャな街並みの中にあってバスは無傷という不思議な光景)、他にも例えば商業地域やベッドタウンから離れたところ=鄙びた山の中や静かな漁港は至って平穏で、土日ともなると麻痺した街から脱出した在住外国人のお気に入りスポットとなっているようです。
そして路線バスについても、そんな山野に分け入る非二階建て車運用路線であれば、デモをなるべく避けつつ、結構デンジャラスな登り下りもある香港の山道を楽しむことが出来るでしょう。以前「ぱれっと」様に教えて頂いて乗ってみた九龍バスの51系統(荃湾〜錦上路)は、両端の港鉄駅を除けば、ほとんど山の中のクネクネ道をダイナミックに飛ばし、山間の集落を結ぶもので、結構オススメです (荃湾界隈は衝突が最も激しい場所のひとつであり、現状では迂回とか遅延とか多いのかも知れませんが……)。ちなみに、この画像は8年前の撮影で、既にこの世代の車両は引退済みかと思われます……(^^;)。
【11.13付記】昨12日はどうも重大な転換点だったようで、とりわけ中文大学の攻防は、香港と外部のネット接続にも関わる深刻な事態だった模様。港鉄とバスも多くの区間で運休しているほか、警察は香港全土で手当たり次第に催涙弾使用……。さらに中国は、香港にいる大陸人を続々と避難させていますが、これは六四天安門事件の再来の予兆……。願栄光帰香港!!
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