古川駅界隈から奥州街道を北上すると、基本的に東北本線とは交わらず、アップダウンを繰り返しながら、やがて宮城県北の自治体を大合併して誕生した栗原市に入ります。その最初に現れる高清水の街は、かつて国鉄バスの駅も置かれるなど交通の要衝として賑わったようですが、それも今は昔。駅の跡地には何も残っておらず、宿場町そのものも寂れ果てています。
高清水から奥州街道を歩く場合には国道4号線からしばらく離れて人煙まれな牧草地や森の中を進み、再び国道4号線と出会ったあとは、次第に栗原市の中心・築館へと進んで行きます。すると、築館の街では立て続けに、栗原市民バスの運行を委託された3社の路線バスの車庫に遭遇し、意外と濃いぃ撮りバスタイムを楽しむことが出来ます。
町村大合併で出現した広大な栗原市の市域に一体感を醸成し、また栗原市と外部の主要都市とをつなぐ公共交通を確保するため、栗原市は多種多様なバス路線を市民バス網として再編し、財政による補填を通じて、相当な距離を乗っても200円ポッキリという破格の運賃を実現していますが、その路線網は大きく分けて、大崎(古川)と一関に出る「広域路線」、市内の主な街や集落を結ぶ「市内連携路線」、そしてオンデマンドタクシーに分かれています。そこで、広域路線と市内連携路線、ならびにスクールバスが計3社に委託されており、奥州街道を北上すると築館の手前で現れるのが栗原観光タクシーの車庫です。
栗原観光タクシーは、他の2社と比べるとマイナーな路線を担当しており、唯一担当する広域路線の「大崎市民病院線」は、築館から南下して大崎市との境界までは小まめに停まるものの、大崎市に入るとノンストップになるという、通院者に特化した路線です。また、担当する市内連携路線3ルートも、改めてご紹介するグリーン観光の路線と比べれば、本数も少なくマイナーなルートとなっています。というわけで、ほとんどバス趣味界でも俎上に登らない会社かも知れませんが、車庫で出番を待つバスの状態は良く、徹底的に地元密着、という印象を得たのでした。公道から撮りやすい位置で昼寝していたのはスクールバスで、路線バス車は奥まった位置にいたのが少々残念……。
というわけで、この車庫を過ぎてさらにしばらくアップダウンを繰り返し、最後の切通しを過ぎると、突然栗原市役所の巨大な (?) 建物が現れて、鉄ヲタには忘れ去られた街・築館に進んで行きます。
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